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3話

 スイマセン、遅れました。場所間違いって恐いっすねー(;^ω^)

 えー、活動報告で上げた通り3話の改稿をさせていただきました。といっても話の大本は変わっていませんので次話は1話~旧3のみをお読みになってくれている読者様方にも楽しんでもらえる内容を心がけて書きたいと思っておりますので何卒よろしくお願いいたします。

「……寒」


 刺すような冷気に身を震わせ、私はいつのまにか倒していた体を起こした。


「えー、と」


 右見てー、木々。左見てー、木々。

 木々に囲まれている。どうやら何処いずこかの山だか森だかに居るようだ。

 しばし混乱した私だが何とか起きる前の記憶を思い出し、明るい空へと目を向けぼやく。


「神様……送る場所くらいもう少し考えてくれたっていいじゃない」


 そうして私はなんとか立ち上がって、改めて周囲の様子を確認した。

 この世界の仕組みがどのようになっているかは知らないが、空を見る限りではどこぞのファンタジー小説のように太陽が二つあるなどという設定は存在しないらしい。

 空は雲一つ存在しない晴天。日の光は木々に囲まれた薄暗い森に幻想的な木漏れ日を創り出し、舗装されてないだけの獣道が言い知れぬ神聖さを醸し出しているように感じられる。

 ……ある意味これも自然の神秘と言えるのだろうか。


 ――ぐぅ~。


「……お腹すいたな」


 とりあえずは転生一日目のご飯にしようと、食物を求めて歩き出した。


「ん?」


 木の実や山菜といった食べ物を探して歩いていた私は、目の前の茂みからガサガサという音を聞いた気がした。

 何だろう? と思ってその茂みを見ていると、何やら赤色のアメーバのようなものがウネウネ飛び出してくるではないか。気持ちワル!

 余りに突然の事態に私はすぐ動き出すことが出来ずジっとそれが出てき終わるのを待っているとなんだかんだでその数は三つにもなっていて、出てきたそれらはちょうど私の目の前50センチの位置で動きを止めた。


 ……なんか、イヤな予感がする。


 そしてその予感は当たっていた。


「なっ!?」


 三つのアメーバはウネウネと集まって一塊ひとかたまりになるとそれぞれで約一メートルほどだった大きさが、三メートルを超えるものとなったのだ。


 ――クエスト発生条件の達成を確認。これより神の試練、『レッドスライムの大襲来』を開始します。


 そんな聞き覚えのある音声唐突にが脳へ流れ込んできた次の瞬間、ソイツは太い一本の触手ようなものを出しこちらを突き飛ばさんばかりの勢いで伸ばしてきた。


「ちィッ!」


 私はそれを下に潜るように躱してから右方向に距離をとったが、元々の間隔が50センチという短さだったこともあり完全に避けることは出来なかったらしい。

 急な動きで左に揺れたうなじ辺りにかかった赤髪から、『ジュ』という軽い音がするとその位置から下にあった部位は綺麗に溶け落ちてしまっていた。


「魔物……いや、神様おじいちゃんが言ってた通りだと魔獣か」


 私は目の前の存在にそう結論を出しながら、次の行動を考える。


「(触手自体に今のような強い酸性があるなら厄介ね。一度でも喰らえば即アウト。長期戦は厳しいか)」


 ならば現状では使い勝手のわからない貰いたての能力より、慣れ親しんだ私自身の力で倒した方が良いだろう。

 そこまで考えた私は半液状には熱い炎が有効だろうと、脳内で超能力の中でも有名な発火能力のイメージを創る。


「……イメージ完了」


 あとは対象を見据えて叫ぶだけ!


「『燃えろ!!』」


 そうして能力が発動する、……筈だった。


「アレ?」


 能力が発動しない。なぜ?

 手順は間違っていない。いつもなら頭で考えられたものはそれを現す一言を叫ぶだけで発動するのだ。

 それが如何なる理由によってか、今この時は発動しなかった。

 その間にも魔獣は再び触手を伸ばしてくる。しかも今度は三本に増えていた。


「あ゛あ゛ーー!! もうっ!」


 神様特典の『並列思考』により、私は触手の軌道上を計算して回避しながら先の原因を考える。


「(発火のイメージが固まっていなかった……これは違うわね。戦闘中といっても今の私にはスキルとして『並列思考』があるし、それで集中を乱したというのは考えにくい)」


 三つの触手が左右上方に迫ったため、私は後ろに跳んでそれらを躱す。


「(頭の中のイメージだって普段と同じ手ごたえで固められたように感じた。だけど、能力は発動しなかった。いったいどうして……ッ!! そうか、そういうことか)」


 三本だった触手が一気に六本まで増える。


「(よく読んだSF小説の中で、今の状況と似たようなものがあった!)」


 その世界に存在しない力がなんらかの方法によって他の世界から入り込むと、異物としての概念を存在するものへと造り替えるという。


「(世界の修正力……)」


 おそらくはそれによってこっちの力とは言い難かった私の超能力は魔法、もしくはスキルという形に造り替えられたのだろう。

 ……単純に消失したのではなければ良いが。


「(何にしても、そう長く考えていられる時間は無い。私の推測通り能力が造り替えられているだけという話なら、神様が言ってたこっちの魔法構造も含めてイメージして発動し直せばいい!)」


