食事会? 開催です?
お久しぶりです。
毎日暑いですね。
_(՞⌓°꒷꒦⎞」∠⎞_
次の日の朝。
朝食と皆とのスキンシップを終えた後、手紙を書くことにした。
「昼休み頃に私が作った軽食を持って行くので一緒に食べませんか?」的なことを丁寧に書いた。
手紙なんて会社から取引先に出すDMの文章くらいしか書いたことがない。
それも定型文の雛形を使ったもので【神の図書館】で手紙の書き方を読んでから書いたけどね。
仕事の都合もあるだろうから日取りは向こうに決めてもらうことにした。
無限収納があるので何時でも問題は無い。
返事は数日後に返ってきた。
来月、エミールさんが学校の長期休暇で戻ってくるのでその時にどうかと。
お貴族様に私の手作り料理を出して良いのか? と思ったが、この間のクレープの肉巻きも美味しそうに食べていたし私が作ったジャムやクッキーを食べているので「今更か」と了承した。
エミールさんの行っている学校の夏休みは8月の頭から9月の末までの2ヶ月。
冬休みは12月の頭から2月末までの3ヶ月。
生徒によっては実家が北の雪深い土地の者もいて、行き来が難しくなるからだそうだ。
前世のように車や飛行機があれば何とでもなるのだろうけど、馬車だと難しいよね。
個人的には領地に戻らずに寮で過ごす選択肢が無いのが不思議だけど。
この世界の貴族の子供の出産率がどれほどかは知らないけれど、王都の学校に行く北に住む貴族の子供はそう多くはないと思うのだけど。
それに行き来する費用もかかるし、2週間ぐらいの休みにして寮で過ごせば良いと思う。
それとも絶対に帰らないといけない理由でもあるのかな?
春休みは無い。
とりあえずはエミールさんが戻ったら日程を決める方向で話が決まった。
約束の日まで少なくとも10日ほどあるので、その間に納品する物を作ったり料理を作ったりと、いつも通りに過ごすことにした。
「よし!ラーメンスープと具材を作ろう!」
麺だけ作って放置したままなので、いい加減完成させよう。
【神の図書館】を検索すれば色々なスープや具材が出てくる。
塩、醤油、味噌、豚骨、牛骨、魚介、坦々。
これらを合わせれば更にいくつかのスープができる。
煮卵、チャーシュー、海苔、ナルト、メンマ、野菜、魚介と具材も色々ある。
既に完成している麺も普通、太麺、細麺、縮れ麺、ストレート麺。
通常の材料の他に別の材料を練り込んだ麺もある。
麺の茹で具合によっても味わいに差が出るだろうからできる組合せはかなりの数になる。
だからラーメン屋がたくさんあったのかもしれない。
店で食べたことが無いので詳しくないけど。
私にとってのラーメンは特売の安いインスタント麺だったから。
初心者?なので塩と醤油と味噌かな?
態々骨を買ったのだから豚骨と牛骨も作る?
他の料理にも使えるし出汁として作っておいても損は無いよね。
それぞれのスープの作り方の手順を文字と映像で確認する。
ベースになる出汁に塩を入れたら塩ラーメン。
醤油を入れたら醤油ラーメン。
味噌を入れたら味噌ラーメンができるというような単純なものではないのね。
前世では焼くと茹でる以外は殆どした事が無かったから【神の図書館】があって本当に助かっている。
前世でも図書館で料理の本は見たことはあるけど実際に作るわけでは無かったから全く覚えていない。
それに目に楽しいグルメ雑誌を見る事が多かったように思う。
煮込みの部分は時間魔法を使ったものの、全てが出来上がったのは夕方だった。
2回目からは魔法を使うので楽にできるし、スープは液体魔法で直接出せるようになった。
色々と試したいので数日かけて試食した。
個人的には醤油ラーメンに細めの縮れ麺かな?
子供の口だと太麺は食べにくいから。
女神様はどの味が好みかな?
女神様がラーメンをすする姿を想像してみる。
流石にガッツリすすらないよね?
少量ずつ楚々とした感じに食べるわよね。
それともレンゲにのせて、すすらずに食べるのかも。
きっと前に送ったシュシュやヘアゴムが大活躍よね。
髪をおろしたままで食べるのは大変だろうし。
もしかしたら3姉妹の女神様も一緒に食べるかもしれないからクオンに似せた飾りのついたゴムを送っておこう。
その前に女神様達は箸を使えるのかな?
