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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第一章 グールズバーグへようこそ
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第十一話 空から女の子が降ってきた

 宝探しだ。

 ワクワクしないかと言われればワクワクしてはいる。でも、ホンネを言うとゴミの最終処分場でゴミ漁りをしてるような気分がしなくもない。あ、でも男の子だからジャンクヤードで色々漁るのは本能に従ってるだけだ。実は何も問題無いんじゃないかと思ったりしたけど、やっぱりちょっと問題ありだ。

 吉村さんがこの仕事を受けた時は、もうちょっとワクワク感が強かったんだけど、僕の考えていた宝探しとはちょっと違った。

 そもそも、この防護服が相当蒸れる。いろんなセンサーやら通信機が付いていて結構重い。

 そして、この宝探しクエストでやる事は基本的に三つ。歩き回る。新しく堆積したゴミの山を掘り返してみる。タブレットのカメラを向けて鑑定。珍しい物なら回収するけど、九十九%はただのゴミだ。

 もし、良い物が回収できればレア度に応じた金額がボーナスとして日当にプラスされる。鑑定が長引く場合は日払いじゃなく、後日口座に振り込み。

 トレジャーハンターというより、発掘作業員だな。

「あれ、レアなんじゃない? どうぞ」

 無線を入れてきた吉村さんが指差す方を見ると、物凄い数のくいだおれ人形が積み上がっていた。渡されたタブレットのカメラを向けると、しばらく待たされて鑑定結果が出る。

『オブジェクトとしては珍しくは無いが、稀に起きる次元断層の時間線への干渉の産物。異世界の時間を未来から過去に向かって切り取り続けた結果である。周辺の様子も大切なサンプルのため研究者に連絡後、手を触れずに放置すること。ボーナス対象』

 なんか、それなりに良い物を見付けたようだ。幸先がいい。兎人のお姉さんにも褒めてもらえるかもしれない。でも、あの巨大なオークの婚約者なんだよな。きっと夜にはあんな事やこんな事して、すごい事になってるに違いない。ちくしょう。

「じゃあ、これはマーカーだけ置いて次行こう」

 吉村さん、結構仕切り屋だ。あんまり考えなくても良くて楽だからついていこう。

 ガベージのあちこちをウロウロしていると、ちょっと開けた場所に出た。ゴミの山に遮られずに空から物が落ちてくる様子が見渡せる。

 どうやらバリアと言うよりも何らかの力場みたいな物が上空に展開されていて、落下速度を抑えているようだった。パリーンと割れる心配はなさそうだ。

「おい、あれってヤバくないか?」

 白神が僕の背後の上空を向いて言った。

 振り向いて空を見上げると、血まみれの人体のような物がゆっくりと落ちてくるところだった。二人、いや三人……。高度が下がってよく見えるようになったそれは、現代兵器で完全武装した歩兵の死体のようだ。もう一つ遅れて落ちてくるのは、まだ生きた人間。どうやら子供のように見える。ふわふわと落ちながらジタバタと暴れていた。

 吉村さんが本部の警備担当に連絡している声が無線から聞こえた。

 上空の力場は地上数メートルの所で途切れているのか、兵士の死体らしき物は急に自由落下を始め、ドサドサと音を立てて地面に転がる。腕や脚が落下の衝撃であらぬ方向を向いてしまうのに、全く反応が無いのはやっぱり死んでいるのだろう。

「女の子だ! 助けないと!!」

 白神に言われるまでもなく、褐色の肌をし、粗末な服を着た少女の真下に駆け寄る。あまり考えずに腕を差し出し、抱き止めようと待ち受けた。

 少女と目が合う。まだ幼く見えるし、薄汚れているが、物凄い美少女だ。下心にブーストが掛かって、差し出した腕に力を込める。

 仰向けの姿勢で落ちてくる少女をお姫様抱っこの要領で受け止めるつもりだったが、彼女は自由落下が始まった瞬間腕と足を振って姿勢を変えた後、体を縮こまらせた。落ちてくる先は僕の腕の中。

 抱き止めた、と思った瞬間に、ポキーンという快音が響いた。痛みは数瞬遅れでやってくる。落ちてきた少女が左足を思い切り踏み降ろし、僕の腕をへし折ったのだ。前腕がくの字に曲がるのがハッキリと見えた。彼女はその反動で右足を振り上げ、側頭部への強烈な蹴りで僕の意識を刈り取った。

ボーイ・ミーツ・ガールの基本ですね。

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