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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第二章 魔王の秘宝
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第二十七話 民警、動く

 チャンとかいう劇団員とその同僚には相応の報酬を支払って帰ってもらった。

 ヤクザじみた不良刑事とその部下のチンピラの役はキッチリと演じてもらえたし、特に不満はない。

 あとは僕がキッチリと役割を果たすだけだ。

 モルグ――。

 この世界でも不幸な事故や事件で命を落とし、警察の死体安置所に運ばれてくる死体は少なくない。

 大きく深呼吸をする。

 ホルマリンと死臭の入り混じった匂い。

 自然と笑みが溢れる。

 僕は静かな声で長い詠唱を始めた。

 この世とあの世を繋ぐ、魂を置き留めるための(しゅ)だ。

 硬直した死体の一つがムクリと起き上がる。

「おかえりなさい。終わりの一日にようこそ」

 僕はそっと冷たい女を抱きしめ、その体を愛撫し始める。

 最初は戸惑いがあった彼女も、いつの間にかその気になってきたようだ。

 足首に付けられたタグを見ると、不倫中に不倫相手に殺された人妻らしい。

「いいね、いいね。僕は若い娘も好きなんだけど、キミみたいな女性も大好きだ」

 人語とは思えない呻き声で女は答えるが、僕はその言葉を唇で塞ぐ。

 流れ込んでくる腐臭がたまらない。

「僕といい事をしたら、その後でもう一働きしてもらうからね。なあに、もう一度死ぬだけだよ。怖くないからね」

 その意味を理解したのかしないのか、冷たい体をした女は情熱的に僕を抱き締める。

 周囲では頭を失った男や、捻じくれた体の子供が蠢き始めていた。


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