再会?
今日もまたあの子のことを探す1日が始まる。
別にストーカーとか一目惚れとかじゃない。
ただ、単純にオススメの映画とか教えてもらいたいだけだ。
「私は映画が大好きです。1人でも見に行きます。」
人前でスピーチをする講義であの子はそう言った。
あの子は消えてしまいそうなくらい肌が白くてとても清楚だった。
俺とは真逆でこれが住む世界が違うってやつかとも思った。
だけど、なにか映画を見る度に話しかけていた。
周りから見たら新手のナンパみたいに思われてたかもしれない。
1限、2限を適当にこなして昼休みがやってきた。
今日も会えないのかと落胆していたらこっちに歩いてくるあの子がいた。
これだけ誰かに会いたいだなんて思って会えて嬉しかったことは、高校の通学路で朝すれ違う綺麗な女の人以来だった。
テンションが上がりすぎてしまった俺はこう言った。
「これは運命の出会いだね!アドレス交換しよ!!!」
完全にだだ滑り。やらかした。終わった。テイク2とかないの?
あの子はやたら驚いていた。それは当たり前か。
時が止まるとはこのことを言うんだな。もう、動いて。
「たっかー久しぶりーアドレス?いーよー」
予想外の返しに俺はスマホを落とした。
無事アドレスを交換できた。
このアドレスがきっかけでこれから映画化希望ドラマ化希望な恋が始まるとは思いもしなかった。