第一話 始まり
赤く燃える炎には、至る所に死体があった。
その上を歩く1人の女がいた。
赤い目と赤い髪をしたキラークイーンと恐れられた1人の女性..マリアである。
彼女は、匂いで感じた。
腐った匂いや焼け焦げた匂いが漂い周りには無数の死体があった。
一歩一歩が骨の音、肉の音がミシミシと聞こえる。
『なんの為に戦っているんだろう。』
私は、歩いた。
怖いくらい冷静だった。
友人が死ぬ前に言った言葉が頭の中に響く..
(なぁマリア。人を愛せた事は、あるか?俺は、あるぜ...その為に戦った。守る為に支える為にそのために戦った。...お前を愛していた。..そんな顔をするなよ。笑え前を向け俺よりもカッケェー奴に会え..)
『人を愛せか..そんなもんねぇよ。ただただ殺す殺すそれだけだ。でも孤独は、嫌だな。..うん?赤ん坊の声なんで?ここは国境線だぞ!』
私は、声がした方向に行った。
そして見つけた。
母親らしき人が赤ん坊を守るようにうずくまり死体となって倒れていた。
難民なのだろうか?このままだと危ない。
赤ん坊を抱き上げ顔を見た。
綺麗な白髪に青い目をした天使のような赤ん坊だった。
さっきまで大泣きだったのが私の顔を見て急に泣き止み笑ったのだ。
不思議だった。
赤ん坊の手を触ってみると温かった。
何故か涙が溢れていた。
私は、殺す為に戦った。
それが辛かったのかもしれない。
友人の愛せと言う言葉を理解したのかもしれない。
ただこれだけ言える。
救えた命があったんだと。
『なぁお前私と一緒に暮らすか?こんなクソみたいな世界から逃げるか?』
と赤ん坊に問いかけると、ブワァーイと言った。
『そっかそっかじゃぁ逃げるか。そんじゃ行くか。』
私は、赤ん坊とそこから逃げた。