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女はうぜぇし老人はすげぇし

「っ!」


光の強さが徐々に弱まっていき、強くつぶっていた目をゆっくりと開くとそこは古い民家の一室だった。

「おぉ、これってもう俺たち異世界に来ちゃったの?うおおお俺はここから新しい第二の人生を歩むんだな!」


「なんでそんなにテンション高いのよ。どーせキモオタなんてなんの役にもたたないのに、魔王とか倒して世界を救おうとか考えてるんでしょあーやだやだ。」


こいつはいちいち人をイラつかせないと死ぬのだろうか。

そうだなー、世界を救うのも悪くないな。それで世界を救った伝説の勇者と呼ばれ美人のお姉さんたちに囲まれてグフフフ


「顔キモ。」


妄想にふけっている俺の顔を見てルキナが真顔で言い放った。

確かにキモい顔をしてたかもしれないが、、!!

ふぅーー落ち着けぇーーこいつにまだ聞かないと行かないことがあるんだ。これじゃ話が進まない。


「なっ、なぁそういえばさレルム様には頼むの忘れてたけど、チート級の力というか転生特典みたいな?なんかない?」


「あ!そういえば忘れてたわ。感謝しなさい。貧弱な誉ではこの世界は生き延びれないと思って私が気を利かせて、私が選んだ最強の力を与えるようレルムに頼んでおいたわ!」


「有難うございます有難うございます!!!」


なぜ上から目線なのかは知らんが、初めてルキナを見直したぞ。でもルキナが選んだ力か…なんか心配だが…


「それでその力はどんなことができるんだ?」


「フフフ。それはねぇ〜〜どんなスキルも自分のものにしてしまうというチート能力よ!!!」


「うおおおお!すげぇ!なんでも!?まじか!?うおおおお!すげぇ!」


「フフフ。そうでしょ?すごいでしょ?」


「ああ!お前はすごい!それでさ、そのスキルって具体的に何なの?どうやって使うんだ?」


「……………………」

ルキナが固まった。


おい。

さんざん威張っておいてそりゃないだろ……


「ゴホゴホ誰か、いるのか?」


っ!

びっくりした。どうやらこの部屋には先客がいたらしい。眠っていたのを起こしてしまったようだ。その声の主は部屋の奥のベットから聞こえる。どうやらだいぶ弱っている。


「少し、こっちへきてくれないか?」


俺とルキナはベットに横たわっている人物のもとへ近づくとその顔を覗いた。


髪は真っ白で顔中シワだらけで今にも逝ってしまいそうな老人だった。だがその弱々しい姿とはうらはらに老人には歴戦の戦士のような風格があった。


「だ、大丈夫ですか?あ、あの部屋間違えて入っちゃったみたいで、すぐ出ていくので」


「いや、待ってくれお主人間?隣の者は……」


老人が目を見開いてルキナを見ている。

なにか驚いている様子だった。


「そうかお主たちそういうことか」


老人が少し考えてからなにか納得したようにつぶやいた。

一体何なんだ。この老人。


そして老人は俺に向き直ると


「お主、儂の夢を引き継いでくれないか?」


「え、?」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




「それでな、儂と仲間たちはその時──」

「「……………………」」


「いやー、あの時危ないところじゃった。だが儂は──」

「「……………………」」


「儂はこう言ってやったんじゃよピョリピョリヌーンと──」

「「……………………」」


長い。

話が長い。長すぎる。夢の話はどこに行ったんだ。

ていうかピョリピョリヌーンてなんだ。


老人は自分の過去の武勇伝を俺たちに自慢げに話した。正直ウザい。


「あ、あのー」


「ああすまんすまん。少し話しすぎたようじゃな。」


少しじゃねぇよ!

俺は心の中でおもいっきりツッコんだ。


「まあ儂はさっき話したとおりたくさんの壁を乗り越え、力を身につけた。だが、それでも越えられない大きな壁があった。その壁を越えることが儂の夢じゃ。」


じゃあそう言えよ!さっきの話絶対いらない。

もう適当に聞き流してさっさとここから立ち去ろう。


「その大きな壁っていうのは一体何なの?」

ルキナが老人に尋ねた。


「この世のすべての魔王を倒す事。」


「「魔王!?」」


今魔王っていった!?魔王を倒すの事が夢?つまりまさかこの老人元勇者!?あのクソ長い話も結構すごかったし、そしてその夢を継げって俺に勇者やってくれってことか?


「お主は儂のようにものすごい力を秘めているとみた。儂の夢を継ぐ気は無いか?」


「継ぎます。」


俺は即答した。

だって勇者の跡継ぎでしょ?勇者になるためにこっちに来たようなもんだし断る理由がない。


「うむ、お主ならやってくれると思っておったぞ。」


「もちろんですよ。当たり前じゃないですか。貴方の夢は私が絶対に成し遂げてみせます。」


「ほほう、良い意気込みじゃな。儂の名はヴァイよろしく頼む。」


「私の名前は柊木誉でよろしくお願いします。」


「ちょっと誉何勝手に夢継いじゃってんのよ。私はこの世界に逃げてきたのよ?そんな目立ったことしたくないんだけど。やるなら一人でやりなさいよ。」


やった。勇者にもなれるし生意気な女からもおさらばで一石二鳥だ。


「早速だが儂の部下をこの部屋へ呼び出して説明するとしよう。」


部下?

ヴァイは片手を突き出すとなにかを詠唱した。

すると、床に赤く光る魔法陣が出現した。

うおすげぇ。

魔法陣から人影?のようななにかの影が見え始めた。


なんだあれ?


そして魔法陣は徐々に光を失っていき。ヴァイが部下と呼ぶ者たちの姿が見え始めた。

だが……


「ちょっ!うああああああああっ!!!」

「ひゃああああああああっ!!!」

俺とルキナは思わず腰を抜かしてしまった。


現れたのは4人いや、3体の魔物だった。


「お主にはこれから儂の代わりに魔王になってもらう。」


は?魔王?





⚠主人公は能力を手に入れましたが、けしてチート能力ではありません。主人公が異世界で無双するような物語がお好きな方は期待しないでください。


主人公糞雑魚です。


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