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倭鏡伝  作者: あずさ
5話「影の自分にご注意あれ!」
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プロローグ それはこんな顔でしたか

 塾の帰り道、少女は一人家路を急いでいた。外はもう暗い。

 最近では大分慣れてきたとはいえ、まだ油断するという気にはなれなかった。

 この道をこんな遅くに通るときは妙に緊張してしまう。


(親に迎えに来てもらった方がいいかな……)


 どこかぼんやりとそう思う。今はまだいいが、冬になればもっと大変なことになるだろう。

 ふと人影を見つけ、少女は思わず足を止めた。


「び……ビックリしたぁ」


 呟き、ホッと安堵の息を吐く。

 数メートル前を歩いていたのは一人の女の子だった。

 のんびりと歩いているが、彼女も塾の帰りか何かだろうか。


(…………?)


 ふと感じた違和感。

 少女がそれに気づくのにそう時間はかからなかった。

 少女は首を傾げ、まじまじとその女の子の後ろ姿を見つめる。

 もしかして――あの格好は、自分と全く同じではないだろうか?


 すごい偶然もあるものだと感心する。

 だがそれだけでは違和感は消え去らなかった。

 少女は少し歩調を速め、もっと間近で彼女を見る。


(え……?)


 ふいに鼓動が跳ねた。二の腕が粟立つような感覚に襲われる。


(……嘘でしょ?)


 目の前の女の子の背丈も、髪型も、おそらく体型すら自分と一緒だなんて。


 少女が戸惑っていると、唐突に女の子が足を止めた。

 自然と少女も立ち止まる。

 それがわかっているかのように、目の前の女の子はゆっくりとこちらを振り返った。


 女の子は――自分と同じ顔で、口元だけで笑っていた。

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