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倭鏡伝  作者: あずさ
4話「友情射程距離」
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プロローグ 武者震い日和

「大丈夫?」


 母親にそう訊かれたとき、彼は思わず皮肉めいた笑みを浮かべた。


「……大丈夫だよ」

「何かあったら先生に言うのよ?」

「わかってるさ」


 軽い口調で言い、肩をすくめる。

 そんな自分に、まだ何か言いたげだった母はそれでもその口を閉じた。

 「それじゃあね」と名残惜しそうに呟き、校門から出ていく。


 その姿を見送った彼は、ふと目の前の校舎を見上げた。

 スクール。新しい、スタート。


 今まではその校舎が、どれだけ巨大な檻に見えていたことか。


「……大丈夫」


 ――あの頃の自分とは、違うんだ。


 微かに震えた身体に、彼は再び皮肉めいた笑みを見せる。

 大丈夫。これは、そう、武者震いってやつだろ?


「……よし」


 皮肉めいた笑みを勝気なものに変え、彼はゆっくりと歩を進めた。

 微かに揺れた金色の髪が、太陽に反射してキラリと光る。



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