一応スライムの粉から作ったフォークを入れておこう。
金属製だと熱くなって火傷したら危ないもの。
パスタマシーンをくれたのは月詠様なので、月詠様にも送って貰えるようにお願いしよう。
面倒なら女神様の好きなようにしてくださいと一言添えておいた。
月詠様の分は私が合うと思った組合せで作ったものを、ただし麺の太さは通常のものにした。
女神様の分は複数の神様と食べるだろうからスープの入った鍋と茹でた麺と具材という風に別々にして多めに送ることにした。
自分の好きな組合せを探しながら食べるのも楽しいと思うから。
それに、どうやら神様の胃袋には限界が無いらしいので。
後日届いた月詠様の手紙には、これからも期待していると書かれていた。
日本に住んでいる月詠様ならば、いくらでも好きな物が食べられると思うけど家庭料理が好きなのかな?
因みに私の意図を汲み取ってくれたようで青のりをプレゼントしてくれた。
のんびりと過ごしている間に日取りが決まったと連絡が来た。
ついでに次の納品依頼も書いてあった。
最初は爆発的に売れていたけど、今は落ち着いてきたので月に1度在庫確認して必要な量を注文してもらうという形になった。
普通のジャムやクッキーの数が作れるようになってきたのも大きな理由かも。
どちらが売れても私に利益があるので問題無い。
皆に何を出すか考えることにした。
この世界で作れない可能性にあるものを出すと後が面倒になる可能性があるし、作れるものであった方が商品化の話が出た場合、作り方を売って誰かに丸投げできる。
以前図書館に行った時に、この世界の料理本や食材の載っている本も【神の図書館】にインストールしてあるので調べるのは簡単だ。
まずは粉物。
小麦粉は問題無い。
中に入れる出汁も問題無い。
中に入れる具材も問題無い。
ソースは手間暇かかるけど問題無い。
唐揚げは問題無い。
油も大豆油があるし。
調べてみると材料的には殆ど問題無いようだ。
ただ、チョコレートに使うカカオは広く流通していないし、薬扱いで高価なのでチョコバナナは除外。
道具的な面で見ると綿あめ機が無いので綿あめは除外。
たこ焼き用の鉄板も無いので、たこ焼きとベビーカステラも除外。
焼きそばの麺は技術はいるけどパスタマシーンが無くても何とかなるからOKだね。
かき氷は、かき氷機の代わりに風魔法を使えばできそうだけど魔法技術がいる可能性があるから除外しておこう。
そうなると甘いものは林檎飴だけか。
どら焼きでも作っておくかな?
小豆はあるみたいだけど用途が少ないのか、この国ではあまり流通してない。
偶々種を手に入れて育てたものだと言えば誤魔化せるかな?
さっそく餡子を作る。
粒餡と漉し餡があるけどどうしよう。
グルメ雑誌で見たものは粒餡が多かったから粒餡でいいか。
砂糖はちょっと控えめにして隠し味に樹木蜂の蜜を少量加えた。
外側の皮を幾つか焼いて餡子を挟んだ。
餡子と荒く切った栗の甘露煮を挟んだものも作った。
あとはいつも通り魔法で大量生産した。
因みに縁日料理と類似したものがあるか検索してみたら、蛸の入った出汁巻き玉子を濃いめの出汁につけて食べるというものがあった。
明石焼きのつもりなのかな?
お好み焼きというよりはチヂミみたいなのに出汁と醤油を煮詰めて作ったタレを塗ったもの。
イカ焼きと焼き鳥とフライドポテトはあった。
ただ、焼き鳥は醤油か塩をふって焼いたもので焼き鳥のタレは無さそう。
フライドポテトは作り方に適正温度が書いていないし、揚がり具合のコツも書いていない。
ベッチョリした仕上がりを想像して微妙な気持ちになった。
約束の日、お昼より少し前に商業ギルドに行って納品を済ませた。
新しく作った服を褒めてもらえたので嬉しかった。
昼休憩の平板を扉の外側にぶら下げてから一時ギルドを閉める。
ギルドマスターの部屋に行くとステラさんとエミールさんだけではなく、領主様もいて、ちょっと驚いた。
応接用の机の上に縁日料理とどら焼きを並べる。
領主様も同じので良いよね?
