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ケの毎日:乙葉

初回の主役は村上乙葉です。

朝、目覚まし時計が鳴る。


気持ちのいい音とは言えないが、セットしないことには一日が始まらない。


…単純に起きれないだけなのだが。


パジャマのまま2階の自室から1回のリビングに降りた少女は、すでに起きていた両親におはようと声をかけた。


村上乙葉。華の高校生。因みに2年。


普通科に通い、歴史研究部所属の女子生徒。


朝ご飯を食べ終え、洗面台の前に立ち、鏡を見つめる。


今日の髪型は何にしよう?


ツインテールかポニーテールか。


気分を変えてサイドなんかも…。


二分後、乙葉は髪を後ろで一束に纏めるのであった。



「言ってきまーす!」


出掛けの挨拶を叫んで家を出た。



学校までは電車を使う。


駅まで歩いて10分。


電車が発車する5分前には駅に着く。


いつもの場所、後ろから数えて2両目の、一番後ろのドア付近で電車を待つ。



電車が来たので乗ると、そこにはいつものように友達がいた。


「おは!(おつ!」


「おはよう!乙葉ちゃん!」


乙葉のことを「乙」と呼んだ、釣り目気味の長いパープル混じりの髪をした少女は河津野(かわづの月花(げっか


双子の姉。


「乙葉ちゃん」と呼んだ方が双子の妹。


髪色は姉と同じだが、垂れ目気味の見た目通り大人しい。


姉とは性格が正反対である。


髪も胸まである月花に対し、肩にかかるギリギリの長さである。


妹の名前は陽麻理(ひまり


ゆっくりめに話すのが特徴的。


「おはよー!月花!陽麻理!」


乙葉も挨拶を返した。


このメンバーでいつも学校に行く。


クラスも同じなので終始一緒にいることになる。


通学中でも、仲良しが集まると話が弾むものである。


「てかさ~。昨日のポンポコの授業中寝ちゃったよ~。何であいつの授業は教科書に線引くだけかな~」


月花が不満を漏らした。


ポンポコという教師の授業のやり方が気に食わないらしい。


「あたしも寝ちゃった~。クラスみんな寝てたよ~」


双子は似た部分が多いようで、寝るタイミングが同じだ。


「それはお二人さん。つまりは教科書見せろと言ってるね?」


乙葉が苦笑いしながらきいた。


「流石は乙!わかってるじゃん!」


「乙葉ちゃん!お願いね~」


「はいはい」


呆れながらも教科書を見せる約束をした。


15分も話せば学校に着く。


教室も二階で大変な訳ではない。


乙葉は窓際の後ろから3番目。


月花がその一つ右。


陽麻理が月花の前。


並ぶ仲良し組み。


因みに乙葉の一つ前も仲良し組みである。


いつも乙葉たちより少し遅れてやってくる。


乙葉が使うのが上りなのに対し、下りを使うために生じる差であろう。


乙葉が教科書を机に移す作業をしていると、席の主が現れた。


「おう!おはよーさん!」


そういって軽く右手を挙げたのは鏑矢(かぶらや 八千代(やちよ


「おう国歌!うーす!」


「おはよー!ちよにー!」


「八千代ちゃん。おはよう!」


月花の言う「国歌」も、乙葉の言う「ちよにー」も八千代のニックネーム。


八千代はどちらかと言うと勉強よりも運動が得意。


「あ、月花?課題やってきた?」


「おー。国歌も私と同罪か~」


「やってきてないのね…」


そんな訳で2人は陽麻理と乙葉を眺める。


「…はい。合ってるかは知らないけど」


「あたしもやってきたよ~」


乙葉は渋々と、陽麻理は笑顔でノートを渡した。


「わかってんじゃん乙~!」


「いや~。やる気はあったんだよ?でもさ、目の前に進行途中のゲームがあったのが悪いんだよ」


月花は悪気なしに、八千代は誰も納得しない言い訳をしながらノートを受け取った。


「まったく…。次は貸さないよ?」


「はいはい」


八千代に乙葉の言葉届かなかった。


実際乙葉ももう何回貸さないと言ったか分からない。


「あ、ヤマトだ!ヤマトおはよー!」


ふと乙葉が目をやると、ヤマトこと山中鬨哉が教室に入ってきた。


「おはよう乙葉」


「どしたの?」


去年は同じクラスだった2人も、二年に上がるときに分かれた。


