プロローグ
「ごめん矢巻、俺、死んじまった……」
衝撃の告白に僕はあまり食欲も無いのにちびちび啜っていたカップ麺を取り落した。
白神、体透けてるし、わかりやすい奴だな。
「違法な魂定着デバイスによって、なんとかこの世に繋ぎ止められてる状態ね。あれって結構高いはずなんだけど」
後ろから話し掛けられて僕はカップ麺を食べていたブラスチック製のフォークを取り落とす。
こっちではカップ麺を食べるには箸よりもフォークが主流で、折りたたみ式のプラフォークが大抵付属している。
貧乏性だから再利用して使ってないフォークのストックが社長机の引き出しには大量にたまっているけど、今、そのストックが一つ減った。
話し掛けてきたのは(旧姓)吉村さんだ。いつの間に戻ってきたのだろうか?
おなかが少し目立って、全体にふっくらとしてきているのがややエロティックだ。
「特別天然記念物であるゴブリン上位種の脳をいくつも使って、人間の魂というか記憶を移し替えられるデバイスが闇で出回ってるのは知ってた」
ごめんなさい。探偵社社長だけど僕は知らなかった。
「そこのネクロマンサー姉妹が魂の定着に必須だし、多分、二週間くらいしか保たない」
美少女ネクロマンサー姉妹はなんか怯えている。(旧姓)吉村さん、母になるにあたって凄みが出てきているな。
「えろうすまんかったのう」
ペタペタ、ポテポテという足音とともに巨大なカワウソが入ってきた。
民間軍事会社社長のポルさんだ。
どうも相性が悪いマサムネは全身の毛を逆立ててもふもふのボールのようになって戸棚の陰に逃げ込んでしまった。
同じイタチ科同士、仲良くすればいいのに。
「白神はん、ウチの仕事受けてたんだけど、戦死してもうたんや」
相変わらず何弁かわからない胡散臭い方言だ。
しかし、戦死って?
表向き警備会社となっていても民間軍事会社なのは明らかなのだが、その実態は不明瞭なんだよな、この人の会社。
いや、正確には人じゃないが、この世界では一定以上の知能を持った種族は人権が認められるし。
「政府から請け負ったルルイエの威力偵察で、一口でパクンとイカれてしもーたんや。ショイヨルよか安全だと思ーたんやけど、運が悪かったわなあ」




