(6) まかせろ。こいつを立派なオトコにしてやる
クニアキが入院したころ、別の場所で。
銀色のツンツンした買いにキリっとした目つきの男が立っている。
「思うに」
と両手をあげてこう宣言した。
「ここいらで手打ちにしないかって。どうだろう」
アマゾネスの3人は、たがいの顔を見合わせてニヤニヤ笑った。
「君、服をぬぎなよ」
「え?」
「服を脱ぐのですよ。武器を隠してるかもしれないでしょう?」
「いや、ないっす」
「いいからいいから~」
「うわっ、やめるんだ。こら」
もみくちゃにされながら素っ裸にされそうなのを、なんとかパンツ一丁でとどめさせることに成功。
なんていう痴女。
恐ろしいぜ。
2人は20くらい、1人は11くらいの年齢だ。
羞恥心は芽生えてなきゃいけない歳のはず。
「痴女! 変態! 露出狂!」
「変態はエステラだ!」
つややかな黒髪ロングをなびかせ、ターコイズブルーのコルセットに、ダークなホットパンツをはいただけの女。
クールな顔つきのアンナが、むかいの金髪ロールを力強く指した。
「なっ、それなら露出狂はアンナですよ」
心外! とビックリした顔でかたまったのは、胸元をゆったり開けたフリフリの白シャツをまくり、レザーの長ズボンをはいているエステラ。
おっとりとした雰囲気がただよう。
「わたしはわたしは~」
自分をゆびさしたのはワーレンカ。
おなじく金髪ロールだが、おしとやかそうなエステラとちがい、かっぱつそうな少女。
ゴホンと咳払い。
「言い争いはご勝手に。けどね、僕の服を返してくれないだろうか。風とおしのいい野原でパンツ一丁はさすがにきつい」
なぜだかお姉さん連中は不機嫌に、服を投げつけてきた。
「ちょっと黙っててもらえるか? こちらは真剣なんだ」
「そうです。すこしだけお静かにお願いできますでしょうか」
「ねえ、わたしはわたしは~?」
無邪気なワーレンカを添えて。
このまま無視して立ち去るのもよかった。
けれどいちゃもんをつけられて身ぐるみをはがされた手前、メシぐらいはおごってもらわねば気がすまん。
3人を街まで誘導し、酒場の開き戸を開ける。
「おうシオン。どうだい調子は」
酒場の店主が奥から声をはりあげた。
「まあまあかな」
真ん中あたりの席にすわる。
むさくるしい男とケバケバした女たちの視線が、異質な――美しい――アマゾネスにあつまった。
「お前もスミにおけない男になったのかぁ?」
店主の茶化しがうざい。
「やめろよ。そんなんじゃないって」
サービスだから心配するなと、こぼれそうなオレンジジュース入りのジョッキを4つ置く。
「まさかシオンにこんな日が来るとは、おっちゃん感動だ」
シオンをよろしく頼む。
こう言って3人と握手した。
「まかせろ。こいつを立派なオトコにしてやる」
アンナが胸をはって意味深なことを宣言。
おっちゃんがニヤニヤと横目でみてくる。
なんなら酒場中がゲスな笑みをうかべる。
俺の前途は多難だ。