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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第十八話 戦う船

 墜落宇宙船の説明は一通り終わった。

 電子戦に気を付けろという事と、AIがまだ生きていて敵対行動と見做されると容赦なく攻撃してくるという事、それでも航空宇宙軍は喉から手が出るくらいエイリアンテクノロジーが欲しいから、もし入手できたらとんでもない高値を付けるだろうという事だ。

 最後の戦いから二〇年以上も経つのに回収に成功していない理由としては、機材の電子装備を尽く使用不能にされてしまうのに加えて、ルルイエの魔素の薄さから、兵士が充分な魔法防御を展開できないためだという。

 最初は大規模だった回収作戦も年々規模が縮小され、今では遠くから観察して記録を付けるだけに留まっているという。

 つまり、ポルさんは危険極まりないスターシップの回収を行い、航空宇宙軍に売り付けようとするとともに、軍部との繋がりを強化するつもりらしい。

「あのカワウソはガッポリ儲けて、お前さんは端金と名誉を得るってとこだな。平常運転じゃないか、死なない程度に頑張れ」

 全然納得行かないのだが、こちらは下請けの立場だから仕方無い。

「それだけですか?」

「ああ、それでは参考になるかわかりませんが海軍と陸軍の立場からいくつか情報を」

「よせやい。俺ぁ陸軍から体良く追ん出されて二〇年だぜ」

「二〇年程度で陸軍の何かが変わるとも思えないし、大丈夫ですよ」

 ちょっとピリピリした空気が漂っている。

 この二人、普段は仲良さそうに見えるが、お互いに含むものがあるのだろうか?

「まあそうだな」

 サジさんがふ~っとため息をつく。

 少し離れて立っていたリー少尉がホッとした表情になるのが見えた。

「まずは……白神は連れて行くな」

 数日のうちに白神の修復は完了し、サイボーグ・白神として蘇るはずだ。パワーもあるし何なら空も飛べるはずなので貴重な戦力になると思っていたのだ。

「最新ステルス機だって丸裸にしちまうような高出力・高精度の電子戦装備だ。戦闘サイボーグ程度じゃ一瞬で焼き鳥になって終わりだぞ」

 言われてみればサイボーグなんて電子部品の塊だ。

 パチパチと火花を散らしながら煙を噴いて落ちてゆく白神の姿が目に浮かんだ。

「わかりました。ルルイエまでは一緒に行くかもしれませんが、荷物運びでもさせておきます」

 イカの化け物みたいな邪神をインスマウスの居酒屋にでも卸せばいい小遣い稼ぎにはなるだろう。

「そんなもんだな。あとは海軍さんの見解よろしく」

 フジヤマさんが頷いて後を引き取った。

「スターシップですが、推定で排水量は一万トン前後という事でしたね」

 リー少尉が頷く。

「マナの薄いルルイエでそれだけの重量を引っ張り出せる機材をどう調達するのか疑問でしたが、座礁地点近くで現地調達をする可能性が高いです」

 大量の邪神にロープを結んで引っ張らせている光景が浮かんだが、あまりに非現実的過ぎる。

「アレかねえ?」

 サジさんがポツリと言う。

「アレですね」

「アレってなんですか?」

「アレも海軍の管轄なのちょうどいいです……」

 フジヤマさんがコンソールを操作すると、大モニターには氷の上に擱座した三本マストの軍艦らしいものが映し出された。

「これは……」

「大日本帝国海軍 防護巡洋艦『畝傍(うねび)』です」

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