乙葉は文系、鬨哉は理系なので必然であった。


この先、鬨哉が文転、あるいは混合クラスにでもならない限り再び同じクラスになることはないであろう。


「ああ、電子辞書借りにきたんだけど…。対象を失った」


ようするに借りようとした人がまだ来てないらしい。


「私貸そうか?」


「ある?」


「うん。3限が英語だからそれまでに返してくれればいいよ」


そう言って辞書を手渡した。


「体育着とかも貸してやんなよ乙~」


月花が会話に首を突っ込んだ。


「ん?体育着も忘れたの?」


「いや忘れてないから!おいこら月花!」


「でも乙の体育着着たいでしょ?」


「人を変態みたいに言うなよ!別に俺は…」


「いや~?乙もいいと思うよ?うん。反対はしないよ?」


鬨哉の言葉を遮って月花が小悪魔のように笑う。


「な、何言って!んじゃ乙葉!次の休み時間に返す!」


「うん。お願いね」


鬨哉は逃げるように教室を出て行った。


「ねー、乙?ヤマトイモ見て何も気付かない?」


ヤマトイモとは月花がつけた鬨哉のあだ名。


「え?何が?」


「はぁ。こりゃヤマトイモも手ごわい相手に惚れたわけだ…」


軽く苦笑いした月花。


「え?ヤマト、誰かに惚れてるの?」


「乙葉ちゃん知らないの?ヤマト君は…」


「あー!陽麻理!それ言っちゃダメだから!」


八千代が慌てて陽麻理の口を塞いだ。


「変なの~。まぁ、気が向いたら教えてよ」


乙葉からこのセリフを聞いたとき、月花と八千代は安堵したのだった。



一限目の数学が始まった。


文系とはいえ数学を全くやらなくていいわけではない。


乙葉は数学が苦手。

必要条件だとか、ベクトルだとかわけがわからない。


中学の時「同様に確からしい」という言葉に対して、混乱のあげく「らしいって何ですか?数学でらしいとか言っていいんですか?」と先生に聞きにいったほどである。


受験でも数学のないところに行きたいと思っている。


そもそもこのクラスで数学が得意な人のほうが少ない。

乙葉は多人数の方に属している。


それは先生も承知。


授業自体も難しいことはやらないようにしている。


そんな数学は特に大変なこともなく終了した。


そして休み時間。


次の授業が体育の関係で準備しなければならない。


「ほーら男子!さっさと出た!」


月花がクラスに残る男子を追い出した。

男子は隣のクラスで着替えるのである。


追い出したら、クラスのドアにある窓にカーテンをかけて目隠し。


ここまでガード固めて着替え開始。


「あれ~?ここに男子がいるね~」


八千代が月花を見て笑う。


「うっさいわ!軽いほうが人気出るもんねー!」


「モブキャラが騒いでも無駄だよ」


「はー!?誰がモブキャラよ!」


「ねぇ、授業遅れちゃうよ…?」


「いいよ…。陽麻理、行こっ」


争う月花と八千代をよそに、乙葉は陽麻理を引っ張って教室を出た。


いつものことなので最近は扱いに慣れてきた。



体育の授業は隣のクラスと合同。


場合によってはほかの学年もやることは違えど、グラウンドは共有して使うこともある。


今日はその日だった。


「あ!すみれ先輩だ!」


乙葉は吉川すみれを見つけて声をかけた。


「ああ、乙葉ちゃんか。鬨哉も一緒?」


「はい。たぶんどっかにいるはずです。晴美先輩や楓先輩は?」


「クラス別れた~」


「あらら。それは残念です」


「まぁ生徒会連中がいるから退屈ではないけどね」


そういってすみれが指差した。


その方向を見てみるとああ、なるほど。


生徒会長がいた。

顔くらいは知っている。


「じゃあよかったじゃないですか!」


「まぁね~。あ、そろそろ授業始まるからまたね!」


見ると先生が既に来ていた。


「はい!」


乙葉に手を振ると、すみれは生徒会長のもとへと走って行った。


「どこ行ってたの?」


「先輩のとこ。ちよにーはなんでそんなに汗かいてるの?」


八千代の額はすでに汗ばんでいた。


「月花と走ってた」


その月花をみると膝に手をついて完全にばてていた。


「国歌…。はえぇ…」


「そりゃ運動は得意だし。月花には負けねー」


「グッ…。陽麻理…あとは頼んだぞ…。私は水を飲みに行く…」


