37.現実世界 転生者との会話に向けて
今日は土曜日、休日だ!
私は昨日のゲームで書かれていたキーボードとイヤフォンを購入する為に、家電量販店に開店時間と同時に入店した。
それにしても、いつも思うんだけど店内広すぎるんだけど!
上にぶら下がっている誘導看板を見ながらお目当ての物を探す。
というか、キーボードはパソコンのコーナーだけど、イヤフォンは何の部類?オーディオ?なんて、迷いながら何とかゲットする事に。
颯爽とその場を後に家路へと急ぐ。
そして家に到着すると早速接続する事にした。
ゲームを立ち上げ、昨日ウィンドに書いてあった様にメニューを選ぶ。
そして浮かび上がった設定方法を見ながら、イヤフォンとキーボードを接続した。
すると、新たなウィンドが浮かび上がる。
――――――――
接続が完了しました。
確認事項
直接話せるのは特定の人物のみ(異世界からの転生者)
機器を装着後、特定人物にカーソルを合わせてコマンドを
選んでください。
キャラクターに通信機を与える事によりメールの様に文章
で交信も可能
その際も特定人物へカーソルを合わせてコマンドを選んで
下さい。
※通信機はプレイヤーがお好みでカスタマイズ出来ます。
詳しくは、メニューより通信機コマンドを押してくださ
い。
―――――――――
直接話してもいいし、文章でも良いって事か。
どっちにしようか?でも折角だから両方使いたいよな?
と片隅で思いつつ、初めてのコンタクトは誰にしようかと悩む。
対象者はミドナ、アリアナ、カルマの三人か。
一番初めに助けたのは確か……ミドナだよな?
よし!ミドナから攻めてみよう!
そう考えた私は、早速転生者ミドナの画面に切り替える。
画面の中のミドナは馬車に乗って揺られている最中だ。
初めてのコンタクト。ドキドキ胸が止まらない。
でも……と、私は思う。
相手はゲームのキャラクター。適当に私の発する単語を拾って、ゲーム内のコンピュータがそれらしい回答をするんだよね。きっと……
でも、今までの不思議な現象の数々。もしかすると、向こうにも意思というものが存在しちゃったりするのだろうか。
もし、そうだとすれば、初めの一言目は「初めまして」でいいのかしら。
向こうからしたら得体の知れない奴に急に「初めまして」と話しかけられても警戒するよね、普通。
これは、安易に話しかけてはいけないなと私は悩む。
もし、意思を持っているのであればそれなりの理由で話しかけなければならないのではないかと。
私はゲームのキャラクターを相手に万が一の為に自分の設定を考える事にした。意思を持つ者でも、疑われずに話しかける方法を。ちょっと考えすぎかも知れないけど、用心に越した事はないのだ。
私があーでもない、こーでもないと考えが纏まらないでいると、地図画面にしていた為アラームが鳴る。イベントが発生した合図だ。
気休めのつもりでイベントのマークをタップすると、村の画面に切り替わる。
村の中では村人が慌ただしく動いており、遠くの方から何か黒い大群が迫ってきていた。
どうやらこの村に魔物が襲撃するイベントだ。
イベント内容もその様な事がかかれている。
そういえば……前に少し先の村にも同じようなイベントが発生したのだが、オートモードを間違えて切ったままにしてしまったが為に魔物に滅ぼされてしまった。
だから、私はまた滅ぼされないようにこの村を助けようと思う。
早速コマンドを確認してみる。
○魔王の配下は魔王に呼び戻されて引き返す
○魔物達に攻撃を仕掛ける
○見守る
攻撃を仕掛けても良いけど……村人だけで勝てるの?見守るっていうのも魔物が村を通り過ぎるだけならいいけど。
これは魔王に呼び出しされてもらいましょう!
私は一番上のコマンドをタップする。
すると、少しして黒い大群の先頭にいた奴が一人違う方へと飛び去った。どうやらそいつが書かれている魔王の配下なんだろう。
これで安心だな。
そう思っていた時だった。魔王の配下は群れを離れたのだが、それ以外の魔物が村へ襲来した。
「はっ?私の選択は間違っていたの?」
魔物が村へ押し寄せてあちこちを破壊する。家も田畑もめちゃくちゃだ。
でも、うまい具合に村人達は逃げ出しているみたい。
んー。これは正解なのか間違いなのか分からないな。
でも、自分の選択をミスしたと思った私は反省する事にした。
さてと……
イベントをやり遂げると、私はミドナにどの様な設定で話しかけるかを再び悩み始める。
どうする?やっぱり「初めまして」でいくか?
でも、意思を持っていたらどうする?私のこの世界のことを話す?いやいや、あっちの世界とこっちの世界じゃ似ても似つかない。ますますあやしまれるだけだよ。
うーん。
どうせなら先に通信機とやらで交信してみるか?
ちなみにウィンドに書かれていた通信機。ちょっとどんなものか確認したくて見たんだけど。
これはアクセサリー型の様で色んな種類があった。
指輪、ブレスレット、ヘッドカバー、ペンダントなどなど。
色も柄も種類が豊富で自分でカスタマイズ出来るみたい。
……よし。先にキャラに合わせた通信機を作ろうか。
私は自分の設定を考えるのを再度辞め、それぞれの転生者にあった通信機のカスタマイズを考えるのであった。
通信機をそれぞれにカスタマイズすべく、転生者の顔を見なが決めようと思っていたら不思議な事に気づく。
ミドナとアリアナは画面に表示できるのに。カルマだけが表示出来ない。地図画面で二人の位置は特定できるものの、カルマだけは位置を示したマークが現れなかったのだ。
確かカルマは魔の森に落ちたよな?
魔の森を表示しようとするがエラーになる。
ん?何で??彼女の画面が表示出来なければ、話す事も通信機を渡す事ができない。困ったな。
……しょうがない。私は仕方なくミドナとアリアナの通信機だけを作成する事にした。
カーソルを操りながら彼らに合いそうなものを選んでいく。
ミドナは青が似合いそう。アリアナは女の子だから指輪かな?何て自分がカスタマイズした通信機をプレビューを確認しながら決めていく。
……よし!出来た!後は彼らに渡せばオッケーだ。完成した通信機のデータを保存してっと。
じゃあ、今度こそ本題といこうか?
ちょっとした息抜きをした私は自分の設定を改めて考える。考える……考える…………考える………………
――チュンチュンッ!
「はっ!?寝落ちした」
私はいつの間にか、考えている最中に眠りに落ちてしまった様だ。窓から陽の光が入り鳥達の鳴き声が聞こえる。
はぁ。だめじゃん。早く設定決めたいのにー。
でも、寝起きって案外頭が冴える。
昨日あんなに悩んでいたのに。ふと頭にいい案がよぎった。
「神様の設定にすればいいんじゃないの!」
うん!中々いいと思う。神様となれば、いきなり話しかけてもいける気がする。それにゲームの世界だ。魔物がいるなら、きっと神様もいてもおかしくはない。
決まった!ついに決まったわ!
こうして私は彼らとの会話に備えるべく、入念に計画を練るのであった。




