三流冒険者の俺が転生して力を得たけどtueeできない話
初めて投稿します。拙い話ですがお目汚しできれば幸いです。
冒険者としては三流。食うには困らないが冒険者になっても素材を採取したり、ちょっとモンスターを間引きに行ったりというクエストばかりしか受注していない。
街を襲った魔物の対峙をするには自分にはスピードが足りない。
強者を相手にするには強さが足りない。
遠征するには体力も材料も足りない。
冒険者なんて上を目指したらキリがないのはわかっているけど、今のポジションが自分の限界であることが最近痛いほどわかるようになってきた。
今はまだ若さがあるから仕事量をこなすことでギルドの信用を勝ち取り、そこそこの収入を得ているが、年を取ったらどうなるのだろうか。
だからと言って、リスクをとって強いクエストに挑戦するか? いや、ダメだ。命あっての物種だし、クエスト失敗したらよそ様に被害がさらに大きくなってしまう。冒険者が依頼主に迷惑をかけては元も子もない。
ならば剣を置いて地道に稼ぐか? しかし冒険者しかやったことない自分が今さら働ける場所なんてありはしない。
消費され、誰の記憶にも残らず死んでいく。それが自分の最期だと悟っていた。せめて最後まで冒険者として生きたい。それだけが自分の目標だった。
そして時はすぎ、山の上であっさり遭難。モンスターと戦うでもなく、冒険者人生は餓死という形でおわろうとしていた。
はずだったが、何故か非常に頭がクリアだ。そして
体のどこも痛く無い。
「お、目が覚めた?」
女性のような声が聞こえる。
「俺は、助かったのか?」
ゆっくりと目を開けると、目の前には魔人。
「わ、魔物が喋ってる! 俺の体に何をした!」
「まあ、そうなるよね。質問に答えると私はまだ何もしてない。私は死んだ冒険者が目覚めた時に説明するためにここにいるの。ボランティアだけどね」
「ここはあの世か?」
「いいえ。あなたは魔物として再び生を受けたの。それがこの世界の理り」
「魔物だって?」
「あ、でもあなたラッキー! 喜んで。あなたはユニークの伝説級魔物に生まれ変わったわ。力がみなぎってるでしょ?」
「しかし自分は冒険者。魔物側につくなんて」
「いいえ。別に何も望んで無いわ。ただ食事を得て、好きに生きて」
「え?」
そこで少し考えた。
自分は伝説クラスの魔物になって、欲しかった力を得た。しかしこの力で食事を得るにはどうしたらいいのか。野良動物を襲うか? いやそんなことをしたら人間にみつかってしまう。
魔物と人間に法律はない。見つかった場合、弱ければ再び死。強かった場合は人間を殺すしか無い。
そうか自分が殺してきた魔物はみんな元冒険者だったのか。魔物が街を襲うのは食糧が欲しかったからなのか。そしてみんな自我があったのか。
で、自分はどうしたらいいのか。有り余る力で人間の元で働ける、訳はないか。だとすると襲って支配するか、それとも目立たず生きていくか。
せっかく生まれ変わったこの命。無闇に死を選びたくはない。だって死ぬのは怖いから。
「他の生まれ変わりは何をしているんだ?」
「さあ。山で食糧者して細々生きてるのがほとんどだけど、大体人間に狩られちゃう。でも君なら大丈夫。人間を倒せば転生で仲間が増やせるよ!」
知っている。そうやって力をつけた魔物にはだんだん強い冒険者が派遣されてきて、最終的には必ず殺されてしまう。考えろ。他の道はないのか。死にたくない!
「後は、魔王様の軍に合流すれば、魔王国で暮らせるし、さらに強くなれると思うよ」
「それだ!」
かくして魔物を倒していた三流冒険者は魔物に生まれ変わり、生きるために魔王軍への合流をまずは目指すのだった。