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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第二十話 ロボット三等兵

 一言で言い表すなら、黒いターミネー○ーだ。

「まだ外皮とか人工臓器のフィッティングも出来ていないのにどうしても見せたいからって言う事を聞かなくて、すみません」

 作りかけのプラモなんかを見せたくてたまらなくなる心理なのかもしれない。

 それと、山本さんが謝ることじゃない。新しいオモチャを自慢したくて仕方無いガキンチョみたいな白神が悪い。

 しかも、よく見れば羞恥心が少しだけ仕事しているのか、全裸ではなく短パンとスニーカーだけは身に着けている。

 海辺でジョギングしてるオッサンか?!

「よく戻ったな、ロボット三等兵」

 ロボット三等兵が何なのかよく知らないが、何となく響きが気に入ったので言ってみる。

 黒いロボットは何か言いたそうにしたが、言葉が上手く出てこないようだ。

「ロボ……ジャナ……ガガガガガガガガ……ピー……」

 壊れたロボットの演出そのものの音を発して手足をジタバタ動かしている。

「ええと、『ロボットじゃない、サイボーグだ。それに三等兵なんかじゃない!』だそうです」

 山本さんがフォローしてくれる。

 どうして分かるのか怪訝そうな顔をしていると、それに気付いたのか説明してくれる。

「発声回路とともに無線通信もオンにしているんです。まだ試運転中ですから安全を考えて多重化しているんですね」

 凄いじゃないか!

 頭で考えるだけで会話できるとか、まるで魔法とか超能力みたいだ!

 こわいロボットの正体が白神だとわかったマサムネとクロが駆け寄り、ペタペタ触ったり引っ掻いたり齧ったりしている。

「ガー……ピー……ピー……ジジジジジジ」

「『うわ、やめろ! 齧るな触るな引っ掻くな! 保護シール剥がすんじゃない!!』だそうです」

 両手をブンブン振り回して二匹の獣を追い払おうとしている。

「ポンコツだから割引してもらって来いよ。よかったら商店街のクーポン使えるか聞いてみるぞ」

 そう言いながら胃がキリリと痛んだ。最初セントロニクス社から提示された見積額は10億圓。

 色々交渉した結果、一定期間データの提供を行う事を条件に6億圓まで下がったけれど、それでも陸軍航空隊の最新鋭戦闘機3機分ちょっとだ。

 僕が今まで稼いだ貯金は全て手付金に消えたし、これから一生掛けても払い終える自信が無い。

 スマホの電卓機能を立ち上げて簡単に計算してみる。

 時間あたりの依頼料を500圓とすると、僕一人が飲まず食わずで寝ずに働いたとして120年以上。

 8時間労働としたら400年だけど、実働部隊は僕と白神とクロとマサムネなので100年。

 タダ働きして光熱費も要らない固定費無視の皮算用だ。

 幸い、今のところ僕の信用スコアは高いので、低金利で借金できるが、このままだと社員一同クトゥルー漁船に乗る日も遠くなさそうだ。

 かくなる上は……事業拡大。

 社員数百人を擁する巨大探偵社になれば数年で返済できるだろう。

 だが、そこまでの商才は僕には無い。

 ――ボムッ!

 色々考え込んでいると、白神が小さな破裂音とともに煙を噴き出すのが見えた。

 ぷらーんと垂れ下がった腕の付け根からはバネとネジがビヨンビヨンと跳び出している。

 漫画に出てくるポンコツロボットの古典的表現だ。

 笑いをこらえようと口を押さえた僕は鼻水を吹き出した。

 山本さんが慌てて駆け寄り、動かなくなった白神のボディを担ぎ上げ、ワンボックスカーの荷台に積み込んでいる。

「もう! 腕も足も仮止めなんですから、無茶しないでください」

 そんな二人を見て僕は決心を固めた。

 残された道は、航空宇宙軍が熱望しカワウソのポルさんが狙っている”スター・デストロイヤー”しかない。

 このままではポルさんの民間軍事会社の駒として使われるだけだが、僕が主導権を握る。

 だが、その前に白神をセントロニクス社に送り返して完成させておこう。

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