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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第二章 魔王の秘宝
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第二十三話 視点、切り変わる

本日二回目の更新です。

夢の四連休が夢の一連休にならなければ……。

 矢巻くんがいなくなってもう一週間。

 逮捕されてから十日になる。

 サジさんの言う通りに、首都警本部の寮に引き篭もって、電話は着信拒否にした。

 民警との合同捜査の一環で、時が来るまで詳しいことは知らせられないと言われたけれど、矢巻くんの事は心配していないわけじゃない。

 誰も知らない土地で一人放り出されて、心が折れてしまうかもしれない。

 でも、私はサジさんの言う事なら何でも聞いてしまう便利な女。

 そろそろ抱いてくれてもいいのに。キャッ!!

「で、そろそろあいつが大事件起こすらしいけど、俺らは何もしなくていいの?」

 白神くんがソファに横になってエナジードリンクを飲みながらダルそうに言う。

幸生(サチオ)さんがいいって言ってるんだから間違いないよ」

 ちょっと口調が強くなって、秘めた乙女心が漏れてしまいそうです。

「ああ、おめーはサジにべた惚れだからそう言うだろうけど、一応矢巻の心配もしてやってくれや」

 面倒くさそうに白神くんが言います。心も体もあの人の奴隷、もう他の男の事なんか考えられないのがバレていますね。

 こいつはちょっと痛い目に遭わせてやった方が良さそうです。

 白い獣がチョロチョロ走り回って、私の肩に登って囁きます。

「マサムネの言うことによれば、今夜決行だそうですよ」

 最近お風呂に入れていないので、マサムネ臭いです。

 獣臭さと麝香の様な匂いが入り混じってかなりマニアックな匂いです。

 マサムネのお風呂は矢巻くんのお仕事だったので仕方ないですね。

 痒そうにしたら私が洗ってあげようと思いますが、今のところは特に必要なさそうです。

「首都警と民警総出動で、住民避難も終わってんだろ? 俺らの出番無いじゃん?」

 白神くんも男の子だし、首都警だか陸軍の予備役っぽい役目に就いているので気になっているようです。

 ちなみに私は九月相当の月から華の女子大生です。探偵業はアルバイト程度ですね。

「白神くん、出動しないんだ」

 なんか地雷を踏みそうな気もしたけれど、一応聞いておきます。

「ああ、サジの野郎、練度不足だとか言いやがって。実戦を経験しなきゃ練度なんか上がんねーだろ?」

 やっぱり浅はかな若い男の子です。幸生さんの言う事が聞けないようじゃ、いつまで経っても三等兵ですね。

「それはさておいて、矢巻くん、どうなっちゃったんでしょうね? 民警のあのキモオタみたいな小池さんでしたっけ? 小太りでメガネのべったりした髪の。あの人が言うには相当ヤバい案件みたいで」

 そう、今回の事件自体、矢巻くんを餌に謎の組織を釣り出すのが目的らしく、私たちにも詳しいことは教えてもらえないのです。

「小池かあ。あいつ気持ち悪いよな。死体を前にすると物凄く生き生きし始めるし、どうやらサジの知り合いみたいだし、不気味過ぎる」

 確かにあの人はちょっと気持ち悪いです。

 変な性的嗜好みたいなのが根底にあって、その執念を原動力に捜査をしてるみたいで。

「確かにそうだけど、多分捜査員としての能力は凄いと思うんだよ。サジさんも凄いけど、あの人は実戦部隊の武闘派としての方が凄いし。小池さんはなんか、ねちっこい捜査員として超一流な感じがするんだよね」

 白神くんは寝返りを売って背中を向け、フンッとため息を漏らした。

 マサムネは私の耳を甘噛してザラザラの舌で舐め始める。やめて、変な趣味に目覚めそう!

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