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② ボサっとするな。この隙にズラかるぞ

 光が消えると人間が立っていた。

 スラッとした銀髪の男。

 武器をおびない黒服には銀糸の刺繍がほどこされている。


 アナウンサーは警告した。

 無抵抗なら牢獄生活、抵抗をしめすならば死、2つに1つだと。

 賢い選択を期待するという言葉にはおごりがあった。


 銀髪の男は真紅の瞳で入念にあたりをしらべ、クールな顔のまま、虚空をにぎりしめた。

 乳白色の剣が顕現する。

 剣先をかるくゆさぶり、ゆっくりと、挑発的に観客席を見上げる。


 その視線の冷たさ。

 軽蔑。侮蔑。

 尊大なるアマゾネスにはすべてがイラだたしかった。


「愚かな種族とは知りながら、かくも見下げた判断能力とは思うまい」


 アナウンサーはその職務をすっかり忘れ、感情むきだしに兵士を使役する。


 それを合図に、飛び降りた武装兵が細身のサーベルを縦に、横に、斜めに振りぬく。

 残像がゆれる。

 兵士が倒れ、背後には銀髪の男。

 無感情のまま剣をはらう。


「ボサっとするな。この隙にズラかるぞ」


 観客席につめよった追撃の弓兵。

 目まぐるしく瞬間移動する戦闘。

 興奮と狂乱のるつぼ。

 血のしたたり。


 好機とみてルッツォとファティマは王宮の地下に保管されたエメラルドを狙いにいく。

 勝ち負けなんざ2の次3の次。

 金を稼ぐ。

 そのためなら手段も選ばなければプライドもみじん切りに売りさばいてもいい。

 そうやって泥臭く生きてきた。


 彼らは無事に街へぬけた。

 ただ1人、銀髪の男だけが、2人の背中に注意を払っている。





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