表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

リュミエールのキラキラ魔法〜王子様をキラキラさせる役目を笑われて婚約破棄されましたが、専属背景師の私はかなり重要なようですよ〜

掲載日:2026/05/05

「きゃああっ! レオンハート殿下!」


「今日もなんて素敵な輝きなの……!」


 城のバルコニーに。


 キラキラを背にしたレオンハート殿下が登場した。


 彼の微笑みと星のように輝くキラキラが完璧に演出した光景。


 令嬢たちは、殿下の眩いばかりの姿に陶酔している。


 ――今日も上手にできた!


 殿下をキラキラさせているのは私。

 令嬢達の中に紛れて、自然に絶妙のタイミングで魔法を放って。

 幼い頃から『光魔法』が得意だった私は、殿下と出会った時に思わず星を出して背景をキラキラさせていた。


「凄い!」


 殿下はキラキラしている御自分の姿を見て喜んでくれて、


「これからも私をキラキラさせてくれ!」


 キラキラ輝く笑顔で、お命じくださった。

 それ以来、私は殿下の専属背景師として『キラキラ魔法』を駆使してきた。


 なんて、特別な誇らしい御役目なの……!


 周囲の令嬢が殿下に見惚れる中、私は一人、完璧にコントロールできたことに満足していた。


 形、大小、輝かせ方、魔法の範囲……

 全て、殿下の動きと呼吸を合わせてることができた!


「今日も見事だったよ、リュミエールのキラキラ魔法。素晴らしい使い手になったね」


 殿下のお褒めの言葉と笑顔が何よりキラキラしていて、


「ありがとうございます、殿下」


 とても光栄で、とても嬉しい!


「本当なら、リュミエールのことを皆に自慢したいんだが……」

「私のことを考えてくださり、ありがとうございます。ですが、お気にならないでください、殿下」


 キラキラと輝く殿下を見る皆に夢を見せてあげたい。

 そう思って、私の存在を公にしたいと言う殿下を止めてきた。

「殿下が放つ輝き」「キラキラしている殿下」

 そう言って喜んでいる令嬢達や国の人々。

 私がキラキラ魔法で輝かせていると知れば、夢が壊れるかもしれない。

 そして誰よりも私が、人知れず殿下をキラキラさせて、皆に殿下の素晴らしさを見せてあげたいと思っているから。


「私は名誉も賞賛もいりません、ただ陰に徹して、殿下をキラキラさせる御役目を続けていきたいのです」

「ありがとう、リュミエール。これからもよろしく頼むよ」

「はい! 殿下の微笑みをずっとキラキラさせると誓います」

「ふふっ、頼もしいよ」


 子供の時と変わらない笑顔を交わせた。

 幸せ――

 今は、御役目だけじゃない。もう一つ、大切なものもある。


 私の婚約者様もキラキラさせてあげたい!


「ルビット様!」

「リュミエール……」


 御屋敷に来た私を出迎えてくれたルビット様の隣には。

 令嬢が寄り添ってる――この方は、アリシア伯爵家のカトリーヌ様……


「ルビット様?」


 どうして、そんな冷たい顔をしているの?


「リュミエール、今ここで君との婚約を破棄する!」


 えっ!?


「婚約破棄?」

「そうだ。そして、このカトリーヌと婚約するよ。君とはこれきりだ、リュミエール」

「ど、どうして、急に」


 呆然とする私を一瞥して、ルビット様は溜息をついた。


「どうして? 君のような恥ずかしい御役目をしている女とは結婚できないからだよ」

「恥ずかしい?」


 クスクスとルビット様に寄り添うカトリーヌ様が笑い出した。


「殿下をキラキラさせる御役目ですって? 面白くて笑わずにはいられませんわ」

「そ、そんなっ」


 笑われるようなことは――!


