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グールズバーグの春を愛す ~屍食鬼の街の魔法探偵事件簿~  作者: 吉冨☆凛
第一章 グールズバーグへようこそ
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第十話 はじめてのクエスト

「正体がわからない物や武器みたいな物があったら触らずに警備担当に連絡すること。線量計が警告出したらすぐに退避すること。その他の警告でもちゃんと退避すること。あとは、休憩は二時間に一回必ず取ること。とくに水分補給とミネラルタブレットは忘れないで」

 白衣を着た、いかにもミスター・オークという容貌のお兄さんが説明してくれます。身長は二メートル弱といったところでしょうか。見た目からすると家に姫騎士とか飼ってそうですね。ごめんなさい、ヘイトスピーチするところでした。でも、『くっ! 殺せ!』を目覚まし時計代わりに聞いてそうな雰囲気ビンビンです。

「あと、僕は姫騎士とか飼育したりしていませんから。ちゃんと婚約者もいますし」

 最近のオークは読心術が使えるようです。下手な事を考えないようにしましょう。あ、別に写真を見せなくても……、あら、白くてもふもふで可愛い兎人のお嬢さん? やっぱりおまわりさんこっちです。

「彼女は大学時代の先輩で、サドウのサークルで知り合ったんですよ!」

 左道密教でしょうか? 怖いですね。人の頭蓋骨にお互いの体から出た分泌物を塗り付けながら踊ったりするのでしょう?

「ああもう! そんな事はしませんし、どうでもいいですから! ちゃんと注意を守って。ご安全に!」

「「「ご安全に!」」」

 なんか強引に話を打ち切られた気もしますが、そもそも私たちは仕事をしに来ているのでした。反省。

 白い薄手の防護服を身に着け、おなかに線量計を貼り付けます。別にこの地域が放射能汚染されているわけではないらしいですが、念の為らしいです。

 ここは、この世界に開いた異次元回廊というか、異世界からの穴が開いている場所らしいです。こっちから吸い出される心配は無いようなのですが、万一沈んで圧潰した原潜の機関室や廃炉になった原発から部品とか落ちて来た時の用心だそうです。そんな時にはこんな物は役に立たない気がするのですが、すぐ死んでしまうカナリアより、戻って来てから死ぬカナリアのほうが良いという事でしょうね。

 『ガベージ』と呼ばれるこの地域は、首都から空飛ぶ車で二時間くらい荒野を走った先にあります。走るのか飛ぶのかどっちかにしてもらいたいですが、首都警のワゴンと同じような仕様のミニバスで連れてこられました。ボロっちいミニバスも飛ぶとそれなりに速いので、多分、東京と大阪くらいの間の距離じゃないかと思われます。

 そう言えば、親戚の頭のおかしいバイク乗りのオジサンは、東京~新潟間を一時間半で走ったとか自慢していましたね。

「一覧表にある物で、☆印の付いてない物は無視して構わないらしいよ。鑑定も必要ないって。リストに無くて見た事無いような変な物は即連絡だって。どうぞ」

「了解。どうぞ」

「了解。どうぞ」

 男どもも素直に従ってくれます。幸先がいいですね。兵器に関しても、一般的な形状だったら、発射しないように注意しながら運べば別に触ってもいいらしいですが、私はどこを触ったら弾が出るのかイマイチよくわかっていないので、素直に警備担当に連絡することにします。構えるだけなら良いけど、トリガに指を掛けるとその瞬間に『指トリガ警察』というのが来るという都市伝説もありますし。

 あ、警察と言えばサジさんかっこいい……、じゃなくて中世ジャガイモ警察もこの世界じゃ出番無しですね。インカ帝国直輸入の種から最新の品種まですべて揃っているそうです。

 そもそも今が魔王歴八千百九十一年で、初代魔王が誕生した頃の世界が丁度地球の中世くらいの発展度合いだったみたいですし。ジャガイモくらい入ってきてますよね。中世ヨーロッパみたいなド田舎じゃないんですから。

 元いた世界を擁護するなら、古代ローマが栄えたり、それより昔の、ろくに記録も残っていない伝説上の国も、それなりに文明化されていたみたいですけど、断絶しちゃってるんですよね。毎回毎回車輪の再発明しまくって、何回目かでやっと軌道に乗ったのが現代の地球文明なんですよね。

