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Ep.38

 それから数日後…冬休み終了まで残り3日となった。

 この日のアルテは…使用人に着飾られていた。ソルファージュ公爵家…キャロラインが主催する温室での茶会に招待されたのだ。


 本当は断りたかったが両親に外に出ろと言われ渋々参加する事に…

 ドレスは好まないので地味すぎず派手すぎない紺色のワンピースを着て馬車に乗った。


【ソルファージュ邸】

 しばらくして、アルテを乗せた馬車は目的地に着いた。

 今日の茶会の参加者のほとんどが令嬢らしい…キャロラインが指名した人物しかいないとの事。

 アルテは公爵家の使用人に案内され会場である温室に向かった。


 温室に来ると既に数名席に座っており、彼女の取り巻きでもあるリリアナとヘレナもいた。皆アルテを睨み付けたり隣の令嬢とヒソヒソ話したりした。


「まぁ…キャロライン様のお茶会なのになんて品の無い格好…」

「普通ドレスでしょ?」

「普通じゃないのよ」


 アルテは彼女らを無視してキャロライン=ソルファージュに頭を下げた。


「この度はご招待ありがとうございます」

「来ないと思いましたわ。さぁ、座りって」

「はい」


 指定されたのは一番端、主催から最も遠い席で隣には誰もいないが、キャロラインのみ視野に入る、つまりキャロラインの反対側に座ってるのだ。

 嫌がらせかと思われるが実はキャロラインなりの配慮、むしろアルテにはこの席がピッタリだ。

 アルテも嫌な気持ちになること無く座った。


「では皆様、寒い中の参加ありがとうございます。特別な紅茶を用意しましたから暖まってください」

「「ありがとうございます」」


 使用人達がそれぞれの前に置かれたマグカップに紅茶を淹れた。

 令嬢達は紅茶と菓子を口にしながら会話に花を咲かせる…が、それのほとんどがキャロライン=公爵家と繋がりたいが為の内容ばかりだった。美容や娯楽、流行の話をしながら然り気無く彼女との繋がりを作ろうとしている…キャロラインではなく公爵家しか見てないのがバレバレだ。


 キャロラインは慣れてるのか、気にしてないのか何時もと変わらない笑みを浮かべて答えていた。


 反対側にいるアルテはと言うと、カップを持ち紅茶を飲んでいた。


「「っ!!」」


 散々悪女だの黒蝶だのと言われてきたアルテ、周りは彼女が何のマナーも身に付けてないと思っていた。しかしそれは噂や見た目だけが生んだ偏見だ。


 アルテの紅茶を飲む仕草は他の令嬢とは比べ物にならない程美しかった。

 見下していた令嬢達は言葉を失い、顔を真っ赤にしていた。

 アルテの仕草が美しくなかったら指摘するつもりで馬鹿にする予定だったのだろう…


 アルテは程よく適当にされ程よく大切にされてきた、その為 最低限のマナーは身に付けてる。こう見えて刺繍も御手の物だ。なんなら紅茶の淹れ方や作り方も身に付けてる。

 周りはそれを知らないので彼女を下に見るのは仕方がない。


「さ、流石悪女ですわね…下品な夜会とかに出て身に付けたのですか?」

「「………」」


 どこに行っても余計な一言を言う人間は居るようだ。

 温室の空気は凍り付き、言った本人はその事に気付かず続ける。


「たかが仕草が美しいだけ、貴女が悪女なのは変わりませんわ」

「……」

「だいたい、どうして悪女が参加してるのですか?まさかキャロライン様に脅迫して招待状を送らせたの?」

「……」

「ちょっと!聞いてますの!」


 アルテは無視して紅茶を飲んだ後…ゆっくり口を開いた。


「それ、私に言ってるの?」

「そうですわ!」

「なら、私の事を言う前にまずは周りを見ることをお奨めするよ」

「はぁ?!何を偉そう…に………」


 彼女はようやく茶会の場を壊した事に気付いたようだ。

 茶会の場を壊したのは悪女と罵っていたアルテではなく…自分だった。


「あ…そ、その…キャロライン様…」

「わたくし、彼女を罵る為にも呼んだ訳じゃありませんわ。

 彼女は寒さと紅茶と温室の暖かさで可笑しくなってしまったみたい。体調が悪いのね、悪化する前に帰った方が良いですわ」

「そんな!キャロライン様!」


 彼女の使用人が無礼な令嬢を立たせた。


「それと、わたくし貴女に名を呼ばれる程親しくありませんわ」

「っ!!」


 キャロラインの冷たい目が止めとなり、無礼な令嬢は力無く項垂れながら退場した。


「さぁ、気を取り直してお茶会を続けましょ」

「「は、はい!」」


 キャロラインは先程のように微笑み茶会を再開させた。

 その後、誰1人アルテの話をすること無かった…


話は社交界に関するモノだった。


「最近 公爵婦人が頻繁にお茶会やパーティーを開いてるそうですわ。行きました?」

「いいえ、公爵婦人は皇后様の親友とか言われてますから…高貴なお方しか呼ばないみたいですよ…」

「さすが…『社交界の茨』と呼ばれるだけあるお方ね…」


社交界の茨…皇后の親友でありとある貴婦人の異名だ。

薔薇を守るように巻き付く茨…薔薇は皇后を示し茨はその貴婦人を示す事から彼女はそう呼ばれるようになった。

 今の社交界のトップは彼女とも言われてる。


☆★☆


 次に彼女達はとある娯楽小説についてで盛り上がった。


「そう言えば、最近『エレサエムの花』と言う小説にハマってますの」

「まぁ!ワタシもです!あの少々過激な内容がある恋愛小説ですわよね!?」

「わたしも読んでます」


『エレサエムの花』は流行りの恋愛小説だ。

 過激な内容が有ると言え、令嬢達にも受けてるみたいだ。流行や娯楽に疎いアルテには初めて耳にする本だった。

最後までありがとうございました。


面白かった、面白くないからもっと努力してと思っていたら下の星、評価をお願いします。

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