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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第十一話 時空旅行者は緑の海に漂う

 僕は事務所の椅子に腰掛けてマサムネを抱っこしている。

 懇親会、親睦会、打ち合わせ……etc

 最初は他人の金で酒が飲めると喜んでいたものの、毎日続くとさすがに疲れる。

 ずっと二日酔いで頭の芯に何か重金属でも詰まっているような感覚だ。

 昼間は昼間で白神の再生計画のために走り回っていたし。

「縦割り行政のお陰で違法デバイスを科学省に持ち込んでもお咎め無しだし、残ってる生体組織と機械の接続も問題無さそうだしで、あとはドンガラ探すだけだな」

 マサムネを撫でてやると気持ち良さそうにクゥ~と鳴く。

 必殺技さえ放たなければこんなに手間が掛からなくて可愛い奴はいない。

 尻尾の付け根を揉んでいるうちに愛らしい寝息を立て始めた。

 机の上に座布団を置き、丸くなったマサムネを安置し、小さくて柔らかい毛布を掛けてやる。

「さて……」

 フランソワさんとウサコさんは既にセントロニクス社に着いて打ち合わせを始めている頃だろう。

 接続インターフェイスの詳細についてらしいので、食事でもしがてら向かう事にすれば充分に間に合うだろう。

 昨日の時点ではネクロマンサー姉妹の力を借りなくても外付け機器の補助で非合法デバイスが稼働していたので、あとはボディを選んで組み込み、微調整をすれば白神ブリキ人形の出来上がりだ。

 違法デバイスについてはポルさんが所有権を放棄しているので僕の裁量でどうにでも処分出来る。

 もっとも、基本的に一回きりの使い捨て機器なので、次に誰か死んでも使えるかどうかわからない。

 治癒魔法を頭に掛けると二日酔いの痛みは少し治まった。全身にプロテクションの魔法を掛けてバイクに跨る。僕だってちゃんと防御魔法や治癒魔法は使えるようになってきているんだ。主力の攻撃魔法だって威力の制御がいまいちなだけで、ちゃんと一〇〇メートル先の一〇メートルくらいの的にはほとんど当たるし。

 事務所のシャッターを開けて走り出す。

 南極は寒かったが、ロストックは既に桜も散って初夏の陽気だ。

 新緑が眩しく、風が気持ちいい。

 このまま何もかも放り出してどこかに行ってしまおうか。

 昼下がりの空いた道を走りながら思う。

 何の責任も無かった地球の高校生だった頃と比べたら、この一年ちょっとで背負う物が多くなり過ぎた。

 別に逃げたって構わないよな。

 きっと誰かがどうにかするだろう。

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