Ep.53
ヴィクトール視点
追記 こちらの事情でお休みをいただきます。執筆は続けますのでゆっくり次の更新をお待ちください。
時は遡ってデビュタントから数ヵ月経った頃
ヴィクトールはライフォードの元を訪れていた。己と同じ軽装を身につけた男を連れて現れたことにライフォード、マルクス、ガルク、カルヴァンは驚いていた。幸いなのか妃教育と聖女の役目に追われてるのかシンシアはこの場に居なかった。
「何だと…ヴィクトール!もう一度言ってみろ!」
威圧的な声で叫ぶライフォード、マルクス達は怯え、ヴィクトールと部下は冷静だった。
「俺は貴殿の側近を辞めると言ってる。何度も言わせるな、引き継ぎをする人材も連れてきた。まだ文句があるのか?」
「あるに決まってる!忘れたのか!お前にアイツの!国に厄災をもたらす女の処刑を命じてるんだぞ!」
「お前もわかってるだろ、お前が言ってる人物は、それっぽい見た目をしてるだけの赤の他人だ」
「!!」
マルクス達は内心「よく言った!」と言ってるような顔をしてやり取りを聞いていた。
もう…気付いていた。アルテは厄災をもたらす信託の黒蝶ではない。それっぽい容姿をしてるだけの部外者、信託に巻き込まれた被害者なのだ。
物語に出てくるような悪役令嬢のようなきつめな顔立ち、漆黒の髪に深紅の瞳…誰もがアルテをそう思うだろう。でも違う…悪役令嬢のような容姿をしていただけに周囲に勝手に悪女や黒蝶だと思われてしまった…
ライフォードの様子から、彼も気付いていたのだろう。しかし一度火が着いたエンジンは簡単には止まらない。更にシンシア=信託の彩雪によってブーストがかかり…止まる事が出来なくなったのだ。
「だ、だが!お前は俺の側近だろ!勝手に辞めるのは許さん!」
「だから今許可をもらってんだろ」
「認めん!」
「……」
話にならない…。ヴィクトールが去ったら…アルテ殺害の犯人にされるのは間違いなくライフォードだ。主犯な事に代わりない。
彼がヴィクトールを失いたく無いのは罪を擦り付ける為と彼の力を手放したく無いから。ヴィクトールは魔法術や武器を使わなくても簡単に魔物や悪しき人物を排除出来る力を持つ優れた側近…
彼の代わりになる人材は何処にもいない…
ヴィクトールは冷静に隣に立つ部下に指示をして背を向けた。彼の部下だからか、ライフォードの罵倒にも冷静だった。
「後は任せる」
「お任せください」
「待て!話は終わってない!」
「もう終わってる」
「ヴィクトール!!」
去ろうとするヴィクトールの腕を掴もうと迫ってきたライフォードだが、ヴィクトールの部下、マルクス、カルヴァンの2人に止められた。
「放せ!オレは皇太子だぞ!」
「もうやめましょう!ライフォード様!」
「ハッキリ言って見苦しいです!」
「信頼する部下の新たな門出を祝う事も出来ないのですか?」
「貴様っ!」
ヴィクトールの部下は冷たい表情をして厳しい一言を発した。ライフォードは顔を真っ赤にして新たな側近を睨み付けた。
自分が去っても問題無いなと判断したヴィクトールは扉を開けながら最後の言葉を告げた。
「…アルテ=レクイエデの処刑がやりたいのなら、自分の手でやれ。ソイツらに殺らせず、自分でな」
「っ!!ヴィクトール!!」
ライフォードが叫んだの同時にヴィクトールは部屋を出て行った。
…会話が成り立たなかったが、一先ずライフォードとの繋がりは切れた。既に皇帝や上司に辞職を伝えてあるので後は城を去るだけ。
幸いなのか…最後までシンシアに会うことは無かった。
その後、クローウェルズ公爵夫妻からは絶縁されかけた。両親は側近を辞めた事が信じられなかった。皇族との繋がりを断ち切られたのだから…
更に驚く事に…
…なんとヴィクトールはアルテと婚約したことを両親に報告してなかった。
だから両親にアルテを紹介する出来事が無かったのだ……
▲▽▲▽
…しかし、ヴィクトールが側近を辞めても、アルテとの婚約は白紙になる事は無い。むしろ、アルテに幻滅された。
処刑宣言してきた男に心を動かせられる女が何処にいる。
この世界は流行りの物語の世界じゃない…。物語のような出来事が受ける訳も、認められる訳が無い。
何故、最低な宣言や契約を白紙にして本当の恋人や婚約者になりたいと告げて…喜ばれると思ってるんだ…
現にアルテからのヴィクトールの印象は完全に底に着いてる。ここから上がることは絶対に無いだろう。
なにより、ヴィクトールが処刑を撤回してもアルテの命を狙う人間は残ってる。問題は何も解決してない…
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