表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/60

第8話 聖女への道

 私は、カルード様に感謝されていた。

 嫌われていると思っていた彼からの感謝に、驚いていた私だったが、それがおかしいものではないと気づいた。

 カルード様は、良くも悪くも公平なのである。彼は、私を正当に評価していつもの刺々しい態度なのだ。

 なんだか、それはそれでショックな気もする。私はいつも、そんなに悪いことをしていただろうか。


「フリムド様、お騒がせして申し訳ありません。こちらの不手際で、迷惑をかけてしまったようです」

「いえ、カルード様、気にしないでください」


 そこで、カルード様はフリムド様に謝罪した。

 よく考えてみれば、今までの話は全てフリムド様を置いてけぼりにする会話だった。私とフリムド様が会ってはならないのは、クーテイン家側の事情である。その事情に、フリムド様を付き合わせるのは色々と間違っていることだろう。

 そもそも、フリムド様は私が誰かわかっているのだろうか。その点から、フリムド様は理解できていなかったはずである。

 色々な面で、フリムド様を混乱させていただろう。それを謝るカルード様の行いは、当然のものだといえる。


「それより、彼女の魔法の才能は目を見張るものがあります。是非、僕は彼女を魔法学校へ入学させるべきだと思います」

「魔法学校へ入学させて、魔法の扱い方を教えるという訳ですか」

「ええ、そして、いずれは聖女の選抜試験を受けさせるべきかと」


 フリムド様は、カルード様に再び私を魔法学校に入れるように言った。

 しかも、フリムド様は私が聖女を目指すべきだと思っているようだ。

 聖女というのは、この国の役職のことである。魔法の才能を持った者がなれる魔法関係を取り仕切る仕事だ。それなりの地位もあるかなり重要な仕事である。

 そんな役職を、私に目指せというのだ。中々すごいことを言う人である。


「聖女ですか。なるほど、魔法の才能があるならば、それを目指すのも悪くはないかもしれませんね」

「そうでしょう」


 それに対して、カルード様は肯定するような反応をした。

 ただ、それは単に話を合わせただけともとれる。この反応だけでは、カルード様がどう考えているかはわからない。

 だが、一つだけわかっていることがある。それは、カルード様以外の公爵家の人々がどう考えているのかだ。


「その子に魔法学校など、過ぎた場所です」

「そうです。そんな場所に通わせるべき人間ではありません」

「その通りです」


 私が魔法学校に通うことを、カルニラ様達は反対してきた。

 どうやら、カルード様が誤魔化していた話をまた蒸し返すつもりらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