表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第二章 魔王の秘宝
45/107

第十三話 事務アンドロイド、受肉する

 山本さん、どうしちゃったの?

 僕の脳は現実を受け入れられずにグルングルンしていた。

「発売前のプロトタイプのパーツまで使い切ってやったからな。疑似人格回路以外は全部新品だあ。お前らのいた世界じゃ、オッサンが美少女になるの流行ってんだろ! ガハハハハ」

 『親方』が豪快に笑う。子分どもも嬉しそうだ。

 いかん、この人たちは自分らで勝手に盛り上がって自己完結するタイプだ。

 聞きたい事はさっさと聞いとかないと。

 しかし、バ美肉なんてのも既に知られているとは。

 一体この世界は年間何人が転生してくるんだろうか?

「あ、ありがとうございます。ところで、先程のイースターエッグのお話なんですけど、魔法を使って同じような事って出来ますか?」

 『親方』は一瞬ビクッと体を震わせる。

「お、お前、なんでそれを知ってるんだ?」

 え、僕何かまずい事聞いちゃいました?

 主人公っぽい事を考えていると、『親方』が渋々口を開いた。

「今回山本さんにも組み込んだ生体パーツ作ってるエルフの連中が何かやっていてな。前に実験成功したとかで、ウチ部隊の冷蔵庫を勝手に空っぽにしてどんちゃん騒ぎしやがった。高級牛肉と火酒の恨みは忘れん」

 生体パーツに何か仕掛けがあるというのと、こっちのエルフさんは肉食系という事はわかったが、『親方』も詳細は知らないようだ。

「紹介状書いてやるから見学に行ってみな。土産にワギュウと強い酒持っていくと口が軽くなるぞ、多分」

 『親方』は勝手にプリンタから用紙を抜き取ると、サラサラと手紙を書き上げ、子分から手渡された作業報告書とともに僕に差し出した。

「報告書のとこに日付とサインをくれ。山本さんには書いてもらったから、雇用主のお前のだけでいい」

 僕は漢字で”矢巻総一”と書いて手渡す。

「こっちの文字で書かねえのは見所があるな。じゃあ、俺らはこれから宴会だから」

 Vツインエンジンの爆音を響かせて怒涛の勢いでドワーフ御一行様は去って行った。

 ご近所さんから苦情が出ないか心配だが、こっちの人たちは基本的に「緩い」ので、多分大丈夫だろうと自分に言い聞かせることにした。

「ヤマキ、ライラも帰るぞ。向こうの連中も心配してるだろうから連絡しとけ」

 ライラちゃん、言語チートも無しにこっちの言葉習得しているけれど、むさ苦しい男所帯で暮らしているせいか男っぽい喋り方なんだよな。

「わかった。一報入れとく」

 "山本さん、治った。バージョンアップ済み。練習中メンバーは追い出されるまで粘っておいて"

 スマホから従業員一同とサジさんにも写しを入れて送信する。

 ライラちゃんにも写しは入れてあるが、さっさとバイクに飛び乗って帰って行ってしまった。

 山本さんがこちらを向いてニッコリと微笑んだ。

 とろけそうになる笑顔だ。

 通信機能は内蔵してるから僕からのメールを「読んで」反応したのだろう。

 一瞬遅れてポンコのスマホからオナラのような音が響く。

 どうも動物どもの美的感覚はよくわからない。

「社長、説明不足なの。みんなビックリするの」

 いいんだ、サプライズってことで。

 山本さんとポンコに言い含めておく。

「しかし、僕が何かしたわけじゃないけどちょっと疲れたな」

 事務椅子の背凭れにぐったりともたれ掛かると、山本さんがお茶とお菓子を持ってきてくれた。

「この度はご迷惑おかけして申し訳ありません」

「いいんです。気付けなかった僕の方こそ申し訳ないと思っているので。って、山本さん!? 食べても大丈夫なの?」

 自分の分のお菓子をさっさと口に運んでいる山本さんを見て僕はちょっと焦った。

「ケロリンさんも言っていたように、バージョンアップで生体パーツを組み込んだので、むしろ食事は必須です」

 あのドワーフの『親方』、ケロリンって名前なのか……。

 僕は口に含んだお茶が鼻から噴き出ないように必死にこらえた。

「鉄の心を持っていても、身体は乙女なんて変な感じです」

 なんか、山本さんが変な事を言い出した。

 いや、確かに今までのボディとのギャップもあるだろうから、すぐには馴染めないのだろうけれど。

 きっと山本さんのことだから、明日には生まれた時からこの姿だったように振る舞ってくれるだろう。

 だが、なんとなく引っ掛かるセリフだ。

 山本さんがどうのではなく、どこかで似たような言葉を聞いたような記憶があるのだ。

キャラ構成の男女比がやっといい感じになってきました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