 万世一系の魔王様とかいたら、地球ももうちょっとマシになっていたかもしれませんね。はぁ……。まったく人類は愚かです。

 それはさておき、私たちが受けたクエストは、このガベージと呼ばれる地域で、『なんか珍しいとか豪華っぽいものを探す事』なのです。早速ボンクラ二号の白神くんが何か見付けたみたいですよ。あ、それはよくわからないけど、きっとパキスタン製AKです。物凄くぼろっちいので、もしかしたら大昔にどっかの宗教団体が密造したやつかもしれません。大昔だけに。これは触らずに警備担当に連絡ですね。横にハローキ○ィ仕様転がってますが、見なかった事にしておきます。

 違う世界から落ちてくるゴミは多種多様ですが、このエリアに関して言えば、ほとんど私たちがいた地球製の物ばかりですね。私たちと同じで、物も転生するのかもしれません。付喪神ってやつですね。

 どんどん奥に進んでいきます。途中で開けた場所に出ると、廃棄された鉄道の駅みたいな施設があって、そこの周りにテントが張られています。探索の仕事に来ている学者さんたちの姿も見えるのでここが中継キャンプ的な所なのでしょう。ちょっと早いですが、一旦休憩しましょう。指定された場所で協力して防護服を脱がせっこします。

「あはっ! おつかれさまですぅ! 飲み物は自由に取ってね」

 ふわふわもこもこで、白衣を着た兎人さんが出迎えてくれました。もしかして、入り口にいた姫騎士陵辱オークの婚約者さん?

「あの人は誤解されやすいのよ。本当はとても優しい人なのに」

 どうやら兎人さんも読心術が使えるようです。侮りがたし! でも、そのセリフはダメなヒモに騙されてる水商売のお姉さんみたいですよ。

「コホン。えー、入り口からここまでは一直線に来られたと思いますが、ここから先は新しい物が見付かるかもしれないので、ジグザグに進んだり、ぐるぐる回ったりするのが良いと思います。迷ったら迷ったって連絡入れておいてくれれば業務終了時に回収しますからね。防護服にGPSトラッカー付いてるので、見付けるのは簡単ですから」

 私らは犬か! いや、有り難いけど……。

「あの~」

 ボンクラ一号の矢巻くん、なんかメチャクチャ照れながらお姉さんに質問してます。ムッツリスケベという噂は本当かもしれません。

「空中に次元回廊が開いているって聞いたんですけど、戦艦とか戦車とか落ちて来たら潰されちゃうんですか?」

 言いたい事はわかりますが、物凄く頭の悪そうな質問です。私までまとめて三バカ扱いされそうです。

「えーと、上空に魔法のバリア張ってますから、重さに負けてパリーンと割れちゃっても、それなりに勢い殺してくれるんで即死はしないでしょう。ジワジワと、生まれて来た事を後悔しながらペシャンコに潰されるくらいの余裕はありますよ」

 ボンクラ二人が一瞬で青褪めます。このままアオザメになってサメ映画に出演できそうな勢いです。

「嘘です。質量の大きい物が来る時は次元振動波も検出されるので、防護服内の受信機から警報が鳴ります。仕事サボって寝てたら潰されても仕方ないですが、起きてれば逃げる時間くらいはあります。小さいものはバリアに包まれてゆっくり落ちてくるので、当たっても怪我しないですよ」

 安心しました。ボンクラ共も顔を見合わせてぎこちない笑顔を浮かべました。しかし、この兎のお姉さん、さすが姫騎士を肉奴隷にする凶悪オークの嫁といったところです。

 さて、私の考えを読んだのか、凄い顔で睨み付けてくるお姉さんは放っておいて、ちょっと休憩してから先に進むことにしましょう。

幸いこの仕事は基本的にモンスターと遭遇する事は無いようです。もし出会っちゃったら警備担当に連絡ですね。危ない事はプロに丸投げです。鉄則です。転生早々この仕事をして、ちっちゃなネズミが出たのに驚いて、防護服の中で何も考えずにファイアボール発射しちゃった人の話はギルドで散々聞かされました。服の内側に火が回って、一瞬で全身火だるまだそうです、怖いですね。


寝る前に投稿しちゃいます。

仕事の炎上は続いていて夕方から出勤なんで、何も考えずに寝られるように。

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