料理を見た途端目を輝かせたエミールさんは「待て」をくらった子犬のようだった。
GOサインの後のエミールさんの食べる勢いは凄かった。
それに子供の様に頬張って目を潤ませている。
全員がドン引き状態で唖然としたままエミールさんを見ていた。
それぞれが1人前ずつだけど種類があるから多いと思っていたけど、見る見るうちに無くなった。
エミールさんって箸も使えるのね。
引きすぎて現実逃避した私の頭にそんな感想が浮かんだ。
フォークと切る用にナイフも置いていたのにエミールさんは迷わず箸を使っていた。
串に刺してあるものは豪快に齧りついていた。
食べ終わって一息つくかと思いきや突然泣き出した。
エミールさんの様子に驚きすぎて皆は固まったままだ。
ジークさんだけが何とか動き出し膝に乗せていた私をソファーに下ろして頭を撫でた後、エミールさんの隣に座った。
エミールさんの背中を擦り、子供をあやす様に時々背中をポンポンと叩いた。
もう食事会どころではない雰囲気だ。
食欲も無くなったので私の分を無限収納に仕舞い、替りにスライムを模した小さめのクッションを出した。
伸縮性の布を使っていて中にはスライムの粉で作った粒が入っている。
所謂ビーズクッションだ。
フィット感が良いので凄く気に入っている。
落ち着くまで休んでいても構わないよね。
クッションを抱きしめたまま背もたれにもたれた。
エミールさんが落ち着いてきた頃にウトウトとしてきたので目を瞑る。
小さい子が途中で飽きて居眠りするのは、よくある事だから問題無いよね?
そのままの状態でエミールさんがポツポツと語る話を聞いていた。
エミールさんには前世の記憶があること。
私と同じく日本人だったこと。
家族仲が良かったこと。
14才の時に突然病気になって亡くなったこと。
食べるのが大好きだったこと。
今でも日本の味が忘れられないこと。
今日、その味に出会って思いが溢れたこと。
ジャムとクッキーを食べた時、私にも前世の記憶があるのではないかと思ったこと。
懐かしい味に出会える気がして今日を楽しみにしていたこと。
話を聞いて正直な気持ちは「ふーん 、そうなんだ」だった。
私にはエミールさんが前世を懐かしむ気持ちに共感できるものが無い。
愛してくれる家族はいない、懐かしく思う人もいない、懐かしく思う味が無い、懐かしく思う経験も思い出も無い。
私に前世の記憶があることも言うつもりも無い。
若くして亡くなった事にも特に何も思わない。
今生でも愛してくれる家族いて家族以外にも心配してくれる人がいて病気にはなったけど、お金を惜しむことなく使ってくれて普通に生活もできる。
寧ろ愛する我が子が自分達よりも早く亡くなってしまった両親の方が可哀想とは思う。
息子を思って悲しんだだろうし、悲しみが癒えるまで時間がかかっただろう。
私の前世の両親ならば私が重い病気になってもお金は祖父母からもらって入院させ、1度も見舞いに来なかったと思う。
葬儀の時に悲しそうに振舞ってお終い。
私に死亡保険をかけていたから、それで旅行でも行こうとするんじゃないかな?
妹と一緒に家族3人で私を嘲笑いながら……。
「……そうか」
領主様が一言そう言った。
察するに息子を抱きしめているみたい。
それ以上言葉が続かないのは言葉が見つからないからのようだ。
「辛かったな」は違う気がするから「前世の親の分も愛する」が無難なところかな?
親の愛は私には分からないから予想しかできない。
こういう時、小説のヒロインなら自分に辛い過去があってもエミールさんに寄り添って一緒に泣いて笑って、喜んでエミールさんの食べたい料理を振舞ってあげるんだろうな。
でも、私はヒロインじゃない。
いつの間にか寝てしまったみたいで目を覚ましたのは3時過ぎぐらいだった。
領主様は泣き疲れて寝てしまったエミールさんを連れて帰ったそう。
「エミールさんは何で泣いてたの?」とは聞かなかった。
替りに「食べすぎてお腹が痛くなったのかな?」子供らしい?斜め上なことを言ったら苦笑してた。
ジークさんとエレナさんは受付に戻ってステラさんは私の様子を見ながらギルドマスターの仕事をしていたそうだ。
料理の器は1人分だけ洗った状態で置いてあり、あとの分は料理を気に入ったエミールさんに譲ったそうだ。
食器は後日返却してくれるそうだ。
それならばと3人分の縁日料理を渡した後帰った。
余談だけど、ステラさんがスライム形ビーズクッションに興味を示して貸してあげたら気に入ってくれた。
座る時に使うとお尻を優しく保護してくれて安定させてくれるから楽なのだそう。
それに抱きしめていると少し心がホッコリする気がするそうだ。
中に入っている素材の事を聞かれ、スライムビーズを見せて説明したら驚かれた。
スライムの粉をこんな風に加工するなんて聞いた事が無いって。
欲しいと言われたので他のサイズも出して選んでもらった。
中サイズお買上。
銀貨5枚で売れた。
見本品としても欲しいと更に各サイズお買上げ。
更に定期的に各10個ずつ納品することになった。
小は銀貨3枚で大は銀貨8枚という値段設定になった。
因みにエレナさんは小を買ってくれた。
皆と楽しく食事会の筈だったのですが、書いている内に別の道に入り込んでしまいました。
:( ;´꒳`;)
因みに鶏ガラスープもラーメンスープのベースに使っていることになっております。




