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Ep.8

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 数日後 8月の半ばになった。

 この日は魔法薬作成の授業


 この1年で学ぶのは治療薬のみ。最初は初級のモノで質が良ければ帝国の様々な組織に引き渡される。この時から既にスカウトの準備が始まってるのだ。


 アルテも真剣に取り組む。彼女の目の前には小さな釜とフラスコと小瓶や小鍋や網等、他の生徒の机にも同じモノが置かれてる。


 数多いポーションの()()は同じ、まず土台となる透明な魔法水を作る。これに様々な魔法や薬草を注ぐと透明なポーションに効果が付き、治療薬や魔物除け等になる。

 …しかしこの土台となる魔法水の作り方は2年になったら教わる。1年生は教師や上級生が事前に作ってくれたモノを使用する。


 この世界には魔物と呼ばれる人々を脅かす存在がいる。またこの世界の人間は魔力を宿す者と宿さぬ者がいる。


 魔力を宿さぬ者でも治療薬は作れる。薬草を使用するやり方た。

 魔力を宿す者は最初は治療魔法を身につける所から始める。魔力を宿さぬ者は薬草の集め方や煮詰め方、濾し方等を身に付けて治療薬の作成に移る。

 …正直な話し、治療魔法を注いだだけの治療薬より、手間隙かけて薬草から作った治療薬の方が効果が高い。


 アルテは魔力を宿してるが、両方選んだ。仮に魔力が使えなかったり枯れさせてしまった時、薬草での作成方法を覚えておけば損にはならない。むしろ為になる知識だ。


 今は魔力を使わず薬草での作成を試みてる。小鍋に入れた薬草をよく煮詰め、搾り取ったり濾す。そして出た薬草の汁を弱火でゆっくり煮詰め、そこに魔法水を注ぎ色が変わるまで弱火で混ぜる…色が変わったら冷や水に浸けて混ぜながら冷ます。充分冷えたら小瓶に注いで完成。


 かなり手間はかかるが達成感が凄い。治療魔法を魔法水に注ぐだけなら時間はかからない。しかしこれは必要な知識だ。決して無駄にはならない


 アルテが1つ完成させると教師は…鼻で笑って去って行った。「誰にでも出来る事だ、何喜んでる」と見下していたのだ。


 アルテは全く気にせず、魔法水が尽きるまで作った。薬草が切れたら治療魔法を注ぐ方の作成に移行する。肝心の魔法水だが作るのは相当難しいと言われてる…それも作れたら最高なのだが、まだレシピが公開されてないので作れない。聞くのも禁止になってる


 授業が終わる15分前、片付けをしながら簡単なレポートを書く事になってる。片付けが終わったアルテはレポートを書いていた。彼女の机には治療薬の入った小瓶が5つ、悪くはない。薬草を使っていた生徒は5~8本、魔力を使って作成した生徒は10本以上作成していた。

 周りはアルテの治療薬を見てクスクスと嗤っていた。


「みて、あれしか出来てない」クスクス

「才能が無いんだよ」クスクス

「あんなの誰も使わないよ、悪女が作ったのなんか使いたくもない」

「ホントそうだよな」


 好き勝手言ってくれるな…アルテは全く気にして無かった。レポートを書き終え、教師に渡した。他の生徒も渡していた


 教師は作った治療薬は自分で保管して良いと言った。怪我人がいたら進んで使うよう言ったタイミングで授業が終わった。


 ▼△▼△

 授業で用意された小瓶と箱には氷魔法がかけられてるようで長持ちするし、質が落ちないようになってるそうだ。

 アルテは治療薬の小瓶が入った箱を収納魔法でしまった。


 この後は昼休みを挟んで古代文字と魔法陣の解読授業だ。


 …庭園は魔の庭園と化したので使えない、あそこで休んでたら必ず誰かに絡まれるから。

 アルテは木陰に座り込み購買で買ったサンドイッチを食べた。此処は周りから見つかりにくい場所にある。涼しい風が当たるしそれなりに陽も当たる、良い場所を見つけたアルテだった。

 昼休みで寮に帰って荷物を取りに行くのは許されるが、自室での休憩は許されてない。


 アルテはサンドイッチを食べながら作った治療薬をどう使おうか考えていた

 彼女自身は治療薬作りに集中しており気付かなかったが、実はライフォードは彼女を目の敵にしていた。彼女が薬草と魔力での作成をしていることに気に食わなかった。

 何せ彼も全く同じ事をしていたから…。彼からしたらまた自分と同じことをしてる、気持ち悪いと思っただろう。


 しかし席が離れてる事もあってアルテにはライフォードは見えない。だから気付かなかったのだ。ライフォードからアルテが見える席に居るからそう感じてるだけなのだが…


 ★☆★

 その頃、ライフォードは側近達に愚痴って居た。皇族だけが使える部屋に5人はいた。


「あの気色悪い女はワタシの真似ばかりする!見てるだけで気持ち悪い!なんとかしてくれ!」

「っ…またあの悪女は殿下に迷惑を!…クソッ!もっとキツく言うべきだった…」

「口で言ってもダメだ、やはり1発殴ってわからせないと…」

「騎士が令嬢に暴力などお前が不利になるだけだ。もっと別の方法で対処すべきだ」

「……」


 マルクス、ガルク、カルヴァンが真剣に主の悩みをどう解決しようか悩む中、側近でもあるヴィクトール1人は興味無さそうな、どうでもよさそうな顔をしてたいた。


「クソッ…どこまでワタシを、シンシアを苦しませるんだっ…」


 爪を噛み、怒りを露にするライフォード。

 その時、ガルクがあることを言った。


「いっそのこと誰か監視するか?おれは上級生だから授業は無理だ。出来ても休み時間だ」

「それは有りですね…しかし自分は殿下とシンシアと同じAクラス、お二人から離れる訳には行かない」

「ボクはCクラスだからな…なんなら選択授業が違うから会う機会が全くない。ガルクさんと同じ休み時間しか出来ない」


「監視…」


 監視という言葉に反応したライフォード、彼の笑みは歪んだいた。


「それだ!ヤツを監視すれば良いんだ!」


「えっ!?で、ですかは自分達は出来かねま…」

「ヴィクトール!お前がやれ!」

「…は?」

「「「!?!?」」」


 狂った笑みを浮かべたライフォードはヴィクトールの肩を掴んだ。3人は彼があの不真面目なヴィクトールを指名した事に驚いていた。


「お前はB()()()()、そしてワタシと同じ選択授業を受けてる、何よりお前は公爵家の者でありながらもまだ婚約者がいない」


「は、はぁ…そうだが…」


 歪んだ笑みを浮かべているライフォードは続けた。


「ヴィクトール、あの悪女の婚約者になれ!」


「「えっ!?」」

「「はぁ!?」」


「婚約者になれば怪しまれず側に居ることが出来る。だからやれ!命令だ!あの気色悪い悪女を監視しながらワタシとシンシアに危害を加えようとしたら難なく殺せ!いや!信託が起きようが起きまいが卒業時に殺せ!あんな気色悪い女など見たくないからな!」


「「「!?!?」」」

「……」


 この国の皇太子の…次期皇帝の言葉とは思えない発言だった…。これには流石にマルクス、ガルク、カルヴァンは主の発言にドン引きしていた。

 自分達は殺そうとは思っていない…ただ少し痛い思いをさせて大人しくさせようと話し合ってた…



 …後にこの発言と行いが後に彼らを地獄に落とす事になると…彼らは知らなかった…。

最後までありがとうございました。


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