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コバンザメも楽ではない

第1章-1 これが小悪党の生き方


海島高校、偏差値30以下の底辺が勉学というものから完全に隔離された環境でなんの拘束もされずに生活している無法地帯。学園内では不良たちが呼吸するようにカツアゲ、暴力、強姦が行われている。

この俺、飛野隼人飛野隼人(ひやはやと)はその学校の中で生き抜くために、今日も頭のおかしなやつらのトップにコバンザメのごとく張り付いていた。

海島高校のトップ鮫島龍二はこの高校に入学し1週間で上級生と同学年をシメ、実質この無法地帯の王となった人間である、生徒はもちろん教師も鮫島の横暴を咎める人間はいない、確かに鮫島は腕っ節も強いがただ喧嘩が強いわけではない、このゴリラはある種のカリスマを持ち(おそらくキングコング色の覇気)周りの人間を心酔させ、そいつらを従わせ、ありとあらゆる卑劣な手段を使い、目障りな奴らを屈服させてきたのである。そのある種の征服主義の裏側では俺の活躍も小さくはなかったのが事実だ、周りに鮫島のコバンザメと揶揄されている俺も鮫島かそれ以上に下衆な悪知恵が働き、拳オンリーの喧嘩以外では負けたことがない、俺の改造制服の中には様々な凶器が仕込んであり、鮫島もその取り巻きも俺が持っている凶器全てを把握している人間は1人もいない。

俺の小さな野望は、このキングコングの庇護下でなんの問題にも直面せず、無事この高校を卒業することだ。

「おい、隼人ぉ〜、ソープ行きたくなった、カネ」

早速キングコングが駄々をこね始めた、いつものことである、このゴリラ年中発情してやがるな、しかし、口が裂けてもそのようなことは言えないので

「すいません、今手持ちが3万しかなくて....これだけで許してもらえないっすか?」

「おぉん、シケてんなぁとりあえず、それだけでもよこせや」

強引に俺の手から諭吉を3人ふんだくり、無造作にポケットに突っ込んだ鮫島は、おもむろにスマホで付近の風俗情報を検索し始めた。

(またデクやろうからカツアゲしないといけねえじゃねえか...めんどくせぇ)

ちなみにデクやろうとは同じクラスの隣の席に座っている、森島裕太という図体だけはでかいオタクやろうである、なにかと俺は金に困るとそいつからカツアゲをして財布を潤わしている。

「おい、隼人ここの店ってどこだよ、案内しろよ」

お前が俺に見せてるのって地図だよな?地図も読めねぇのかよ、まじで悪知恵以外は野生の脳みそだな

「分かりますよ!案内するっす!」

「あくしろよ、股間が爆発しそうなんだよ」

「了解っす!」

お前の性事情なんか知らねぇよ、メスゴリラの画像で抜いとけよ、と思いつつ鮫島と他の取り巻きを数人ほど連れて目的地へ向かい始めた、着いていくのはいいのだが結局、ゴリラが俺の金で1人だけメスと交尾して子分の俺たちはそれを待つだけという、ただのナビーゲーター兼取り巻きという役割で終わってしまう、つまり、the時間の無駄である。しかし、ゴリラの機嫌を損ねると大変めんどくさいので、俺は貴重な時間を割いてまでご機嫌取りをしなくてはならない、生き残るためだ、クソザコ取り巻きヤンキーの性である。

「お?見ろよ、上物のスケじゃねぇか」

鮫島が突然立ち止まり口を開いた、ちょうど店へ向かう途中の橋の渡りきった場所で美少女がしゃがみこんでいた、たしかにとても可愛い子で、黒いロングの髪からとても大きく綺麗な瞳が覗かせていた、どうやらダンボールに捨てられた猫とじゃれあっているようだ。

「たしかに可愛いっすね」

「風俗のガバマンとヤルのどうでもよくなったわ、おい隼人」

半年もあればこのゴリラが何を考え何をさせようとしているのか大体わかる、

「はいはい、あの女強姦強姦(やる)んすね?」

俺は数秒も待たずに返答した。

「わかってんなら早く拉致ってこいよ?お?」

俺の背筋に寒気が走った、鮫島のやつ目が血走ってやがる、早く交尾させねぇと俺たちがヤバイ、鮫島がこの目をした時は、周りの俺たちが被害を受けることが少なくない、過去に数十人と鮫島の要求を満たせず身体の一部を一生使えなくされた奴らもいる、俺たちに緊張が走る。

「おい隼人早く行ってこい!」

子分Aが冷や汗ダラダラで俺に言い放った、ちなみに俺はこいつの名前を知らない、鮫島の取り巻きは先述した通り、鮫島自身に壊され、頻繁に変わるからだ、半年も持った取り巻きは唯一俺1人である。

俺は足早に美少女に近づき腕を強引に引っ張った。

「え?な、なんですか?誰ですか?」

美少女は大きな瞳に不安を募らせ腕を離そうと抵抗してきた。

「うるせぇよ、喚くな付いて来い、大衆の面前で犯されてぇのか?」

「ッ.....!!!」

何かを察したのか、身体はまだ抵抗するものの、声は一切出さなくなった、ひどく震えそれが掴んだ腕越しに伝わってくる。

「そうそう、大人しく着いてこりゃ、汚されるだけで済むんだからよ」

このままいつもの廃屋に連れてってゴリラを楽しませりゃしばらくは機嫌よくなるだろ、と胸を撫で下ろしていたのは束の間、俺の頭部に強烈な衝撃が走った。

俺は状況を飲み込めず地面に倒れた。

「嫌がってるじゃないか、やめろよ」

あぁ???なんだぁ、これは蹴りか?俺の頭に強烈な蹴りが入ったのか、状況を徐々に認識しながら俺はフラつきながら立ち上がった。

俺が拉致ろうとしていた美少女の横に見知らぬ男の姿があった、

「てめぇか、俺に蹴り入れたのは」俺はその男に敵意剥き出しの視線を向けた。

「はぁやぁとぉ〜何してんの?つか誰だよこいつ?さっさと女拉致れよ」

後ろから露骨にいらだちを表した声が聞こえてきた。まずい....ゴリラのイライラのボルテージがmax寸前だ。

「キシャーーー!!シャーーーー!!」

?!....どうやらさっきまで美少女とじゃれあっていた捨て猫が、野生の本能かなにかで鮫島の異様な雰囲気に気づき威嚇を始めたようだ。

「あぁ???うるせぇなお前後で死刑な」

鮫島のの死刑宣告は冗談でもなんでもない、こいつは言ったことは鬼の執念で実行する、この捨て猫は確実に殺される...

「とりあえず、隼人ぉ、そこの色男潰せ」

言われんでも、この男は俺がボコボコにしてやるよ、俺は人を傷つけるのは好きだが、やられるのは嫌いなんだよ、蹴りの分、10倍で返してやるよ。

「悪いけど君みたいな小悪党に喧嘩で負ける気はないよ、いかにもコバンザメみたいにただ強者についていくだけの奴にはね」

確かに、さっきの蹴りでなんとなくわかったが、素人じゃねえ、おそらく格闘技かなにかかじってるんだろう。

(でもよぉ、てめぇ、喧嘩ってのは格闘技と違って素手だけでやるもんじゃねぇぜ、俺が喧嘩ではほぼ無敗っていう実力を見せてやるよ)


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