③ 地下神殿
乱入者vs国民の様相をていしてきたころ。
そもそもの闖入者たちは混乱に乗じて王宮の地下神殿にたどり着こうとしていた。
「外の様子はどうだい」
ファティマは王宮の屋根上から国を見渡す。
「武器を持ったアマゾネスがみんな闘技場に押し寄せてる。すごい数だよ」
「幸運に助けられたぜ。さて、しっかり見張っておいてくれよ。これからが正念場ってやつだ」
護衛兵の気配をうかがいながらルッツォは進んだ。
地下神殿はもともと地下洞穴だった空間に手を加えたものだ。
かべに発光石が埋め込まれてるとはいえ、うす暗く、足もとがおぼつかない。
キプリングの野郎……
あいつらが仕掛けてこなけりゃ、今ごろ女たちとたわむれてたってのによ。
こんな危なっかしい状況におとしめやがって。
まずはあいつらを八つ裂きにしてやる。
話はそれからだ。
「ルッツォ」
角の先から強い光がもれでている。
誰もいないことは気配で察知していた。
ルッツォは光に目をならしてからポッカリと口を開けた最深部の祭壇の階段をのぼる。
「おいルッツォ」
「どうしたってんだ。もうエメラルドまで手が届きそうな所まで来てるんだぜ。あと三段で祭壇の階段をのぼりきる。自由の身になりゃ好きなもんをたらふく喰わしてやるからな」
「緊急事態だ!!」
闘技場がクレーターに変わり、中心にいた銀髪の男が今、王宮への長い道を歩き出そうとしている。