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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第三章 亡き友の魂への誓い
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第五話 苦・リトルリトル物語

「しかしなあ、白神」

 僕はマサムネの食料として積んできたカリカリを頬張りながらビールを煽った。

 酷寒の南極圏で動物の餌をつまみに飲むビールも悪くない。

 マサムネは最初拗ねていたが、手からカリカリを食べさせてやるときゅ~んとか言いながら上機嫌になった。

 単純な奴はいい。

 単純で可愛い。

 イタチが白くて面白い。

 問題は白神だ。

「なんでこんな事をしたんだ?」

 どストレートに聞いてみた。

「あのなあ、俺だってヒーローとかなってみたかったんだよ!」

 半透明の白神が答える。

「お前はなんだかんだでこの世界の勇者だろ? 吉村さんはツガイを見付けて交尾した!」

 (旧姓)吉村さんの鋭い裏拳が白神の半透明な体を両断した。

「交尾言うな!!」

 わかるよ、わかる。

 童貞こじらせた者同士、傷の舐め合いでもするか?

 いっそ同性愛に目覚めて別の物舐め合ったりするか?

 なんか、今までのクリスマスの事を思い出して切なくなってきた。

 資産の半分以上失っても助けてやるからな。

「「はぁ、俺たちめんどくさいよなあ」」

 完全にシンクロした非モテ二人の声をよそに、背後ではリズミカルな銃声が響いている。

 僕も何もしていないわけではなく、ちゃんと片手間にポルさん、オーガ、人狼、ゴブリンといった傭兵どもにマナを供給している。

 まあ、魔力モバイルバッテリーみたいなもんだ。

 ここ、ルルイエでは大気中のマナが非常に薄いと言われているらしく、普通の魔法能力では銃弾に大した威力を乗せられないらしいのだ。

 僕はそんな事は一切感じなかったし、今も傭兵部隊に大気中から吸い取って圧縮したマナをガンガンに供給している。

 とりあえず出番はしばらく無さそうだが、人間バッテリーとしては寝るわけにもいかない。

 カリカリ美味いし。

 なんか今回積んできたマサムネ用はエビ味だ。

「傭兵さんたち、射撃上手いよな」

 話題もあまり無いので白神に話を振ってみた。

「そりゃ本職だしな」

 全くつまらない答えが帰ってくる。

「ところで、『ゾンビの群れから逃げ切ったら百万圓』って何なんだ?」

 多少は面白いかもしれない話題を振る。

「ああ、あれな。ゾンビって人間だった頃の記憶があるっぽいじゃん? だからウニとかカニとか美味いやつだけ拾って食おうとするらしいんだけど、殻があるからそのまま飲み込んで、胃が破裂するまで食い続けるらしいんだ。だから、ゾンビを海まで誘導してその後一網打尽にすれば超美味い海鮮捕りまくりって事なんだと」

 聞かなきゃ良かったと超絶に後悔した。地上で薙ぎ倒されている魚介っぽい邪神群と合わせてしばらく海鮮が食えなくなりそうだ。

「そうそう、邪神も火を通せば超美味いらしいぞ。食い過ぎると狂うらしいけど」

「もういいよ。なんか色々とつらい」

 エビ味のカリカリにゾンビ由来の成分が入っていない事を祈りつつ、僕は新しい缶ビールのプルタブを引いた。

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