月花は戦線を離脱した。


「次の相手は陽麻理かー?」


「うわぁあ!お姉ちゃんのカタキー!」


陽麻理は見えない刀を構えた。


「ふん!私に勝とうなど5分早いわ!」


八千代もエア刀を構えた。


そして走りだした。


すれ違ってから3秒後。


「うわぁ!」


そんな声を上げて八千代が倒れるのだった。


「なんなのそれ?」


乙葉が聞いたのと同時に先生が来て集合することになり、答えは聞けなかった。



今日の体育はマラソン。


近年行わない学校が増えてきた中でも続けている。


準備運動をしてからスタート位置に着いた。


白い体育着が眩しいくらいの青空。


憂鬱である。


体育教師の笛の音がタイマーのスタートを告げた。


同時に一斉に走り出した。


「おっさきに!」


八千代は三人を置いて走り去った。


ハイペースで1500メートル走るのだからだれも追いつけない。



そんなわけで八千代から遅れること2分。


乙葉と月花が並んでゴール。


いつも小競り合いのなかゴールするのがこの二人。


それからさらに遅れて1分。


陽麻理もゴール。


もうヘロヘロになっている。


「はぁ…はぁ…。お姉ちゃんたち…速いよ…」


肩を大きく動かして呼吸している。


「陽麻理はマラソン苦手だからね~」


「てかこの距離だとマラソンとは言えなくない?」


八千代がケロッとした表情で言う。


「はぁ?いいか国歌!200メートル以上は長距離だ!」


「月花、それも違うと思う。確かに大変だけど」


月花に対してやんわりと訂正を入れる乙葉だった。




授業が終わり教室に戻る4人。


「あ~、体育着だとブラが透けて見えちゃうのがね~」


月花が文句を言いながら体育着を脱ぐ。


「じゃあ付けなきゃいいじゃん。どうせカバーするものも無いんだし」


「うっさいわ!私は変態かっ!」


月花は全力で突っ込むのだった。


「でもさ~、実際男子どもは透けて見えてる方が喜ぶのかな~?ねぇ乙?」


月花が乙葉にきく。


「知らないよ!」


短く返す乙葉だった。



全員が着替え終わり、教室が男子にも解放される。


ぞろぞろ入ってくる中に、鬨哉の姿もあった。


「乙葉、辞書サンキュー!」


「うん。ありがと」


乙葉が辞書を受け取ったとき、陽麻理が口を挟んだ。


「ねえ?ヤマト君?男の子は体育着から透けて女子の下着見れると嬉しいの?」


「はっ…?何言ってんだ河津野妹?」


突然の質問に鬨哉も上手く返せない。


因みに、「河津野妹」は鬨哉が陽麻理を呼ぶ時の名前である。


「ヤマト~。ちゃんと教えてあげなよ~。私ら女子には分からない質問だからさ~」


「おい苔むし!俺を変態にするつもりか?」


「苔むし」は鬨哉が使う八千代の呼び方。


「その言い方だと透け下着好きなようですな~。流石変態!」


「違うわ!」


「ヤマト…。そうだったの…」


「待て乙葉!勝手に誤解しないでくれ!」


鬨哉は逃げるように教室に戻るのだった。


「あははは!あいついじるのおもしれー!」


「でしょでしょ!」


変な所で月花と八千代が合意していた。



しばらくして休み時間も終わるころ、英語の先生が入ってきた。


若い女の先生。


控え目な怒らない生活の先生。


つまり…。


「寝る~」


「寝るな」


「あたしも~」


「陽麻理も起きてて!」


授業開始前から睡眠宣言する河津野姉妹に他2人が突っ込んだ。


その予告通り、2人は授業中ほぼ寝ていた。


午前中最後の授業は現代文。


特に当たり障りの無い普通の授業。


ノートをとる八千代と乙葉。


眠る陽麻理。


教科書に落書きする月花。


授業内容は森鴎外の「舞姫」であり、半ば古典。


月花は登場人物でありヒロインの「エリス」の顔を描いていた。


挿し絵があるわけではないので、完全に月花のオリキャラではあるが。


それを不意に乙葉に向けたものだから、乙葉も笑ってしまった。


「ねえ何でエリスそんな不細工なの?太ってる設定なかったよね?」


そもそも絵が上手くない月花が仏頂面のデブを描いていた。


「ん~。可愛く描くつもりだったんだけどさ~」


そんなこんなで授業終了。


終わりのチャイムと同時に起きる陽麻理には毎度驚かされる。


