Ep.51
お待たせしました。説明のみです
デビュタントが終了する間際にヴィクトールは戻ってきた。その顔は…何かに迷ってるような表情だった。しかしアルテには関係ないので彼女は気にも止めて無かった。
そして皇帝と学園長、そして遅れてやって来たセシリア教団大司教セルウィンに改めて成人を祝われデビュタントが終了した。
▼△▼△
翌日、休日なので学園は休みだった。デビュタントが終った後、一度屋敷に戻り着替えて再び学園の寮に戻った。
アルテはセルウィンから聖堂に来るよう教徒を通じて呼び出された。
聖堂 午前10時頃
「黒蝶が見つかった?」
「はい。まぁ…どちらかと言ったら見つかったと言うべきなんですけどね」
「??」
セルウィンはエレタージュに目で指示をした。彼は頷くと何かの書類を取り出しアルテに渡した。
「お詫びとしてですが、アルテ様にはこれを知る権利がございます」
「……」
お詫びの品にしては重要事項過ぎる…国を揺るがす情報を巻き込まれただけの一般人が読んで良い物ではないのだが…
しかし信託によってアルテが多くの人間の目の敵になってしまったのは事実、公表しなかった教団に非がある。
そう考えると彼らの言うように巻き込まれただけのアルテには知る権利が有るのかも知れない。
「こちらは見つかった信託の黒蝶に関するモノです」
「……」
書類にはその人物の容姿や生まれ、宿してる力等についての詳細が書かれていた。
「彼女から許可は得ています。本人が書いて良いと言ったものをコチラに記載してます」
本人の許可、意思によるモノなら良いか。コレが無許可の情報収集によるモノだったら読んでなかった。
「名前は『ヴァネッサ=ロベリアス』、帝国の端にあるローレルに暮らす辺境伯家の者です」
「??」
帝国の恥にあるローレルの中に暮らす辺境伯家?
アルテが困惑してる間もセルウィンが続けた。
「もともとは2つの貴族がその地を納めてたのですが、辺境伯家が没落寸前になったのです。そこで当時の夫を亡くした辺境伯夫人がローレル侯爵に嫁ぐ条件で辺境伯家は没落を逃れられたのです」
「…それはいつ頃なのですか?」
「今から30年程前ですね。彼女が嫁ぐ時には既にロベリアスの血を引く子供が4人ほど居たそうで後継には何の支障は無かったようです。
また、その時のローレルでも同じように子供は3人ほど居たらしいので、現在のローレルにはロベリアス家との混血の子供は居ません」
要するに、辺境伯夫人は愛人に近い立場で嫁いだって事か。ローレル家とロベリアス家の混血が今も居ないって事は当時の侯爵は妻を正妻、夫人を愛人として側に置いてだけどわかる…。
「今のローレルとロベリアスはその時の子供達の誰かが当主になって継いでるって事ですよね」
「はい。また…侯爵と辺境伯夫人が結婚したのはそれぞれが50近くらしく、今生きてれば80歳程…彼女ヴァネッサ嬢から聞くとどちらも既に他界してるそうです。自分の親は3人の子供の内の次男と答えてくれました。上2人が男児で末が女児と言ってました」
複雑な関係にはなってないようだ。つまり、メリナとヴァネッサに血縁の関係は無い、それぞれが既に生まれていた子供達の誰かの子供だからだ。
ローレルとロベリアスの関係を理解した上で再びヴァネッサの情報を読んだ。
しかし…新たな疑問が生まれた。
「…大司教様…」
「なんでしょう?」
「あの、間違ってなければ…信託の子が生まれたのは16年程前、今の私やシンシアが生まれた時代ですよね?」
「はい。そうですよ」
「では何故…」
アルテはセルウィンにヴァネッサの詳細情報の一部に指差ししながら続けた。
「彼女の年齢…20歳と書かれてますが…」
「…そこが最初に言った「見つかった」と言うべき点なのですね」
「??」
セルウィンもエレタージュも説明が難しいらしく、上手く説明出来ないと言った。
これについても本人から聞こうとしたらしいが、本人に今は話せないと言われてしまったそうだ。
「ヴァネッサ嬢に尋ねても答えてくれなくて…彼女にとっても言いにくい事なのでしょう…。しかし年齢が合わなくても彼女が信託の黒蝶の力を宿してるのは確定です。
何せ、本人が言ったのですから…「アタシが本物の黒蝶だ」と…」
「……」
無理やり言わせようとしなかったセルウィン達が紳士だ。
年齢が合わないのに堂々と自分こそ本物の黒蝶だと名乗り出たヴァネッサも凄い…
その後
ヴァネッサが本物の黒蝶だと明かすのはアルテが学園を卒業するのと同時の方が良いかも知れないと話し合ったり、彼女に会えないかと尋ねたりした。
ヴァネッサ本人にも事情が有るので会うのは難しく…卒業式まで彼女がこっちに来ないとの事だった。
卒業式なら良いタイミングなのかもしれない、何せアルテが卒業する時、皇太子ライフォードと彩雪の聖女シンシアも共に卒業する日だ。絶好の公開日だろう。
…アルテが死なないならな…
しかし最悪な日になろうとしていた卒業式が、アルテにとって最高になる瞬間でもあった。ヴァネッサの登場により、自身はようやく信託から解放されるのだから…
信託に巻き込まれて嫌なことばかりだった、しかしヴァネッサの存在が明かされ、ずっと耐えてた自分の努力は無駄ではなかったと実感した気がした…
…アルテにとってヴァネッサは奇跡をもたらす白蝶だった…
信託の黒蝶と白蝶は同じ存在…。その力を悪用すれば厄災をもたらす。しかし善として使えば奇跡になる…
本当にその通りだなと思ったアルテだった。
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