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Ep.34

 アルテの時間を奪い、挙げ句の果てには採寸がされてないドレスを送ったヴィクトール…アルテがどんなに彼に腹を立てても誰も責める事は無い。

 言われるのは何時もアルテだけだから


「(早く帰りたいよぉ…)」


 すごく…すごく時間の無駄…

 帰ってもバレないかもしれないが後からうるさい…うるさい事を言ってくる人達がいる。

 無視ししたいが、アルテが無視した所で彼らは永遠に言ってくる。


 その時だった。


「まぁアルテさん。なんでそんな喪服みたいなドレスを着てるの!」

「……」


 ライフォードとシンシアがアルテに絡んで来た。後ろには側近達がいる。

 ドレスを送った本人は…シンシアの発言に驚いていた。


 なんて答えれば良いのだろうか…少なくとも、自分で選んで着た訳ではない、むしろ着せられたのだ


「これは「俺が送った…着るよう言ったんだ…」

「「えっ!?」」

「「はぁ!?」」


 アルテが答えようとした時、まさかのヴィクトールが正直に言った。

 これにはライフォードとシンシアだけでなく、やり取りを見ていた、聞いていた人々も驚いたのだった。


「……」

「……」


 喪服だの自分の意思で着てるだの散々馬鹿にしていたアルテの黒いドレスはヴィクトールが送ったドレスだと知り、何も言えなくなってしまったようだ。

 しかし…シンシアはその空気を壊す発言をした。


「まぁ…じゃあヴィクトールは自分の色のを着せたくないから喪服みたいなのを着せたのね?」

「ちが!」

「パーティーとかでは相手の色のを着るかペアルックが()()じゃん?」

「……」


 理由はどうあれ、シンシアがそう捉えても仕方がない。間違いなく非はヴィクトールにある、アルテは何も悪くないので逆恨みはやめてくれ


 シンシアの発言により、周りはそうだなと言う。


「確かに…聖女様の言う通りね」

「悪女に自分の色なんて着せたくないよ」

「可哀想なクローウェルズ…」

「悪いのは悪女だよ」


 結局こうなるのだ。悪いのはアルテ、被害者はヴィクトール…なんでそうなるのだろう。確かに悪女の婚約者ってだけでもう可哀想だが…


「はぁ…(もう面倒だな…帰ろ…)」


 誰にも聞こえぬように溜め息を吐いた。

 もう色々と面倒だ…こんなの、時間の無駄でしかない。


 アルテはシンシア達に向き直り、ヴィクトールを見て口を開いた。


「送るならドレスの採寸はした方が良いよ」

「!?」


 遠回しに「サイズの合ってないドレスを送るな」と言ってアルテはホールを出ていった。

 それが伝わったのか…ヴィクトールはようやくアルテが着てるドレスを見て自分が送ったドレスに少しアレンジがされてるのに気がついた。

 ガッツリ開いていた胸元は塞がれており、細身の彼女の体格に合った形になっていた…


 …自分が送ったドレスは彼女の体格に合って無かったと知ったのだ…


 そんな事は周りにはわからず、アルテが変なことを言って去ったと思ってる周りの人々。


「今のどういう意味?」

「気にするな、アイツが言う言葉を信じても気にしてもいけない」


 アルテがホールを出た後、放心状態だったヴィクトールは我に返り彼女を追いかけるようにホールを出た。

 …これを見たシンシアは…信じられないと言ってるかのような表情をしていた。


 ▼△▼△

 馬車乗り場に戻ってきたアルテ、レクイエデ伯爵家の馬車は残っていた。

 御者に屋敷に戻るようにと言って乗ろうとした時だった。


「レクイエデ!!」


 追いかけて来たヴィクトールがアルテを呼び止めた。アルテは心の中で面倒くさいと呟きながら振り向いて彼を見た。


「何か用?もう帰らせて」

「待ってくれ!…ドレスは…」

「(デザインや形は悪くなかったからなぁ…)…どうやって選んだか知らないけど、ドレスが私の身体に合わなかった。無理して婚約者の役目果たそうとしなくて良いから」

「……」


 反応から適当に選んだ訳ではなさそうだが…相手の体格を考えてもう少し慎重に選ぶべきだったな。

 アルテはそれ以上何も言わず馬車に乗って出すよう命じた。


 ヴィクトールは何も言えず、ただ立ってる事しか出来なかった…


 ☆★☆★

 ヴィクトールにとってアルテは監視対象に過ぎない。だから黒いドレスも贈り物ではなく、届け物に過ぎなかった。

 しかし彼女に届いたのは採寸がされてない、サイズが合ってなかったドレスだった。


 また選んだドレスは周りから「喪服のようだ」と言われる始末…

 アルテには似合っていたが…それが仇となりこの有り様…


 サイズが合ってなくて当然だ。婚約者といえ監視対象の体格などわかるはず無いのだから…。


 それから数分後、レクイエデ伯爵家の馬車が戻ってきた、御者は変わっていた。

最後までありがとうございました。


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