第三話 怪しい男
バスに乗った時に私と同じ服の子がいっぱいいた。
学校に通う学生というのが分かるように制服というものを着ているのだ。
みんな楽しく話や手遊びなどしていた。
その中でも一際静かだった男の子がバスの後ろの端っこに座っていた。
髪も長くちょうど目が隠れていた。
ちようどその隣が空いてたのでそこに座る事にした。
『ねぇ!そこに座って良い?』
私が大きい声で言うと男の子は、ビックリした顔で体がビクッと動いた。
『あ..良い..よ。』
人の目を見て話すのが苦手なのか俯けながら言った。
私は、その子の隣に座った。
『私は、ソルシャ・クリス!ソルシャで良いよ。あなたの名前は?』
『ぼ..僕はウィーク・ブライアン。..ヨロシク』
緊張しているのかカクカクと動きながら頭を下げた。
『よろしくウィーク君!』
これから学校生活を送る同士仲良くしようと思い握手を求めた。
『よ..よろしくソルシャ..ちゃん』
握手を交わした。
『私お医者さんになる為に学校に行く事にしたの!あなたは?』
『僕は、ただ色々な事を知りたいから学校に行くだけ。..本がいっぱいあると聞いてここに入学したんだ。』
『え!あなた本好きなの!私も本が好きなの!じゃあ夜の鳳凰も読んだ?』
夜の鳳凰というタイトルは、古語で書かれている。少し勉強をしないと読めないのだ。
流石にこの本は、知らないだろうなと思い冗談で聞いてみた。
『あ..ああ..』
多分知らないだろうなぁ。
その本の内容を説明口調にソルシャは言った。
『あの話展開は、面白いけど最後の話が..』
[面白くない]
私とウィークが同時に言った。
私は、驚いた。
まさか自分の意見が合うのも驚いたがあの本の古語を読んだのがすごかった。
『あははは!まさか同じ意見も言うなんてね!あなたと友達になれそう。』
そう言うとウィークの顔が見やすくなった。少し表情も柔らかくなっている気がする。
『そう..だね。あっ..そうだこの本知ってる?』
と言ってウィークは、座席の下にあるカバンを取り出していた時に..
急にバスが止まったのだ。
どうしたのかと前を見ると林道に一台黒い車が止まっていた。
周りには、森ばかり人もいなかった。
此処は、学校の私有地である。
もしかしたら学校の関係者?もしくは..
『クソォーなんで一本道に車が止まっているんだか。何をしているんだか。』
運転手がバスから降りて前方に止まっている黒い車の運転手に注意をしようと行くと、両手を挙げて青ざめた。
よく見えないが、車から腕を出してバスの運転手にピストルを向けているのである。
ピストルを向けながら車から降りる。
黒いスーツに不気味な笑みを浮かぶ仮面をつけた小太りで身長の低い男が降りてきた。
そしてもう1人同じような服装の男が1人右側のドアから降りて来た。
小太りの方より細く身長も高かった。
小太りの男が運転手を見張り、もう1人がバスの方に近づいてきて中へ入ってきた。
胸から取り出したのはピストルだった。
威嚇の為か上に向けて1発撃った。
乗っていた子供達も銃声に驚いて泣いていた。
私は、なんとか耐えたがウィークの方を見ると椅子から落ちてうずくまっていた。
『うるっせぇーぞ!餓鬼ども泣きわめいたら殺すからな。あとちょっとでも動いたら殺す!』
男が警告したのかシーン静まり返ったが1人だけ泣きわめく男の子がいた。
ウィークだ。
その声に嫌気がさした男がウィークの方に近づいて銃口を向けた。
『やめろー!』
私は、男の腕に噛み付いた。
『イタタタ!何すんだこの餓鬼!』
男が腕を回して放り投げる。
『痛っ!』
頭を強く打ったせいか視界がボヤけそのままソルシャは、気を失った。
『クッソォー噛みやがってこの餓鬼ぶっ殺してやる!』
男が銃口をソルシャに向けると先ほど運転手の見張りをしていた小太りの男が銃を掴み静止した。
ソルシャに噛みつかれた悲鳴が聞こえすぐさま来たのだ。
『兄貴!こいつらは、人質の為にするだろ!』
と制すると
『お前。バスの運転手は、どうした?!』
『やっヤバい忘れてた!』
小太りの男が振り向くと運転手は、いなかった。
そして、車の音が数台聞こえてきた。
『ヤバい憲兵ダァ!あの運転手呼びやがったな!ど..どうする!兄貴!』
『落ち着け!そこで気絶している餓鬼をさらっていくぞ!早く担げ!俺が運転する』
小太りの男がソルシャを担ぎもう1人の男と一緒にバスを駆け足で降り自分達が乗ってきた車に乗り込んでエンジンをかけ走り去った。