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プロローグ 武者震い日和
「大丈夫?」
母親にそう訊かれたとき、彼は思わず皮肉めいた笑みを浮かべた。
「……大丈夫だよ」
「何かあったら先生に言うのよ?」
「わかってるさ」
軽い口調で言い、肩をすくめる。
そんな自分に、まだ何か言いたげだった母はそれでもその口を閉じた。
「それじゃあね」と名残惜しそうに呟き、校門から出ていく。
その姿を見送った彼は、ふと目の前の校舎を見上げた。
スクール。新しい、スタート。
今まではその校舎が、どれだけ巨大な檻に見えていたことか。
「……大丈夫」
――あの頃の自分とは、違うんだ。
微かに震えた身体に、彼は再び皮肉めいた笑みを見せる。
大丈夫。これは、そう、武者震いってやつだろ?
「……よし」
皮肉めいた笑みを勝気なものに変え、彼はゆっくりと歩を進めた。
微かに揺れた金色の髪が、太陽に反射してキラリと光る。