「陽麻理ってよく寝るよね~」


「え~?そうかな?」


「自覚はないんだ…」


八千代は苦笑するのであった。



昼食は4人で学食で食べる。


今日は揃ってカレーをチョイス。


「ねぇ、次の授業なんだっけ?」


「日本史。乙葉得意でしょ?」


乙葉の質問に八千代が答えた。


「ああ、移動か。…移動!?ヤバい!」


突然焦る乙葉。


「時間ならまたまだ平気だよ?」


月花が時計を見ながら言った。


「違うの!次の移動先部室じゃん?黒板に昨日の部活で書いたこと書きっぱなしだよ!」


「別に大丈夫でしょ。変なこと書いてなきゃ」


「変なこと書いてあんの!」


「何書いたの?」


「…信長の似顔絵」


乙葉が絵を描くのは珍しい。


…見たい。


「国家!」


「おうよ!」


さっと八千代が乙葉を羽交い締めにした。


「離してちよにー!あれは消さないと!」


もがく乙葉。


しかし八千代から逃れられない。


その間に陽麻理と月花がダッシュ。


社会科研究室へと走って行った。


社会科研究室に到着した河津野姉妹。


確かに黒板には絵が描いてあった。


やたら漫画チックな絵で描かれた織田信長の肖像画。


「なんだぁ。言うほど変でもないね~」


「いや、十分変でしょ。やたらイケメンぽく描いてるし…」


とりあえず2人は絵を消した。


勿論写真を撮ってから。




「え~。もう消しちゃったの~?」


「見られた~…」


授業の道具を持ってからきた八千代と乙葉。


2人ともガッカリしていた。


「あ、写真はあるよ!ほら!」


「ちょっ!」


飛びかかる乙葉を軽く避けて携帯を八千代に渡した月花。


「あ~、割と上手いじゃん。何故にこんなイケメンぽくしたかはさて置き」


「止めてー!それ言わないでー!」


乙葉は机に突っ伏したのだった。


「そう言えば、陽麻理は?」


「あれ?トイレじゃん?」


陽麻理がいなくなっていたが、あまり深く気にすることなく残り3分の休み時間を過ごした。


陽麻理が戻ってきたのは授業開始直前だった。


日本史の授業は社会科研究室で行われ、席が指定。


4人は離れた位置となる。



乙葉と八千代はノートを取り、陽麻理は睡眠。


月花は教科書を忘れてふて寝していた。


因みに内容は古代の日本。


貝塚がどうとか竪穴式住居がどうとかだった。



「なんで陽麻理が教科書持ってんのよ!」


月花が文句を言っている。


2人は乙葉の絵を見るため学食から直接社会科研究室に行った。


そして騒いでいた。


そのため、月花は教科書に教科書を置きっぱなしだったのだ。


「授業開始前に取ってきたんだよ」


「なら私の分もさぁ…」


落胆した月花。


授業前に陽麻理がいなくなったのはこのためだった。



6限は教室に戻って自習。


因みに政治経済の時間だが、教師は出張。


自習監督もいない。


課題も教科書見ればすぐに終わる。


と、なれば。


自習開始5分。


「乙~?課題終わった?」


「いや、まだ…」


目すら向けずに答える乙葉。


いくらなんでも5分じゃ終わらない。


もう5分後。


「国家~?終わった?」


「まだ…」


八千代も声だけで返した。


さらに5分後。


「陽麻理~。できた~」


「Zzz…」


「寝てやがる…」



それから5分後。


「終わったよ!」


乙葉終了。


「あ、マジ?ここって何?」


八千代が空欄を指差して聞いた。


「ここは欄外にさ~」


「あっ!書いてあった!よっしゃ終わり!」


八千代も終了。


そんなわけで…。


「陽麻理、起きて!これ写していいからさ!」


陽麻理を起こしてプリントを渡す乙葉。


「待って!私にも見せて!」


「あんた…何もしてないのね…」


月花のプリントは真っ白だった。


いつものことだけど。


「今回は月花には見せない!」


「じゃあ私も!」


真面目な2人が月花へのプリントの輸出を規制した。


「何で?陽麻理はいいのに?」


「あたしはほら。あたしだから」


陽麻理がよくわからない理由をつけた。


「私も私よ!」


月花の抗議の仕方もよくわからない。


「他力本願め!」


