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48.長野さんとのコンタクト

 

「なんで……?なんで長野さんが?」


 久しぶりに聞いた長野さんの声。嬉しくて涙が出そうだったが必死に堪える。でも……それ以上に何で私とこうして会話ができているのだろう?疑問が浮かぶ。


 そんな私に長野さんは教えてくれた。


 長野さんの話では、私と連絡が取れなくなってからずっと心配をしてくれていたそうだ。何回電話しても通じないから私が住んでいたマンションにも足を運んでくれたと言っていた。


 でも、インターホンを何回も鳴らしてもやはり出ない。諦めて帰ろうとした時、換気口から風が出ていたのに気づき、私は家の中にいるんじゃないか?と思ったそうだ。


 もしかしたら家の中で倒れているんじゃないだろうか?


 全然連絡が取れない事に不安が募り、意を決して家の中に入ろうと決めた。


 合鍵をもらう為、会社に保管してある個人名簿から私の名簿を探して両親連絡を取って了解をもらい、そして管理会社に私の部屋の合鍵を借りて部屋に入ったそうだ。


 そこで見た部屋の中……


 換気扇の他にも付けっ放しのテレビやエアコン。だけど肝心の私がいない。生活感はあるのに。まるで神隠しにあったかの様で、何か只事では無いと思ったんだって。


 そしてふと目についたテレビを見てみると、画面は地デジではなく、テレビの端子が切り替えられていた。それはゲームをやっていたかのように。そしてテーブルに置いてあった例のゲームソフトに気づいた。


 以前、私がゲームの内容がおかしいと話していたゲームソフト。何か手がかりがあるかも知れないとそのソフトを自宅に持ち帰りプレイしたのだと言った。


 以前はただの普通のゲームだったのに。ゲームを進めていくと、その時私が言っていた事と同じ状況下になり、更に進めていくうちに私がこの世界の中にいる事に気づくことになる。


「なぜ南がこのゲームの中に?」


 初めは半信半疑だったそうだ。行方不明になったからといってまさかゲームの中に入り込むわけはない。だが、物語を進めていく内にそれは確信に変わる。


「同じだ……」


 ゲームを進めていたら、転生者が現れた。


 私から聞いた話を、今自分がやっているゲームと照らし合わしながら進めていく。


 そして進めていく中で、あかねというキャラクターを見つける。 


 自分が手助けする転生者として確認する事は出来なかったが、そのキャラの詳細は見れた。そしてそれは、自分が知っている南あかねという人物と全く同じ詳細だった。


「どうしたら南とコンタクトが取れるのだろうか?」


 とりあえずなにも見出せないまま私を観察し、そして通信機を手に入れた。その通信機はなぜか転生者と私に渡せる事に気づき、それをすぐ様私に渡して今に至る……と教えてくれた。


 私は長野さんの話を聞いて、彼にとても迷惑をかけてしまった事を詫びた。


「全く。お前、どうやってそっちの世界に入ったんだよ?」


 長野さんは私がどういう経緯でこの世界に来たのかを聞かれたが、私はそれよりも長野さんが心配だった。


 こうやってこの世界を見れるという事。それはもしかして……


「長野さん?もしかして勇者を誕生させましたか?」


『ん?あ、あぁ。前にお前にソフトを借りた時は続きから始まったが、今回は以前のデータが消えていて、初めからスタートさせたんだ。勇者を目覚めさせないとゲームをスタート出来ないだろ?』


 やっぱり。という事は次のプレイヤーは長野さんという事になる。


 そして、この通信機だ。本来これはプレイヤーが転生者だけに渡せるものだと思っていたのだが、なぜ私にも?


 長野さんの転生者ということになるって言う事?いや、私は彼と同じ世界にいたんだ、それに長野さんは転生者と私にと言ったし。でもそんな事よりも……


「長野さん聞いてください!このゲームは……」


 もう私みたいな人を増やしてはいけない。ましてやそれが私の知り合いの長野さんだなんて。


 私がこのゲームは危険だから直ぐに止めるように伝えようとした。だが……


『南!気をつけろ!魔物がその村に押し寄せようとしているぞ!』


「えっ?この村に!?」


『クエストが発生したんだ!今すぐその村を離れるんだ!!』


 何ということだ。この村に魔物が押し寄せようとしているなんて。でも、私達はこの村から離れる事は出来ない。ザズの両親に会わなくてはならないのだから。もし、魔物に両親が殺されてしまったらミドナ達の手がかりが無くなる。



「あの!?クエストのウィンドウの横にカウントダウンがされていると思うんですけど、あと何分ですかっ!?」


 魔物が押し寄せる時間。それはクエストの締め切り時間だ。

 私は急いで残り時間を確認する。


『後二分だ!!』


 二分……とても逃げれる時間でもない。それに……


「長野さん。色々あって、私はまだ村から離れる事が出来ないの」


『なんだって?』


 理由を説明したいが、もうすぐ魔物が襲って来る。なんとか……この短い時間で村を救う方法はないのか?


 とっさに私は閃いた。そして長野さんにすぐさま確認をする。


「長野さん!クエストが発生したという事は、それを回避する為の選択肢が出ていないですか!?」


『選択肢……?あっそうだったな!?ちょっと待て……」


 クエストの発生。それが発生すると、プレイヤーのみ出来る回避方法があるはずだ。


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