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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第十五話 くるまげどん

 ポルさんから聞いた話はにわかには信じられない内容だった。

 航空宇宙軍が欲しがっている『それ』は宇宙から落ちてきたという。

 一般には知られていないが、この惑星は実は宇宙からの侵略者に脅かされており、今までに何度も小競り合いが発生しているという事だ。

「もしもしサジさん? ちょっと宇宙戦争について聞きたいんだけど」

 何だか無敵モードな気分になってしまった僕は、首都警のサジさん、つまり吉村さんの旦那に電話を掛けた。

 五〇代半ばで十九歳の娘っ子を孕ませる不届きな奴だ。いや、もう臨月近いから行為に及んだのは十八歳の頃か。

 許せん。

「なんだ矢巻。その話題はヤバいから監視ネットワークからピーピー警報が上がってうるせえんだ。話したいならこっち来て話せ」

 この世界は表向き通信の自由はあるけれど、実際には全部盗聴されて監視されているようだ。

 まあ、話すのは自由だろうけど監視するねって事だ。

 百二十億もの人口を擁する国ならば仕方無い事なのかもしれない。

「わかりました。すぐに行きますんで資料があったら見せてください」

 何も言わずに電話が切れた。

 つまり、返事が出来ないイコール見せてもオーケイだという事だろう。

 何だか今の僕は冴えている。

「マサムネ、クロ留守番頼んだぞ」

 事務所の隅でじゃれ合っている白と黒の獣たちに声を掛け、僕はATVに乗り込んだ。

 ウサコさんが乗った可能性も考えてバイクのシートは温存しておくのだ。

 考えてから自分でも相当キモいと思ったりしたが、夜のオカズは大切。

 シャッターを開けて事務所のガレージからATVを出す。

 自動運転にして目を閉じるが、すぐに渋滞に引っ掛かってノロノロとしか進まなくなった。

 日差しが結構強くて無風状態ではかなり暑い。

 送風しか無いエアコン? を最強にしてみたが焼け石に水だ。

 自販機かコンビニを探して入ろうにも余りに進みが遅い。

 ワンボックスカーの方を使えば良かったのだが、なんとなく気分でこっちにしてしまった事が悔やまれる。

「あぢぃ~。あぢぃ~よぉ~」

 馬鹿みたいに独り言を呟いても誰も聞いてくれるわけでもなく、段々アホらしくなってきた。

「帰るかな……」

 言った途端に近くのビルのロビーに自販機があるのが見えた。

 神は僕を見放さなかったようだ。

 道の端に寄せて買いに行くのも面倒なので、車の流れが止まった瞬間を見計らって飛び降りて走った方が早そうだ。

 戻る時は逆の手順でいいだろう。

 僕はシートベルトを外し、助手席側に移ろうとした。

「シートベルトが装着されていません」

 電子音とともに合成音声の警告が響いたが知った事か。

「加速します。ご注意ください」

 え?

 運転席と助手席の間で中腰の姿勢だった僕は見事にひっくり返り、二つのシートに挟まった。

「この先、渋滞は無い見込みです。直行します」

 シートの間でヘンテコな姿勢になっている僕を乗せてATVは軍警察の本部に向かって走り始めた。

ねんがんの朝上げです。

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