「わかったか? リュミエール。君の御役目は人に笑われるようなものだ。婚約者でいる私まで恥ずかしいよ」


 ルビット様は恥ずかしそうに私から顔を背けて片手で顔を隠した。

 そんな彼に寄り添って、カトリーヌ様は尚も私を見ながら笑っている。


「わ、笑わないでください! 私の御役目は大切なものです! 皆さま、喜んでくださっているし、何より殿下が必要としてくれています!」

「あんなマヤカシを見て喜んでいるのなんて、小娘くらいだわ」


 大人の魅力を放つカトリーヌ様は冷ややかに私を見下(みくだ)した。


「殿下だって、いずれ目を覚まされます。いつまでも子供じみた王子様のようにキラキラしてはいられないと。国王陛下となられる御方ですもの」

「そうだ。そうなった時に君は何の役にも立たない。何の魅力もない、ただの伯爵家の娘だ」

「そんな……」


 それじゃまるで、ルビット様は私の御役目しか見ていないみたい。

 そして、カトリーヌ様と一緒に私を冷たく見下して――


「待ってください、ルビット様! キラキラ魔法のことは秘密だと言ったはずです」


 秘密は守ると約束してくれたのに。


「どうして、カトリーヌ様が知っているの」

「ああ、婚約者はどんな令嬢か聞かれて、ついな」


 つい!? 教えたの?


「最初は自慢するつもりだったんだが。君の特別な御役目を凄いと思っていた、しかし、こうして先を見通せるカトリーヌと出会えて目が覚めたよ」


 二人は微笑みあって、私を見た。

 キラキラする光に誘われてきた虫を見るみたいに。


「さようなら、リュミエール。私と婚約していたことも、殿下をキラキラさせていることも誰にも言わないでくれよ。笑われたら私まで恥ずかしいからね」


 背を向けて笑いながら、お二人は屋敷に入っていった。


 こんなことになるなんて――


 私の御役目のせいで婚約破棄……?


 笑われて、恥ずかしい?


 そんなことない――!!

 信じたくない、けれど。

 婚約破棄は悪夢ではなく本当に正式に行われた。

 ルビット様だけでなく、いずれ、殿下も居なくなるの?

