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大国、ヒノモト

その国の国土は狭い。だが、世界最高の先進国家であり、大国である。


その名はヒノモト。


アズリア海域周辺国家の盟主。


かつて、戦争があった。海域外と関係を断っていたアズリア諸国は、エーウ連合と世界最大国家アムーカ、第二大国サビート連邦との苛烈な諍いに巻き込まれる。


エーウ連合、アムーカ、サビート連邦。列強と呼ばれる彼らは互いに覇を競い、世界の頂点を取るべく、アズリア諸国になだれ込み、各々征服を始めた。


アズリア諸国は応戦するも、列強の魔法技術に為す術もなく敗退を繰り返し、次々と主権を失い、植民地へ落ちぶれる。


その時立ち上がったのがヒノモトである。


ヒノモトは独自の魔法技術により急伸しており、列強からも注視されていた。しかし、彼らの争いを好まぬ「和」の精神を無礼(なめ)た列強は、ヒノモト恐るるに足らず、と慢心。その技術をも飲み込まんと、まずは周辺国を落としにかかった。


しかし、彼らはその報いを受けることになる。

――「和」の心とは、すなわち平和の番人たる自負である。


ヒノモトは電撃的に周辺諸国を併呑。その後列強に牙を剥いた。


周辺諸国、チオセンとティーナを足がかりに、先ず列強のサビート連邦を強襲。

アズリアなにするものぞ、とあぐらをかいたサビート連邦に壊滅的打撃を与え、ティーナ国境から攻め上がり、震え上がらせる。


「奴らは死を恐れない。そんな奴らに勝てるか?」


サビート連邦の元軍曹は、そう言って奥歯を鳴らす。


壊滅的被害を受けたサビート連邦は、ヒノモトと不可侵条約を結ぶこととなる。


ヒノモトの精強さを知ったエーウ連合の二国、プロイスとイーティアは対サビート連邦を鑑みヒノモトと同盟を結ぶ。

ヒノモトは突如として「列強」へ躍り出た。


プロイス、イーティア以外のエーウ連合諸国も基本的にサビート連邦と対立しており、諸国は日和見的にヒノモトの列強入りを認めた。

面白く無いのは世界最大国家アムーカ。ヒノモトを中心とするアズリアの守りが硬くなるのに手をこまねいているわけには行かず、「ヒノモト灰燼計画」を発案。ヒノモトの精神的支柱、ヒノモト尊王を首都諸共葬り去る手はずを整える。


しかしそれは、ヒノモトの読心魔法により筒抜けだった。


ヒノモトはアムーカの前線要塞基地群島、ハーウィを奇襲。

高高度から飛来するヒノモト精鋭魔術師の爆雷魔法により、基地は壊滅。

アズリア侵略の足がかりを失う。


が、大国アムーカはその程度では揺らがない。南方植民地を足がかりに、執拗にヒノモトへ消耗戦を仕掛ける。


ヒノモトはよく戦った。「奴らは死を恐れない」その意味をアムーカ兵は噛み締めた。


止めをさしたはずの兵が自爆魔法を放つ。単騎で奇襲し基地を落とす。「ゼロ戦」なる新型瞬発魔法による電撃戦。


アムーカはじわじわと追い詰められていた。


そして、禁術を使用した。


ヌーク。後世に大きな負の歴史として刻まれるその禁術は、二発でヒノモトの美しい国土と、多くの罪なき住人を焼いた。


◯ ◯ ◯


大国アムーカをも追い込んだヒノモト。しかし平和と国土、何より臣民を愛する尊王は降伏を宣言。

ここに終戦は成った。


しかし卑劣なサビート連邦は不可侵条約を一方的に破棄。ヒノモトは一部の国土を奪われる。

さらにアズリア諸国のティーナ、チオセンはかつての恩義を忘れ略奪を実行。共闘していた彼らからの突然の攻撃にさらされ、多くの人命、財産が失われる。


ヒノモトの頭上を死の禿鷲が旋回し、その栄華は無残にも失われる。

大国ヒノモト。世界の略奪の輪に加わらず、唯一正義の為に戦ったその国が。


そのヒノモトに手を差し伸べたのは、以外にもかつての大敵、アムーカであった。

戦後復興の支援に心血を注ぎ、略奪へ神経をとがらせ守り、ヒノモトの復興を支える。


成長を続ける第二大国サビート連邦への牽制もあったが、その大半は善意であった。


「未開国家の群れと思っていたが急伸し、列強入りを果たす。そしてこちらが禁術に手を染めるほどに追い込まれた。何より、正義は彼らにあった」


アムーカ国民はヒノモトの「和」に触れ、衝撃を受けた。

――正義は、我らにはなかった。正義とは、平和とは、彼らそのもの。


アムーカとヒノモトは強い友誼に結ばれ、アムーかは「和」の心から再び軍隊を破棄したヒノモトを守り、ヒノモトはその超技術で以って両国の発展を後押しする。


ここに、世界を護る、「和」の心を持った二国同盟が生まれた。


   ――ヒノモト国記より抜粋

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