「ぐっ!それを言われるとキツいぜ…」


その後何だかんだでプリントを見せてもらえた月花だった。


放課後。


生徒が散り散りになるこの時間。


4人も例から漏れることはない。


「んじゃ私は陸上部あるから」


八千代が去って行った。


「はあ~。国家は部活か」


「八千代ちゃん真面目だからね~」


河津野姉妹がまったりと話している。


「今日はどっか寄ってから帰ろうか。駄菓子屋とか。乙も来る?」


「私も部活ある」


乙葉も撤退。


2人で駄菓子屋に行くことになった月花と陽麻理だった。




社会科研究室の扉を開くと、既に人がいた。


「あれ?楓先輩?どうしました?」


大祝楓がいた。


因みに彼女は部員ではない。


「暇つぶしよ!乙葉ちゃん。邪魔じゃなきゃ一緒にだべってもいい?」


「いいですよ!」


楓は半ば歴史研究部をだべり部だと思っている節がある。


「乙葉ちゃんは理系?」


「文系です。数学苦手で…」


乙葉は苦笑した。


「楓先輩は進路決めました?」


「ん~。正直なるように身を任せたいんだけどね~。一応大学進学。一応神社切り盛りしなきゃだし、経済学的なものをやりたいな」


「いいですね!」



話していると、部員が集まり始めた。


最後に来たのが鬨哉である。


「ねえヤマト?」


「ん?何?」


「好きな人って誰?」


「はっ!?えっ!?…ん?」


ヤマト混乱中。


「さっき月花が言ってた。ねぇ誰?誰!?」


周りのみんなは「あらら~」と目を逸らす。


好きな人から「好きな人誰?」と迫られている。


さて、なんて答えよう…。


1.…お前だよ。

2.い、いねーよ!勘違いだろ!

3.さて、誰でしょう?


1は最初から除外。


3番でいこう。


「さて、誰でしょう?」


すると乙葉は考えた。


そして導き出したたった一つの真実。


今明かされる衝撃の真実!


「月花でしょ!」


「…は?」


「隠さなくていいよ!月花には私からコッソリ伝えておくから!」


周りの皆さんは「あ~…」とガッカリした。


「待て!それは違う!絶対伝えるなよ!変なこと言うなよ?」


「え~…。せっかく協力しようと思ったのに…」


ほっぺたを少し膨らませた乙葉だった。



今日の部活もなんだかんだで終了。


楓がだべり部だと思ってるのも頷ける活動内容。



そのまま今日の活動は終了した。




帰りは一人。


今年から「副部長」の肩書きを得た乙葉。


晴美が引退するまでの僅かな時間を副部長として過ごす。


「…先輩も、もうすぐ引退なんだよね…」


そっと呟いてから首を振った。


「私が引っ張らなきゃ!次期部長なんだから!」


なんとなく、そんなふうに思えてきた。




また明日も同じような毎日を繰り返す。


だから、私は…。


明日こそヤマトの好きな人を解き明かそう!


そう思いながら帰宅するのであった。

乙葉の周辺キャラ設定


半ば使い捨てキャラに設定が必要なのかは突っ込んじゃいけません。



河津野 月花/カワヅノ ゲッカ


身長:154センチ

体重:45キロ


コテコテな二次元キャラにするならピンク髪。

前から一度使ってみたかった名前に「っ」が入っているキャラ。

元気に突っ走る他力本願バカ。

胸は男子。

イメージは月。

夜の小悪魔。



河津野 陽麻理/カワヅノ ヒマリ


身長:150センチ

体重:42キロ


のんびりやさん。

よく眠る。

月花の妹。あまり似ていない二卵生の双子。

いろいろトロい。

愛されキャラ。

胸は姉と同じく男子。

イメージは太陽。

暖かい和ませキャラ。



鏑矢 八千代/カブラヤ ヤチヨ


身長:167センチ

体重:55キロ


運動系活発少女。

陸上部所属。

日焼けにより少し色黒。

真面目だけど部活が忙しいせいか成績が上がらない。

陸上の専門は長距離。

胸はDあり。ずば抜けている。

様々なニックネームあり。

名前の由来は「ちよにやちよに」

国歌の一部から。

ニックネームも君が代関連。

イメージは特になし。


以上、モブキャラでした。

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