女神様
気が付いたら白い空間にいた。
辺りを見回すと綺麗な女性が手招きしていた。
美しい金の髪に若葉のような緑の瞳。
彫りの深い美しい顔立ち。
直感的に女神様だと思った。
「お疲れ様。頑張りましたね」
傍までたどり着くと労いの言葉と共に頭を撫でられた。
頭を撫でられるなど、いつぶりだろうか。
思い出せる記憶の中には1度も無いが流石に物心のつく前の幼い頃ぐらいにはあったと思いたい。
「貴女の人生は少しも幸せそうではありませんでしたね」
何故か女神様は落ち込んだように俯いた。
私は、それが不思議で首を傾げた。
「私の管轄の世界でやり直してみませんか?」
思ってもみない言葉だった。
それに管轄の世界ということは目の前の女神様は地球の女神様では無いようだ。
地球の女神様では無いのなら何故私の人生を知っているのだろう?
「何か希望があるなら聞きますよ」
疑問は残るが神様のことをただの人間として生きただけの私が理解できるわけもないかと気持ちを切り替える。
やり直すか…。
所謂ライトノベルみたいなものなのかな?
図書館や図書室で何冊か読んだことがある。
家で読むと何か言われそうなので借りて帰ったことは無い。
読むのは早い方なので1時間もあれば1冊読めた。
魔法とかあるのかな?
うーん。
誰にも愛されない人生だったから自分を愛してくれる人に囲まれて暮らすという選択もあるけど、何だか人に対して疲れてしまっていた。
できれば1人で静かに暮らしたい。
大勢の人がいるのに一人ぼっちなのと誰もいなくて一人ぼっちなのとだと後者の方が遥かにマシだ。
家事は普段からやっていたし、自分のことは自分で出来る。
最初は苦労するだろうけど畑を耕して自給自足なんていうのも良いかも。
私の出した希望は3つ。
人とあまり関わらずに、できるだけ自給自足で生活したいこと。
色んな本を読みたいこと。
特に料理の本が欲しい。
住む場所と畑を作る場所が欲しいこと。
「なるほど分かったわ」
女神様はにっこりと笑った。
「生活に便利そうな能力を見繕ってつけておくわね」
その言葉に私にも頑張らなくても手に入るものがあるのだと不思議に思った。
妹は好き勝手に生きているだけで親の愛情を受けていた。
所謂無償の愛。
私には無縁だったもの。
「あ、あと美味しいものがあったらお供えしてほしいわ。神の世界は刺激が無くて退屈なのよね」
「私の基準になりますが大丈夫ですか?」
私の口に合っても女神様の口に合うか分からないもの。
「大丈夫よ。元々私達に食べるという習慣は無いから人間の食べ物に興味があるだけだから」
それなら何とかなるかな?
良い材料が手に入れば良いけど。
「それでは今度こそ良い人生を!」




