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Ep.24

 11月は二学期最後の月


 アルテは聖堂を訪れミラリアの報告を聞いたりしていた。


「アルテさんに西倉庫に行くよう促した生徒は数日前に聖騎士が連行し本館に行きました」

「本館…セシリア教団の本拠地ですか?」

「はい、言い方はややこしいのですが、建物自体は神殿なのですが、神殿と言ってしまうと他の組織の神殿に迷惑をかけてしまうのでセシリア教団の神殿は本館と呼んでます」

「なるほど…」


 数日前に聖騎士に連れていかれたティアナはセシリア教団の神殿にいるそうだ。


「アルテ様を襲った暗殺者の捜索は現在も続いています。


 また、西倉庫全体に【防音結界】が使われた痕跡が発見されました。細工からして一時的にのみで、魔法術ではなく魔法具による結界ともわかりました。また細工の状態からして、当日の朝方には既に設置されていたと予想されます」


「っ!!」


 やっぱり細工がされていたのか…通りで近くにいたヴィクトールが来なかった訳だ。

 確かにアルテが来る数分前に設置は上手くいく可能性が低くなる。しかし朝早くから準備しておけば時間は十分あるから暗殺が成功する確率は上がる。


「この魔法具は作るにしては多量の素材を使って作成しますが、高価ですが店で買うことで入手出来ます。アルテ様を襲った者は暗殺者なので、使ってても可笑しくはありません。ただ入手ルートはわかりませんが」

「そうですか…」


 入手ルートが解れば犯人が判明する場合もある、しかし暗殺者だ。他の人物に比べたら痕跡を追うのはかなり困難…。セシリア教団の影の者達でも難しいみたいだ


「でも、西倉庫に細工がされてたとわかれば十分です」

「それしかお伝えできなくて申し訳ございません。引き続き調査は続けます、また何かわかり次第ご連絡します」

「ありがとうございます」


 アルテはミラリアに礼を言って聖堂を出た。時間は昼休みが終わった頃、授業には間に合う。


 ▼△▼△

 5限目を終え6限目の準備をしていた時、ヴィクトールがやって来た。

 相変わらず睨むだけで何も言わない、アルテは慣れたのか準備をしながら口を動かす。


「何か用?」

「……」


 彼女が何か尋ねて彼が答える事はほとんどない、どうせまた嫌みな事を言ったりするのだろう

 アルテはヴィクトールを無視して手を動かす。


 その時、ヴィクトールの後ろを通ったキャロラインの取り巻き令嬢ヘレナがボソッと呟いた。


「それでも婚約者かよ」ボソッ

「っ!」


 令嬢らしからぬ発言ではあったがヘレナの言った事は正論だった。

 ヴィクトールとアルテが婚約者なのは生徒のほとんどが知ってる、またヴィクトールが婚約者のアルテを嫌ってるのも知ってる。だから皆して悪女のアルテが彼を脅して婚約者にしたんだと思っていた。


 しかし婚約者が嫌いでも蔑ろにするのは違う、貴族として最低の行いだ。


「……」


 何も言わないヴィクトール、アルテはそんな彼を無視して本を読んでる。

 周りの生徒はこの光景に混乱していた。

 何時もならクスクスと嗤っている生徒達だが、今日はそんな空気では無かった。


 しかし…またしても空気の読めない生徒の発言では空気が変わった。


「傷物の婚約者なんか話しかけたくも、触りたくないよな」


 この発言にヘレナが小さく舌打ちをした。周りはその一言で賛同するような言葉を言った。


「確かに…」

「婚約者じゃない男と会ってるんだよな…」

「気持ちはわかるな、触りたくもない…」


「……」


 ヴィクトールは何も言わず去って行った。周りはクスクスと嗤った。


「やっぱり嫌だったんだ」

「可哀想なヴィクトール様」

「悪女で傷物女が婚約者とか可哀想だよな」


「(何がしたかったんだか)」


 アルテは周りなど気にせず本を読み続けていた。


 ☆★☆★

 6限目の授業中、ヴィクトールは先程の自分の行動と周りの声に頭を悩ませていた。


 アルテは悪女だと言われてるが、倉庫で見た彼女の様子は可笑しかった。呼吸が上手く出来ず咳き込んでいた。

 どうみても周りが思ってるような事は起きておらず、むしろ命の危険に陥っていたのに…シンシアの言葉で納得してしまう自分がいた。


「(何故...俺は立ってただけなんだ…)」


 彼女の婚約者ではあるが…これは彼女を監視し処刑する為…

 ライフォードに命じられたのは監視で護衛じゃない…しかしヘレナが言ったように婚約者を蔑ろにするのは違う。

 いくら彼女を殺すよう命じられてると言え、殺されそうになった人物を助けないなんて…


「(…俺は彼女に死んで欲しいと願っていたのか?…)」


 前にライフォードに言われた言葉、あの時は何も言えなかった。


 …たとえ嫌いな婚約者でも、命の危機に晒されてたら助けるのが普通だ。

 しかし彼はしなかった…音が聞こえなくても気配で彼女が暗殺者に襲われてるのがわかったはずだ。皇族の影である彼なら…わかったはずなのに…


 彼はようやく自分の気持ちに理解した。


「(…俺は、どうせ殺すし死ぬに変わり無いのだから助けなくて良いと思っていたんだ…)」


 …なんとも最低な感情だ。


 自分の過ちを認めたようだ。


 彼は音は聞こえなくても西倉庫で起きていた非常事態を気配で感知していた。

 …しかしヴィクトールはアルテを助けなかった。このタイミングにしろ、結局はアルテは自分が殺す、死ぬことが確定してるから助ける必要は無いと判断したから…


 ヴィクトールはアルテを見殺しにしようとしたのだ…


「……」


 そのまま6限目が終わった。

 授業の内容は全く頭に入ってなかった。

最後までありがとうございました。


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