 私の御役目はいずれ必要とされなくなる……

 確かに、国王陛下はキラキラさせてくれと言ってこないし。

 殿下にその気がなくとも、国王陛下になれば必然的に、キラキラすることもなくなるのかもしれない。

 そんなことになったら……

 いいえ、もう殿下を……上手にキラキラさせられないかもしれない。

 ルビット様、カトリーヌ様、嘲笑するあの方たちの見ているなかでこれ以上は……


 ドレッサーの鍵付き引き出しを開けた。

 中には一通の封筒がある。

 隣国の王太子殿下がくださった置き手紙――

 殿下は国に招かれていらした時に、レオンハート殿下のキラキラした姿に魅了され、キラキラ魔法の使い手である私を探しだされた。


「ぜひ、我が国に来てくれ。私をキラキラと輝かせてほしい」


 そう密かに願われた。

 私はレオンハート殿下の専属背景師ですからと、お断りしたけれど。

 こうして、気が変わったら何時でも連絡してくれと、使者への連絡手段を残していかれた。


 今の私には……必要なもの……


 新たに隣国の殿下を……



「レオンハート殿下、御役目を降ろさせてくださいませ」


 こっそり行くなんて出来なかった。

 最後に、正面からお別れを言いたかったから。


「どういうことだ、リュミエール。なぜ、急に……」


 殿下、婚約破棄を突きつけられた時の私みたい。

 ごめんなさい……


「お許しください、殿下。私は隣国に参ります。これからは隣国の殿下を……もうこの国には居られません!」

「隣国の王子の元へ行くだと!?」


 殿下は震えだした。

 怒りの表情を見せたけれど、みるみる泣きそうになっていく――


「嘘だろう? リュミエール! 君のキラキラ魔法がどれほど重要かわからないのか!? 私が輝きを失い隣国の王子がキラキラしだしたらっ――!!」


 殿下は頭を抱えて天を仰がれた。


「あああっ――」


 それから、下を向いて嘆きはじめた。


「そんなにっ、殿下……私のキラキラ魔法がなくても殿下なら御自身の輝きでっ」


 私は元々そうだった。

 殿下の本来のキラキラした輝きに星々を足しただけ。


「そんなことはない! 私にとって、リュミエールのキラキラ魔法はなくてはならないものだ!」


 殿下は否定して断じると、キッとした瞳を見せた。


「誰にも渡さない! 隣国に行くなど許さない!」

「で、でも……」

「そもそも、どうしてそんな考えになったんだ? 話してくれ、リュミエール」


 殿下の表情と声音が弱々しく優しくなられた。

 それで、私の心も弱々しくなって泣きそうになりながら。

 ルビット様とカトリーヌ様の言ったことをお話すると。


 殿下の顔は恥ずかしそうに赤くなっていった。


「キラキラする私を、リュミエールのキラキラ魔法を、笑うものは許さない!」


 断じると、殿下は私に悲しげな顔を見せた。


「すまない、リュミエール。君がどれだけキラキラ魔法を、御役目を大切に思ってくれているかはわかっている。辛い思いをさせてしまったね……私がもっと早く君の重要性を公にしていれば」

「いいえ、それを止めていたのは私ですからっ。殿下こそ、私のせいでっ……」


 侮辱されるような目に遭わせてしまった。

 それなのに、殿下は優しく私に微笑んでくださった。


「リュミエール、もう彼らの言ったことは気にしないで。誰がなんと言おうと、私は君のキラキラ魔法が大好きだし、必要としている。これからも変わらないよ。私の言うことを信じてくれ」

