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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第八話 傭兵たちの晩餐

しばらく間が開いてしまいましたが再始動です。

厚○省め……。

「うっひょー! 美味いぜ!! 美味すぎる!!!」

 インスマスの居酒屋で傭兵どもが大騒ぎしている。

 たしかに海産物はめちゃめちゃ美味い。

 店員の半分が魚顔な事をスルーできればとっても幸せだ。

「白神はんは宿に置いてきて正解でしたなあ」

 ポルさんも獺祭(のデッドコピー品)を煽りながらイカやらタコやらを喰らって上機嫌だ。

 あんだけ邪神を食った後でまだイカやタコ食いたいのか?

 僕はホタルイカやイイダコをつつきながらちょっと不思議な気分になった。

「白神は何も食えないし、死体持って居酒屋来るわけにもいかないですしね」

 で、お酒飲めない妊婦が居酒屋にいるのはどういう事だ?

「美味しい料理を味わう権利はあるよね? あと、八巻は飲み過ぎる傾向があるから監視役」

 何も言い返せません。ごめんなさい。

 クロが猫用のミルクをちびちびやっている。

 ちゃんと身の丈に合った物を飲んでいるな。グールズバーグ120億市民の模範だ。

「なあ、マサムネ。え? マサムネ!?」

 なんか、銀髪で紅い目の美少年が横にいる。

 その椅子にはマサムネがいたはずだ。

「ヤマキ、そう驚くことはありませんよ。私も人化の技を身に着けたのですから」

 口調まで変わっているぞ。

 お前はちょっとカタコトで話すもふもふしたケモノだったはずだ。

「いつまでも同じではいられないのです。人も、獣も」

 銀色の長髪を掻き上げながら超絶美形の少年はワインを煽る。

「まあいいや。で、ポルさん」

 なんだかわからないブルーハワイ色の飲み物をカポカポ煽り始め、美人ネクロマンサー姉妹にじゃんじゃん酌をさせているカワウソの化け物に話し掛ける。

「白神の体だけど、あんな状態じゃゾンビにもならないでしょ。デバイスもあんまり保たないから培養して再生したりクローン作ったりするのも間に合わないし……」

 恐る恐る聞いてみる。

「サイボーグボデーやな。あのロボティクスだかメカトロニクスだかいうエルフやらドワーフがぎょーさんおるロボット会社で一つ買って脳ミソと残りのモツ突っ込めば治るわ」

 カワウソという種族的なものなのか傭兵稼業なんかやっているからなのか、えらく雑な答えが返ってきた。

「そこにオーガが一匹おるやろ。アイツも去年左腕ふっ飛ばしたけど一本買ってつないだら絶好調や。腕は落ちたけど腕が上がったってな。ガハハハハ」

 ちまっとした指で指された先で昼間対物ライフルをぶっ放していた赤鬼みたいな奴が、アニメに出てくる悪者が持っていそうな盃を掲げてみせた。

 ちょっと欲しい。一体どこで売ってるんだろうか? 帰りに魚顔の店員に聞いてみよう。

「アイツも結婚資金全部飛んだって嘆いとったけど、その分ぎょーさん稼いですぐ取り返したでよ」

 堅実なのかそうじゃないのか全くわからない。

「民間警備会社でもやんなら高性能に越したことはないけんど、探偵で猫探しするくらいなら中古のポンコツでも充分だで。150のスクーター1台分くらいや」

 さすがにそれは可哀想だ。それに探偵業をバカにされたようで少しムッとした。

「おおすまん。せやかてピンカートンするつもりでもあるまいに」

 僕がキョトンとしているのを察したのか、吉村さんがそっと耳打ちしてくれる。

「結構武闘派だったアメリカの大手探偵社。今はどうなのか知らないけど」

 耳に息がかかってちょっと気持ちいいです。

 僕の表情を見た吉村さんは露骨に嫌な顔をした。

 ああ、そういう蔑む目線も良いです。

「ヤマキ、童○こじらせるとヤバいぞ」

 僕はクロの尻尾を掴んでミルクの皿に頭をドブ漬けしてやる。

「何すんだよ!」

 ポワンと人間形態に変身したクロがテーブルの上に立ち上がって飛び掛かってきた。料理を載せた皿や酒瓶が跳ね飛ばされて散乱する。

「まあまあ、やめねえか」

 中年ゴブリンの傭兵が優しく宥めにかかったところにクロの肘が直撃、鼻血を出したゴブリンの顔が仏様から阿修羅に変わった。

「だ、大魔神……」

 吉村さんがつぶやきを漏らしつつカウンターの裏に退避してシールドを張るのが見えた。マサムネもちゃっかりイタチの姿に戻って抱っこされている。

「よそ見してんなよ」

 クロの猫パンチが炸裂し僕は隣のテーブルをなぎ倒して床に転がった。

「なんだ? 喧嘩か?!」

 隣席の客はこれまた血の気の多そうな荒くれ者だ。

 首根っこを掴まれて元の席に投げ返されると、サイボーグアームのオーガが受け止めてくれる。

「おもしれえ、やっちまおうぜ」

 獰猛な笑みに僕はチビりそうだ。

 大喧嘩が始まり、インスマウスの夜が更けてゆく。

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