Ep.21
翌日、アルテは朝一で聖堂に向かった。時刻は朝の6時、この時間からお祈りする生徒が居るので聖堂は開いてるし教徒も居る。
あの後、学園に頼んで目立つよりも教団に頼んだ方が目立たないと思った。どっちにしろ学園に頼る事は出来ない、今頃また自分の良からぬ噂が生まれ広がってるだろう。
なら隠密に行動して備えた方が良い…学園に頼めば「噂に感化されたからだろ」の一言で済まされ動いてくれないだろうから…
アルテが聖堂に来るとお祈りを終えた生徒達、これからする生徒が居た。皆アルテを見てヒソヒソと話し出した。昨日の事を知ってるのだろう…
教団に頼ろうとしてるのがバレるのが嫌なので彼女は他の生徒のようにお祈りをした。
学園の生徒は生徒であり3年だけだがセシリア教団の修道士·修道女だ。
☆★☆
アルテがお祈りを終えると他の生徒は居なくなってた。もう来ないだろう、アルテは教徒に声をかけた。
「実は頼みたい事があって…」
「お手紙ですか?」
「いえ…女神セシリアの前では言えない、残酷な話です」
「むっ…でしたら中へ」
手紙なら女神の前では言えるが、「殺されかけたので助けてください」なんて神の前では絶対に言えない、あまりにも縁起が悪いし残酷過ぎる話だから。
アルテは聖堂の奥の部屋に案内された。
客間のような部屋に案内されると教徒が少し待つよう言って何処かに向かった。
数分後、アルテの元に青髪の女性がやって来た。入学式で大司教の隣に居た女性だった。
「お初にお目にかかります。自分は大司教補佐をしてる『ミラリア』と申します」
「アルテ=レクイエデです」
ミラリアと名乗った大司教補佐はアルテの向かいの席に座った。
「朝早くから申し訳ございません」
「謝らないでください。朝からお祈りがしたい生徒が多いので開けてるのです。また学園には言えず、我々に相談に乗って欲しいと頼む生徒も結構いますから」
「そ、そうですか(結構いるんだ…)」
それは知らなかった。なら話しても良いか
「その…実は昨日、西倉庫で暗殺者に襲われ、殺されかけたのです」
「なっ!…そうでしたか、学園側に報告はしましたか?」
「いえ…私は意識が朦朧としていて、意識がハッキリとした時には自室でして…」
「なるほど…」
ミラリアは何かを書きながらそう言った。
「その、暗殺者の容姿等は見れましたか?」
「フードを被ってたので顔はわからなかったのですが、黒衣を纏ってましたね。また力も弱かったので…恐らく女性の新人暗殺者かと…」
「新人暗殺者…恐らく女性と…」
ミラリアは驚きながらもペンを動かす。
その後アルテは西倉庫の状態や暗殺者が逃げた事も話した。
★☆★
ミラリアに話し終えた。 時刻はまだ7時前、登校前だ。
「…以上ですね」
「ありがとうございます。よくご無事でしたね…」
「運良く相手が殺しに慣れてない暗殺者だったからです…」
そうは言ってもミラリアの言う通り、よく無事だったと思う。
「場所は学園の西倉庫、西倉庫には細工がされてた可能性がある…暗殺者が音を立てたのにも関わらず外にいた人達には聞こえて無かったのか誰も来なかった。そして暗殺者が逃げ出した時に生徒が集まったと…」
「そうですね…それをこっそり調べてもらいたいのですが…。学園側はきっと動いてくれないと思うので…」
学園側には皇帝の、皇族の息がかかってる。アルテを良く思わないライフォードの支持者も紛れてる可能性がある。尚更頼むことは出来ない。
「なるほど…。わかりました。では教団の者に調べさせ、わかり次第またお伝えします」
「う、動いてくれるのですか!?こんな個人的な問題に!?」
「セシリア教団は帝国の人々に手を差しだすのがもっとうであり、女神セシリア様の信託でもあります。善悪を見極め悩める民を救いなさい。個人的な問題でも、些細な問題でも助けてあげなさい…」
「……」
善の民を救い、悪の民には裁きを…セシリア教団が帝国で一番力を持つ組織な理由がわかった気がした。
メルデナ修道院と学園を管理し、滞在してるのは一部の教徒と大司教達、大司教の上には教皇達がいる。あくまでもメルデナ修道院のトップが大司教セルウィンって事だ。
セシリア教団の本館には教皇と枢機卿と大勢の司教と修道士、修道女達がいる。
大きな組織だからこそ、影の者の役目を持つ班もいる。聖騎士も教団や教会の為に戦う騎士だからおかしくはない。
とりあえず、ミラリアが責任を持って今回の事を調べてくれるみたいだ。
アルテは知らないが、ミラリアはその影の者達のリーダーだ、心配はいらないだろう。
☆★☆
時刻は7時10分、そろそろ登校しても良いだろう。アルテはミラリアと教徒に礼を言って聖堂を出ていった。
その頃…学園の何処かで
既に登校していた昨日アルテに西倉庫に行くよう言った女子生徒がキャロラインとその取り巻きの1人『ヘレナ』に問い詰められていた。
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