「はいっ……殿下、私もキラキラ魔法が大好きです! 殿下をこれからも変わらずにキラキラさせて差し上げたいです!」


 私は両手を広げてキラキラ魔法を発動した。

 今回は思い切り、想いをこめて。

 殿下の全身を大きな星々のが包んでいく――


「凄いよ! リュミエールッ」


 私達はまた笑顔を交わせた。

 それから、殿下は真剣な切実な顔になり私の肩を掴んだ。


「隣国にも行ってはいけないよ。君は私の専属背景師だ、いいね?」

「はい、殿下」


 殿下の独占欲の前に抗う気は起きなかった。

 嬉しさを感じたから。


「よかった! よし、隣国の王子には諦めるように私から伝えよう。これで国の秘宝とも呼ぶべき魔法と使い手の流出は防げた」


 秘宝とは大げさなようですけど。

 大真面目に言ってくださる殿下が愛おしいですわ。


「次は、私達のキラキラを笑った者達に罰を与えよう。ルビット・デイル伯爵と婚約者カトリーヌを呼べ!」



 ルビット様とカトリーヌ様は罪人のように連れてこられて。

 殿下と私の前に崩れるように膝をついた。


「ルビット・デイル伯爵」


 そんな二人を冷徹な表情で見ながら殿下が呼びかけた。


「お前は、リュミエールのキラキラ魔法が原因で彼女と婚約破棄をした。間違いないな?」

「は、はい、それはっ……」

「カトリーヌ、君がルビットの目を覚まさせたそうだね?」

「それはっ、その……」


 殿下の穏やかだけれど冷徹な質問を前に。

 二人は言いしれない恐怖を感じたようで、口籠り震えながら顔をしたに向け視線をそらした。


「ルビット、カトリーヌ、お前達は、私のキラキラした姿を笑い者にし屈辱を与えた」


 殿下の声は氷のように冷たくなり、二人を見下した。


「そ、そんなことは!」


 ルビット様は顔を上げ急いで否定し、


「私は、殿下を笑ったわけではありませんわ!」


 カトリーヌ様も続いて必死な顔で訴えた。


「私は、リュミエールのキラキラ魔法を笑っただけで」

「同じことだ。私をキラキラさせてくれているのが、リュミエールの魔法だからね」


 殿下は、隣に立つ私の手を大事そうに握ってくれた。


「お前達が私達を笑い侮辱したことは、国王陛下である父上にも訴えて相応の罰を用意してもらった」


 二人の顔色が一気に青ざめた。


「ルビット・デイル伯爵、及び、婚約者のカトリーヌへの処罰を言い渡す」


 殿下は気にもなさらず、羊皮紙を読み上げはじめた。


「デイル伯爵家は辺境の地イスキオスへ領地替えとする。婚約者カトリーヌは速やかに婚姻を結び夫となったルビットに着いて行くように」


 ヒッと声にならない悲鳴を上げた後。

 最初にルビット様が、縋るように前のめりに床に手をついた。


「そんなっ、辺境の地イスキオスといえば光届かぬ谷のそば! 犯罪者の流刑地にもなっている場所ではありませんか!」

「キラキラを笑い者にするという罪を犯したお前達には、お似合いだろう」


 冷たく言い放つ殿下に、次はカトリーヌ様が縋るように前のめりになった。


「で、殿下も! 目を覚ましてくださいませ! キラキラ魔法などと子供じみたことだとっ……」


 そう言ってなおも笑い。

 カトリーヌ様は大人の魅力を見せるためか、両腕を寄せて胸の谷間を強調させてみせた。

 けれど、殿下はフンと鼻を鳴らし、


「キラキラの背景がないと只の肉の塊にしか見えないな。たとえキラキラがあっても無駄かもしれないが」


 感想をのべると、すぐさま顔をそむけられた。


「殿下!」


 ルビット様が前に這いずり出た。


「いずれ国王陛下となられたら、キラキラ魔法など」

「国王になったらか……」


 殿下は言葉を継ぐと、未来を見るように遠くを見た。

 そして、悠然と微笑えまれた。


「そうなったら、我が子をキラキラしてもらうよ。リュミエール」

「殿下の御子を?」

「ああ、子供は喜ぶだろうからね……」


 キラキラ魔法を子供じみたと言ったカトリーヌ様を見下して、殿下は告げた。


「殿下の御子……」


 殿下に睨まれて震えるカトリーヌ様の隣で、ルビット様が呟やくと床に手をついたまま私を見上げて笑いかけてきた。


「リュミエール! 君ともう一度婚約したい!」

「今さら、何をっ……」


 ヒィッと悲鳴が出そうになるのを堪えて。

 後ずさる私にルビット様は這い寄ってきた。


「私と子供を作ろう! リュミエール! 君と私の子が殿下の子をキラキラさせる御役目をするんだっ」


 ああ、やっぱり、この人は御役目が目当てで――

 私と殿下の秘密のキラキラ魔法、限られた人だけが

 名誉や出世のために子供まで利用しようとしている。


「ごめんなさい、ルビット様。私はもう貴方様と婚約する気も子供を作る気もありません」


 キラキラ魔法と生まれてくる子供を守るために。

 私は顔をそむけて、きっぱりと断った。


「そんな、リュミエール……今度は君を大事にする! キラキラ魔法もだ!」


 ルビット様の弱々しい声音には後悔と絶望が滲んでいたけれど、もう本当に心には響かなかった。

 私と殿下の秘密のキラキラ魔法、限られた人だけが知ること、私からは婚約者にだけ話そうと決めていた。

 その秘密を簡単にカトリーヌ様に教えてしまった。

 そんな人の言うことなんて二度と信じない。


「これで、デイル伯爵の行く末は決まった」


 殿下が冷徹に告げられた。


「別れも済んだな、もういいだろう。連れて行け!」


 命令と共に、兵士達が二人を引き立てた。


「待ってください! 殿下、リュミエール!」

「嫌あぁ! こんな男とは婚約破棄します! 助けてっ、許して――!」

「こっちこそ婚約破棄だ! カトリーヌ! お前のせいでっ、お前のせいで……!」


 ルビット様とカトリーヌ様は互いを罵り合い喚きながら連れて行かれた。



「これで許してくれ。君を傷つけたことを、リュミエール」


 静けさが戻ってから、殿下が私に顔を向けた。

 悲しげでまだ辛そう……


「殿下、もうこれで充分です」


 ほっとしたように微笑んで頷いてくれた。


「それと、私の子供をキラキラさせるということも引き受けてくれるだろうか?」


 あっ、それも本気で――子供みたいに笑ってる。


「はいっ、喜んで! 光栄ですわ」


 私達は未来の子供達を想像して、目をキラキラさせて笑いあった。

 子供達――

 婚約者を失った私には遠い話だけど。

 殿下をキラキラさせる御役目を、そうして未来に繋げることができて嬉しい!

