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第6話 飄々とした態度

 私がフリムド様と話していると、様々な人がやって来た。

 カルニラ様、キルマリ様、クーテリナ様、さらにはカルード様までいる。

 使用人達もいるが、それは些細なことだ。この人達がいることが、重要なのである。


「フリムド様、その娘は我が家の恥です。そのような娘を、魔法学校に入れる訳にはいきません」

「カルニラ様、そのような言い方はよくありませんよ。彼女に失礼ではありませんか」


 カルニラ様の言葉に、フリムド様は表情を一つも変えずにそう返した。 

 その堂々とした態度に、カルニラ様は怯んでいるようだ。私に対して敵意を向けている彼女にとって、その飄々としている態度は、勢いを削がれてしまうものだったのだろう。


「フリムド様、そいつから離れてください」

「そうです。王族のあなた様が、そのような汚らわしいものに近づいてはなりません」

「お二人も、少々言葉が過ぎるようですね。公爵家の子女がそのように他人を貶めるのは感心できませんよ」


 そこで、キルマリ様とクーテリナ様が色々と言い出した。

 二人も、私に対して敵意を向けてきている。だが、そんな二人に対しても、フリムド様は態度を変えない。先程とまったく表情が変わらないのだ。

 恐らく、それは仮面なのだろう。他者への罵倒とはいえ、あのような言葉達に表情を変えないなど中々できることではない。

 もし嫌だと思ったら怒りや嫌悪感が見られるはずだし、納得しているならそれはそれで嫌味な表情を浮かべそうなものである。そのどちらも、フリムド様には見られない。何を思っているかわからないが、表情を隠すのがとても上手い人のようだ。


「コーリエ」

「え? あ、はい」


 私がそんなことを思っていると、カルード様がコーリエ様に声をかけた。

 急に話しかけられたため、コーリエはかなり驚いている。というか、その発言にはこの場の誰もが驚いただろう。今まで、この場にいる全員が私に対して意識を向けていたはずだからだ。


「無事だったようだが、お前の行動は軽率だった。生命を尊重するその意思自体は立派なものだが、それで自身の命を危機に晒すようなことをすれば、本末転倒だ。お前には、もう少し選択肢があったはずだろう」

「す、すみませんでした……」


 全ての話を遮って、カルード様はコーリエ様に説教を始めていた。

 いや、これは説教なのだろうか。口調は厳しいが、カルード様がそこまで怒っているようには思えない。言葉の通り、生命を尊重したコーリエ様の行動を立派だと思っているからだろうか。

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