Ep.19
ちょっとだけ暴力表現があります。
更に数日経って10月の終わり頃、この時期から一気に涼しさが増し、少し寒くなってきた。
2学期は11月の最終日まで、12月1日からは冬休みになる。
アルテは何時も通り周りの生徒に陰口を言われていた。
今日もまた変な噂が広がってた。意外にもシンシアと話した時の噂は広がっておらず、学園の女子生徒を虐めたと…中途半端な噂が広がっていた。
彼女は周りを気にせず教材を取り出してると1人の女子生徒がアルテに声をかけた。
「あ、あのっ!」
「ん?何か用?」
彼女は怯えている、周りはこれを見てまたひそひそ話をする。
「うわ、初対面の生徒にもあぁやって泣かせるんだ」
「ホントに悪女じゃん」
相手が怯えてるだけでアルテは返事をしただけ、数秒のやり取りでよく思い付くなと感心するアルテ、彼女は周りを気にせず女子生徒を見た。
「ほ、放課後っ、西倉庫に来てください!」
「へ?」
彼女はそれだけ言うと走って去って行った。何故アルテが何か言おうとする度に去っていくのだろう…
『西倉庫』、修道院から見て帝都を北と見る。反対の南に寮があり、東に聖堂がある。残る西には訓練場や授業で使う温室や畑がある。また西倉庫と呼ばれる植物等を管理する為の物がしまわれてる倉庫がある。授業で使う倉庫は訓練場の中にあるので西倉庫とは別だ。
△▼△▼
数時間後、放課後になりアルテは言われた通り西倉庫を訪れた。ヴィクトールも今まで通り来ている
アルテは彼を無視して倉庫の中に入った。
中には園芸用の肥料や鍬や手鎌等が置かれてる。また園芸系の授業を選択した生徒が育ててるのか小さなプランターがいくつかある。
人が隠れるには適してない、音を立てやすいモノばかりで満ちてる…
アルテが倉庫内を見渡してると、突如後ろから物音がした。彼女は瞬時に振り向くがそこには何もいない。
アルテが音がした方に近づいた瞬間
「っ!!」
立てられた鍬が倒れガランッと音がしたのと同時に何かが後ろから飛び出してきた。
咄嗟に防ごうとしたが間に合わず、彼女は振り向いた瞬間、何かに襲われ地面に押し倒された。
「くっ!」
「!!」
暗くてわからないが、彼女は自分の置かれた状況を理解した。
今自分は黒衣を纏った者に覆い被さられ…首を絞められてる。
「うぐっ…(力はそう強くない、でも一瞬でこの体勢に入ったって事は…慣れてる人物、暗殺者か!?)」
アルテは必死に抵抗する、首を絞めてる人物は必死に両手で彼女の首を締める。しかし力はそれほど強くない、振りほどけばこの状態から逃れられる。
「っ!!」
アルテは抵抗しながら、足に力を入れ暗殺者の腹部に勢いよく蹴った。
「ガハッ!…クソッ!」
暗殺者が離れた隙に追撃しようとしたが、暗殺者はアルテを突飛ばし西倉庫から走り去って行った。
「ゲホッ…待ちなさいよっ!」
咳き込みながら何とか立とうとするが体が動かない、早く追わなくては…
そう思ってた時、目の前から悲鳴が聞こえた。
「キャァァ!」
「っ!…」
悲鳴を上げたのは…シンシアだった。
彼女の悲鳴を聞いたのか、一瞬にして野次馬が集まった。ヴィクトールもその場にいた。
「(…役に立たない監視だな!)」
自分が暗殺者に殺されかけた時、確かに音はなった筈なのにヴィクトールはすぐ近くに居たにも関わらず現れなかった。
…今は腹を立てても仕方がない、今はとにかく自室に帰りたい。
しかし重傷を被った彼女に気付く事なく、シンシアは続けた。
「信じられないわ!婚約者がいるのに、こんな薄暗い所に居るなんて!さっき誰か逃げていくのを見たし、今貴女は起き上がった。
まさか!ヴィクトールがいるのに彼じゃない男と親密になったの!?最低!」
「えっ!?マジ?」
「最低…」
「確かに汚れてるし制服も乱れてる…」
「はしたない…」
「それでも修道女かよ…」
「……」
周りの生徒はシンシアの発言に乗るようにアルテを侮辱する。
誰も彼女の事など気に掛けない…
こっちは殺されかけたんだぞ…
アルテはシンシアの発言に腹を立てたが、呼吸が上手く出来ず反論も立ち上がる事すら出来ない。
「ゲホッ!ゲホッ!(何なの!もう!見たんなら追ってくれても良いでしょ!)」
まさにその通り、倉庫から出てくる怪しい人物を見たのなら追ってくれても良かった…なのにシンシアはしなかった。
ヴィクトールは呆然と立ってるだけ、彼が命じられたのはアルテの監視のみで護衛じゃない…
アルテは咳き込むばかり、倉庫の外では誰も彼女に駆け寄ろうとせず貶す言葉を言ってるばかり
「最低よね、クローウェルズさんという婚約者がいるのに、他の男と情を交わすだなんて…」
「信じられないわ…」
「わざとらしく咳き込んでても意味ねぇのによ」
「じゃあ、実質【傷物】ってこと?」
「これはヴィクトール様、婚約破棄するしかないな」
「ゲホッ!ゲホッ(うるさい、うるさい!うるさい!そんなのどうでも良い!)」
咳は止まらず呼吸が安定しない。
アルテは苦しみと悔しさで涙が出そうだった。
その時だった
「これは何の騒ぎですの?」
「「!!」」
上品な声が野次馬の後ろから聞こえた。
金髪の髪に青い瞳をした高貴な女子生徒 キャロラインと取り巻きの令嬢2人が立っていた。
キャロラインは扇子で口元を隠していたが、アルテの様子を見て、慌てて扇子を閉じ駆け寄った。
「レクイエデさん!!どうなさったの!?」
「ゲホッ…ゲホッ…」
答えたくても咳しか出ない。キャロラインが駆け寄ったのと同時に取り巻きの令嬢2人も駆け寄った。
この光景に周りの生徒はざわつき、シンシアは信じられないと言うような顔をしてヴィクトールに抱きついた。
ヴィクトールは…何もかもわからないままだった。
ホント…役に立たない男だ
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