 これで、安心して帰れる……


「リュミエール」


 城の廊下を歩いていると声をかけられた。

 走りよってきたのは、


「ナハト様」


 殿下の側近、ナハト・フォンセット侯爵様。

 キラキラと輝く金髪碧眼の殿下と反対に黒髪黒眼で陰に徹している方。

 それだけに、陰からキラキラ魔法を使う私を気にかけて相談相手になってくれている方。


「大変な目に遭ったようだな、大丈夫か?」


 やっぱり、気にかけてくださった。


「ええ、大丈夫ですわ」

「馬車まで送ろう」

「ありがとうございます……」


 今回の件。

 ナハト様には、全てお話した。

 この方なら笑ったりしない、殿下や私を傷つけることはしないと信じられるから。


「伯爵と婚約者は、光届かぬ地に追放されても仕方ないな」


 ナハト様は厳しい顔つきで言われた。


「それにしても、リュミエールのキラキラ魔法の素晴らしさがわからないとは。御役目に徹している私さえ、魅了されてしまうというのに」

「ナハト様を魅了できているのはとても嬉しいですけど……私の魔法がまだまだなのかもしれませんわ」


 馬車に乗せてもらってから、こっそりと両手にキラキラ魔法を出してみた。

 小さな星々の輝き――


「もっと上手にならないと!」

「前向きだな、心が強く、リュミエール自身もキラキラしてみえるよ」

「そんなっ、ありがとうございます……」


 ナハト様に真っ直ぐなキラキラした瞳を向けられて微笑えまれたら。

 その言葉も信じずにはいられなくなる。

 大切な特別なキラキラで輝かせたくなる――


「そういえば、私達もキラキラ魔法を笑ったことがありましたわね」

「えっ、そんな不敬を働いたことがあったか?」

「いえ、殿下をではなく、こうして……ナハト様と私をキラキラしてみせた時に」

「そうだったね、私達では可笑しいと。やはり殿下でなくては」

「そうですわね」


 再現してナハト様と私の周りをキラキラにして。

 また、笑いあった。


「次は、殿下の御子をキラキラさせるよう御役目を賜りましたわ」

「引き受けるんだな?」

「はい。とても光栄です」

「よかった。君が居なくならないとわかって本当に――」

「ナハト様?」


 ほっとしたような微笑みと。

 真っ直ぐな眼差しが私の心を惹きつけて魅了した。


「リュミエール、君が伯爵と婚約したから諦めて幸せを祈っていたんだが」


 ナハト様は私の手を取った。


「彼との婚約が無くなったなら、私と婚約してほしい」

「ナハト様……!」

「キラキラ魔法は使えなくても、君をキラキラさせたいと思っている。どんな方法を使っても!」


 こんなに熱い想いを持っていてくれたなんて――

 陰に徹して隠していらしたのね。

 こんな方がそばに居てくれたなんて気づかなかった。

 ルビット様の飾りたてたどんな言葉より、胸に響く。


「ナハト様……ありがとうございます……喜んで婚約いたしますわ」


 私は、ナハト様にこうしていてほしかった。

 キラキラ魔法のおかげで大切なものを見つけられた。




「お母様っ、見てくだい! キラキラ〜〜!」


 侯爵家の屋敷の庭園。

 私とナハト様の息子ルークが手を差し出してみせた。


「まぁっ。上手ですこと!」


 太陽の光にも負けない、星々が輝いてる。


「小さなキラキラ魔法の使い手さん」


 こう呼ぶと、ルークは嬉しそうに笑う。


「ルークも素晴らしい使い手だな。お父様もキラキラさせてくれ」

「はいっ、キラキラ〜!」


 ルークを抱くナハト様も小さなキラキラに包まれた。

 とても綺麗で尊い輝きですわ――


「国王陛下も、王妃さまも、ルークがキラキラさせますっ」

「まぁ、凄い!」

「凄いぞ!」

「エトワール王女さまも。契約を交わしました "いい? 私とルークだけの秘密の役目よ"って」


 もう子供同士で専属契約を結んだみたい。

 この国の王子様やお姫様だけの特別背景は受け継がれていく。


「凄いわ、ルーク。だけど、お母様だってまだまだ!」


 我が子もナハト様もレオンハート陛下も王妃様も王女様も。

 大切な愛する人達をキラキラさせて差し上げますわ――!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