 六本の触手が一斉に襲ってくる。私は動かない。


「(思い浮かべるのは燃え盛る炎。大気に存在する火のエナジーに、私の中にもあるであろう魔力を乗せて――)」


 触れたもの全てを溶かす六本の触手がもう避けられない位置まで迫ったのと同時、それは完成した。


「(イメージ完了……)」


 せっかくだし、ファンタジーらしくいきますか。


「『フレイム』」


 紅蓮の炎が燃え上がる。

 六本の触手は直撃まで残り数センチという場所でその火が移り、私へと届く前に炭と化し崩れ落ちていく。


「『――エンド』」


 そうして炎はついに本体にまで届き、全長三メートルを超える化け物は何か黒い靄のようなものを出すと跡形もなく消滅した。


「ふぅ……」


 ちょっと危ないとこもあったけど、なんとか勝てた。

 あ、あとそういえばさっきはなんか叫ばなくても普通に能力発動したな。ちゃんとしたイメージがあれば今までのも普通に言葉にするだけで発動していたのか、それともこれもこの世界の修正力による変化の影響か……。

「ん?」


 その時、私は何か前方に違和感を感じそこを眺めた。

 何だろう? なんか有った気がすんだけど……。


「あ」


 そうだ。あの魔獣を倒した時に出てきた靄がいつの間にか無くなってるんだ。

 いったいどこに、と周りを見回していると先ほども流れた音声が聴こえてきた。


 ――レッドキングスライムを倒しました。

 ――経験値の取得が確認されたため『クエストチェック』、『ステータス』のコマンドを解放します。

 ――レッドキングスライムを倒したことにより、レベル1から3に上がりました。

 ――スキル、『火魔法』を覚えました。


「……ホントにファンタジーしてきたな」


 というか神様、レベル制ならそれも教えてくれれば良かったのに。


「いや、それよりも」


『クエストチェック』に『ステータス』か。

 とりあえず一個ずつ見てみよう。

 えーっと、いつも通りイメージを言葉にする感じでいいのかな?

 まずは、そうだな……『クエストチェック』から。


「『クエストチェック』」


 おお! 良かった。ちゃんと出てきた。なになに……。

 私は自身の目の前に出てきた四角いウィンドウを覗き込んだ。


 『クエスト進行中―レッドスライムの大襲来』

 :習うより慣れろ! 以上


 えっと、まだ進行中ってことはまたあんな魔獣が出るってことよね……。またあんなのと戦うのか。


「はぁ」


 とりあえずは能力でもチェックしときますかね。


「『ステータス』」


 再びウィンドウが現れ、私のステータスが表示される。


綺堂未無きどう みな

LV1→LV3

筋力:20→30

体力:90→100

強度:50→60

敏捷:30→40

魔力:100→110

称号:異世界からの転生者

スキル →


「むー……」


 火魔法覚えたって言ってたし、ステータスの数値も上昇してるから強くなってるのは確かなんだろうけど。


「なーんか低いように見えるのは気のせいでしょうか」


 前世で読んでいた転生小説なんかに出てきたステータスは軽く今の二~三倍を超えているというのがザラだったと思う。

 唯一希望が持てるとしたら、自前の超能力と神様から貰った特典スキルくらいだろうか。

 大体のパラメーターを確認した私はそのままステータスウィンドウに映る『→』をタッチし、画面を切り替えた。


スキル

・火魔法

魔力によって火を生み出す。分類、魔法スキル

・憑依耐性

肉体に神霊、精霊を憑依させられる。分類、耐性スキル。

・並列思考

複数の情報を同時に認識、処理が出来るようになる。分類、パッシブスキル

・適正魔法全属性

火、水、土、風、光、闇、無の魔法属性全てを習得可能にする適正。分類、パッシブスキル。

・創造魔法

魔力と強い思念によって自身のイメージをそのまま具現化する固有スキル。分類、ユニークスキル。


「うん、チートだ」


 自分はいったい何を心配していたのか、ステータスが心配でも能力チートなど腐るほどあったではないか。


「ま、ステータスもいずれはなんとかするんだけどね」


 慢心なんて知らない。停滞は退化に繋がるし、遠くない日に痛い目を見る。無理のない範囲で強くなっていこう。


 グ~


 …まずは腹ごしらえだ。

次話、急ぎます。

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