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Ep.6

 次の日 絡んできたのはライフォードの側近達だ。

 アルテは庭園前の通路で絡まれていた。


 左から従者『マルクス』、護衛騎士『ガルク』、側近その1『カルヴァン』…そして側近その2『ヴィクトール』、彼に至っては興味ないのか離れた所で柱に背を付けて立ってる。


「貴様!帝国に災いをもたらす分際で皇太子妃になろうと企むなんて!イカれてるのか!」


 従者が叫ぶと護衛騎士と側近1が続けて口を開く。


「お前など殿下の婚約者にすらなれない!彼から離れろ!」

「全くその通りだ!わざと殿下と同じ授業を選び尾行するなど、気持ち悪い!皇帝陛下や殿下がその気になればお前など簡単には退学に出来るのだぞ!」

「……」


 生徒を退学させる権利を持ってるのは実は学園側ではなすセシリア教団だ。確かに皇帝の命によって作られた学園兼修道院だが、管理を任されてるのはセシリア教団、皇族はほとんど関わってない。

 彼らはわかっているのだろうか…いや、分かってないから()()()決められると思ってるのだろう。


 アルテは溜め息が出そうだったが我慢した。対して離れた所にいる側近2のヴィクトールが溜め息を吐いた。吐きたいのはこっちだ…


 アルテも言い返してやりたいが、彼ら全員爵位が上、反論したらうるさいし、訴えられたら絶対に勝てない。

 それを理解していたからか、アルテは冷静だった。ただその目は遠い目をしていた。


 キャロライン達のように群がって1人を問い詰める。それでも冷静なアルテが凄い。

 しばらくすると、彼らも言うだけ言って離れて行った。


「……」


 彼らが完全に見えなくなると、アルテは柱に頭を付けて項垂れた。幸いにも周りに人はいなかった。


「(庭園は息抜きが出来る所なのに!庭園に来ると必ず絡まれて息抜きが出来ないよ!此処は魔のエリアだわ…足を運んだらまた面倒事が起きるわ…)」


 息抜き出来る場所が息抜き出来ない場所になってしまった…アルテはそっちのショックの方が強かった。


 ▼△▼△

 古代文字·魔法陣解読の授業


 真面目に授業を受けるアルテが気に食わないのは周りは皆して真面目に取り組んでも無駄だと思っていた。それはこの国の皇太子ライフォードも同じで、授業そっちのけでアルテを終始睨み付けていた。

 アルテの席からは自分が見えてないと。彼女がライフォードを見るには大胆に背を向ける必要がある。しかし彼女が彼を見ることは無い、彼女の目は黒板と教師だけが映ってる。



 結局はライフォードの自意識過剰だったのだ。選択授業が丸被りしたのも偶然、移動してる時にたまたまライフォードの後ろにアルテが歩いてただけに過ぎない。しかし彼は自分の自意識過剰とは認めず、アルテにストーカー行為をされてると側近達に言った。それを聞いた別の生徒が噂を広めた…これがアルテがライフォードを尾行してる、彼の婚約者の座を狙ってるという噂が出来た原因だ。


 また、座ってる席が離れてるからライフォードのテストをアルテがカンニングする事も不可能、これには彼も自分が不利だと気付いたのか、そのような事は言わなかった。

 そもそもアルテとライフォードはクラスが違う、もし本当に彼を追いかけてるのなら授業が終わる事に彼のクラスに押し掛けてる、それをしないって事がもう矛盾してるのだ。


 しかしアルテの評判が悪くなるばかり、そちらを気にしていたので誰も彼の自意識過剰と矛盾だと気付かなかった。


 ★☆★

 剣術の授業

 座学による戦術基礎を一通り学び終えたので、この日から実際に剣を持っての授業が始まる。運動着に着替え、学園の裏側にある訓練場に集まっていた。


 まず持ち方から、持ちやすい剣や持ち方は人それぞれ、長剣だったり大剣、細剣(レイピア)等、様々な剣から自分の手に合う剣を見つける所からだ。その次に素振りを学ぶ。

 剣は学園で管理してる物を使用する事が決まっており、自前は禁止されてる。


 アルテ以外にも女子生徒は数名いる。皆気高き女騎士を目指してるのだろう。ここ数年で女騎士も結構増えた。令嬢淑女の憧れにもなってる、だから希望者が多いのかもしれない。


 ほとんどの女子生徒は細剣を選んでいた。持ちやすいし素早い動きが得意な女騎士に一番適してるからだろう。

 しかしアルテは細剣ではなく長剣を選んだ。剣身は細剣ほど細くはないが細く、それなりに重いが使えなくは無い。


 アルテが長剣を手にすると生徒、教師がざわついた。


「なんでアレにしたの!?」

「アレで自分を馬鹿にする者を斬る為よ!」

「やだ怖~い」

「こっわ…なんだよ」

「ヤバッ…関わらないようにしよっ」


「レクイエデ、使えない物を選んでも授業にはならないぞ」


 ざわつく生徒、遠回しに「女なんだから黙って細剣にしろ」と言われたが、アルテは真剣な表情のままだった。


「いいえ、変えません」

「っ!…チッ…」


 言うことを聞かないアルテに聞こえるように舌打ちをする教師、アルテを見下してるのが丸分かりだ。


 ざわつく訓練場、教師は咳払いをして授業を再開させた。教師がそれぞれの剣を使って持ち方と素振りを指導した。

 一応アルテは伯爵家にて家庭教師が教えてくれたので既に基礎は身に付いてる。だから周りよりも持ち方も素振り完璧だった。


 これには教師も驚いていた。端から彼女には何も教えない気でいたようだが、その必要は無い。既にアルテは基礎を身に付けていた、彼が口出し指摘する部分など無かったくらい…完璧だった。


 離れた所で彼女を見ていたライフォードは、またしても彼女を睨み付け、手にしていた剣を強く握りしめていた。

最後までありがとうございました。


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