Ep.33
パーティー当日
アルテはロイドとエフィニア、ルイスと共に馬車に乗り城に向かった。
アルテは仕立て屋に直してもらったドレスを着ていた。エフィニアは綺麗だと褒めてくれたが、兄2人は違った。
「はっ、まるで黒蝶だな」
「ロイド!」
「フン、会場に着いたらお前は大人しく壁の花にでもなってろ。問題を起こされたら家の恥だからな」
「(言われなくてもなるし)」
「チッ…何でこんなヤツと…」
「……」
息が詰まりそうな程馬車の空気が重く悪い…早く城に着いて欲しいと願うばかり。
☆★☆
地獄な時間を過ごすこと30分程、ようやく城に着いた。ロイドはエフィニアをエスコートして中に進んで行った。ルイスは振り返る事もなく1人で降りて彼らの後を追う。
そしてアルテも同じように1人で降りた。
その瞬間、周りが馬鹿にしたようにクスクスと嗤った。本来なら婚約者が手を差し出し、その手を取って降りてエスコートされるのが普通だが、この場に婚約者の男はいない。
兄弟にも婚約者にも相手にされてないと、周りが嗤っていた。
何故本人が気にしてもいない事を気にするように嗤うんだ
冬休みに開催されるって事は…学園の生徒のほとんどが参加してるだろう。これはまた面倒な事が起き、知らない所でまた変な噂が作られるかもしれない…
アルテは降りた後、周囲を見回すが婚約者の姿は何処にも無かった。
その確認を終えると1人で城に入って行ったのだった。
…アルテが去った後もヴィクトールが現れる事は無かった。
▼△▼△
ホール前にやって来ると多くの人々がいた。皆パートナーや友人を待ってるようだ。
そんな空間にアルテが現れると…一瞬にして静かになり賑やかな空間は一変し、全員がヒソヒソと話し出した。
「見て…1人みたいよ」
「なんで華やかなパーティーなのに喪服みたいなのを着てるのよ」
「普通パートナーの色のドレスだろ」
「ヴィクトール様が贈ってくれないからって、見せしめで自分の色のを着てるんだわ」
「最低」
案の定ドレスへの反応ばかりだった。意外にもアルテの髪が短くなってる事には触れられてない。髪よりドレスが目立つからか
アルテは周りの声など無視して立っていた。
このドレスはヴィクトールが見た目だけで選んで送ってきたドレスだ。採寸がされておらずアルテよりも大きく胸元がガッツリ開いた…そのまま着ていたら見苦しい姿だった。
しかし母が呼んだ仕立て屋に調整と少し仕立て直してもらったのでどうにかなった。
ドレスを馬鹿にされても、このドレスはアルテが自分で選んだモノでは無いので周りの声を気にする必要は無い。
「……(そっか、あの人皇太子の側近だったね)」
別に来なければ来ないで良い。改めてヴィクトールの事を考えると、仕事上婚約者を後回しにし皇太子を優先するのはある意味正しい。
それが彼の仕事だから、何時何処から現れるかわからない刺客から皇太子を守るのが彼の仕事…
ヴィクトールからの手紙には『ドレスを着てくるように』としか書かれておらず、共に参加しろとは書かれて無かった。
つまり待ってても、期待しても無駄って事だ。
1人納得したアルテはホールに入り、隅の方に行き壁の花になった。
何処に行ってもアルテは何かを言われ、後ろ指を指され馬鹿にされる…でも気にしなかった。ドレスはヴィクトールが選んだ。アルテは手紙で言われたので着てるだけ、自分の意思では無い。
…そもそも彼からの手紙が来なかったらパーティーに参加せず勉強に取り組んでいた…
兄夫婦は挨拶周りをし、ルイスは同僚と話してたり女性に囲まれていた。
彼女には壁の花になってろと言ったくせに、自分達は楽しんでるのか…
しばらくすると皇太子とシンシア達、皇帝夫妻が入場しパーティーが始まった。
ヴィクトールはライフォードとシンシアの後ろのを他の側近達と共に歩いていた。
…アルテには黒いドレスを送ったくせに自分は銀と青の高貴な服を着ていた。
皇太子と被らないように、華やかさを少し抑えたようなデザインだった。
見せつけるようにライフォードとシンシアはペアルックのような服とドレスを着て会場の人々の注目を浴びた。誰もが皇太子妃は彼女だろうと思った…
パーティーが始まり音楽が流れた。皆がパートナーと共にホールの中央に行き踊る中、アルテは1人それを眺めていた。
ヴィクトールは来るわけでもなく、側近達と固まっていた。
孤立してるのがわかるのに彼は来ようともしない…仕事だから仕方がない…
きっと、彼女が着てるドレスも送ったモノとも思ってない…本当にどうでも良いのだろう。
「(帰って勉強がしたいよぉ!)」
一緒に居る気が端から無いのなら何故ドレスを着て参加するように手紙を出したんだ!
アルテは自分の時間を奪われた事に腹を立てたのだった。
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