表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/54

Ep.28

 地獄のような夕食が始まった。

 父はアルテにお帰りと言い、学園生活の事を聞いた。


「学園生活は楽しいか?」

「はい…(一応ね、勉強は楽しいし)」


 面倒事を除けばそれなりに悪くない学園生活だから楽しいのは嘘じゃない。何より勉強が楽しいし、無駄になるだろうが学び知識を得るのが楽しいから苦では無かった。


 きっと宮廷でもアルテに関する良からぬ噂は広がってるだろう。ホント…何処から生まれ何処から広がってるのだろうか? これがわからないと何も出来ない


 アルテと両親が生活の事を話してる時、遮るようにロイドが口を開いた。


「近年、魔物の凶暴化が増し被害か増えてきた。また近い内 遠征に行くかもしれません」

「そうか…魔物の凶暴化の原因はわからないのか?」

「はい…魔法士や研究家の力を借りてますが原因は不明です」

「気を付けて行ってらっしゃい」

「はい」

「……」


 ロイドはアルテを見て馬鹿にしたように笑った。彼女と両親の会話をわざと遮り終わらせたのだ。

 次に口を開いたのはルイスだった。


「オレもまた近い内調査の為 家には帰って来れません」

「もしかして、魔物の凶暴化と同じように増えてる『魔素』の調査?」

「はい。セシリア教団の方の協力の元、各地の魔素調査を行う事になったのです」

「(魔素調査…セシリア教団…)」


 魔素とは魔物が放つ人間だけでなく動植物にも影響をもたらす存在。これに対抗できるのは浄化効果を持つ光属性の魔法具や魔法術、浄化士…そして聖女や教皇と聖なる存在だ。

 ルイスは光属性の魔法術を身に付けてるので魔素の浄化が出来る、だから調査に参加するのだろう。


 2人の様子から…両親はアルテが信託の黒蝶ではない、信託とは無縁な人間だと言って無いのだろう。言っても聞かない、信じないだろうが


「ん~!」

「どうしたの?」

「(こっち見てる)」


 ロイドとエフィニアの娘ニーナが今度は確実にアルテを見て声を出した。恐怖を感じた様子は一切無い、もしかして黒髪が気になるのだろう

(ニーナから見て)父や叔父、祖父母とは全く異なる黒い髪をしてる叔母、信託を知らない赤ん坊には不思議で仕方ないのだろう。


「この方はお父様の妹さんよ、あなたの叔母様よ」


 年の離れた兄弟がいて、彼らに子供がいれば若くして叔父や叔母になる。これは当たり前の事だ

 15歳で叔母と呼ばれる…変な事ではないのに不思議に感じる。


「う~」

「ごめんなさい、アルテ様の髪が気になるみたいで…」

「構いません。お気にせず」


 兄が彼女を婚約者と紹介した日から何度か会ってるので彼女がアルテの名前を知ってても問題は無い。また、不思議にもエフィニアはアルテを毛嫌う素振りを一切見せなかった。(裏ではしてるかもしれない)


 むしろ、レクイエデ伯爵家を訪れ挨拶をした日、アルテの黒髪を見て「綺麗…」と呟いたのだ。理由はわからない


「ん~ あぶっ!」

「……(喜んでる…)」


 赤ん坊のニーナはアルテを見て腕を小さくバタつかせる。エフィニアは「落ち着いて」と優しく声をかける。

 何を見て喜んでるのかはわからないが…エフィニアの娘なのはわかる。母子揃ってアルテの黒髪に興味があるとは…明らかに遺伝してる。


「ホントごめんなさい。決して怖がってる訳ではありませんの」

「大丈夫ですよ。家族とは異なる髪をしてるから気になるのでしょう」

「う~」


 これは怖がってるより…懐いてる。初めて会った叔母にこんなに懐くとは…


 義理の姉と姪との関係は悪くは無い、ただ血の繋がった家族と関係が悪いのは気まずいが…。

 兄も驚いてるだろう、黒蝶かもしれない妹に娘が懐くとは思って無かったのだろう。

 目を輝かせて正面に座るアルテを見る赤ん坊のニーナ、兄の悪い所を遺伝してなくてよかった。



 しかし、兄ロイドとルイスはこの光景を見てもアルテを睨み付けた。きっと赤ん坊相手に自分を虜にする何かを使ったのだろうと疑ってるようだった。


 そんな最低な事はしない、純粋無垢な赤ん坊を洗脳して何になる…


「チッ…何で帰って来たんだよ」

「手紙で帰ってこいと書かれてたので(夏休みは帰らなかったからね)」

「帰って来なくて良いことを…お前の顔など見たくなかった」

「お二人に言ってください」

「「……」」


 ルイスとアルテの最低な会話を聞いても、両親は彼女を庇う素振りをしなかった。彼らがアルテが信託とは関係無い人間だと言って無い、もしくは言っても兄達は信じないのどちらかだろうが…これが答えだ。


「やめとけルイス、言った所で無意味だ」

「チッ…」

「……」


「あぶ!」

「はいはい、落ち着いてね」


 純粋無垢な赤ん坊の存在は偉大だ…女神のような美しいエフィニアと天使のようなニーナは絵になる。


 緊迫した空気は女神と天使のやり取りで消えた。


「ホントごめんなさい、お食事中なのに」

「構わないわ、フフッ 初めて会うアルテが気になって仕方がないのよ」

「アルテ、食事が終わったらニーナの相手をしてあげなさい。お前も会うのは初めてだろう」

「わ、わかりました」


「良かったねぇニーナ、お姉様に抱っこしてもらえるよ~」

「ん~!」


「……」


 子供に懐かれるのは嫌ではないが、妹を嫌う兄の目線が物凄く痛い。自分の子供に何かしてみろ…その瞬間殺すと目で言ってる…


 その後、食事は何とか平和に終わった。


 エフィニアはニーナを抱き上げ部屋に向かった。アルテも彼女の後をついて行く…その後ろをロイドが睨み付けながら歩いていた。

最後までありがとうございました。


面白かった、面白くないからもっと努力してと思っていたら下の星、評価をお願いします。

星1つでも嬉しいです!



作者の励みにもなります!


次の更新も気長にお待ちください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