幕間 ホワイトデー
前半は女神様視点です。
ご都合主義なものがドンドン増えております。
(°ᗜ°٥)ハハッ…
残しておいたチョコ菓子を持って地球の神に会いに行った。
バレンタインのお返しの為にミシンや調理器具を分けてもらう為だ。
いつも親しくしているのは月読だ。
彼は月の神であり、農耕の神なので豊穣の女神である私とは似通った存在だ。
リィーンの無限収納に入っている地球の種は月読から貰ったものを私の神力で数をキープしている。
「さすがにミシンは電気が無いから動かないと思うぞ」
私の話を聞いた月読がそう言った。
「足踏みミシンというものが、かつてはあったが今は流通していないからな。どこかの蔵にでもあるかもしれないが……。それにこの世界とは糸自体の質も違うだろう。何より、スキルであれだけ早く縫えるならば、足踏みミシンで出来る程度のことは問題なくできると思うぞ」
月読も時々、リィーンの様子を見ているそうだ。
「調理器具も電動は無理だろうから手動で動かせる物を選ぶ方が良い。そうそう、確か麺づくりを試行錯誤していただろう?パスタマシーンなんてどうだ?アタッチメントを変えると色々な麺ができるし、手動の物がある」
「それは良いわね。ある程度作れば錬成でできるようになるだろうけど」
そうなると、あまり使わないかもね。
工程さえ分かれば、実際に作らなくても錬成でできるだろうし、どうしよう。
「麺と言っても野菜を練りこんだ物や肉や魚のエキスを練り込んで作る麺もある。そういうのは自分好みの配合を試行錯誤するだろうから、楽しんで使うだろう」
「確かにそうね」
月読の言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「以前、リィーンが作った宝石石鹸を幾つか分けてくれたことがあっただろう?多分、本物にも興味があると思うぞ。だから、お前の世界の鉱物や鉱石を贈るというのはどうだ?鉱物からは宝石が採れるし、鉱石は錬金術の材料にもなるし、金属を製錬することもできる。錬金術に興味があるようだったし、思いついた物を直ぐに色々と試せるようにしておいたらどうだ?そのうち、それで得た宝石や金属を使ってアクセサリーも作るだろう。当然、お前も何か作ってもらえるぞ」
「それは良い考えだわ!」
できればリィーンとお揃いだと嬉しいわね。
思わず笑みが零れる。
「お前が鉱石を贈るならば、パスタマシーンは私から贈ろう。彼女が意図して無かったとはいえ、チョコ菓子を貰ったからな。それと細かい作業向きの工具を贈ろう。できれば私にも何か作ってもらいたいな」
「渡す時に手紙に書いておくわ。今の格好のような時につけるの?」
月読は祭事等では古来の衣装を身につけているが、そうではない時は今どきの若者という服を着ている。
時々、人間界に行くこともあるので周りに馴染むように着るようになったのが切っ掛けらしい。
苦言を言う神もいるそうだが、月読は気にせず自分に徹している。
「普段に使いたいから、その方が良い」
「そう書いておくわ」
月読からパスタマシーンと工具を受け取ると自分の世界に戻った。
世界中の鉱物や鉱石を集めると使いやすい大きさの物をリィーンの無限収納に入れた。
ついでにリィーンの目に因んだ琥珀も入れておいた。
数は勿論無限大だ。
楽しんで使ってくれると良いな。
忘れずに私の手紙と月読からの贈り物を入れておく。
因みに息子はスライム2匹を贈った。
カラースライムとシャインスライムだ。
カラースライムはダンジョンでよく出るスライムで、倒した時にランダムで出た色の粉は庶民向けの染料として使われる。
シャインスライムはダンジョンの下層で稀に遭遇する希少種のスライムだ。
倒すと光り輝く粉が出る。
この粉は染料や化粧品の材料として使われる。
滅多に手に入らないので王族や高位貴族向けの商品に使われる。
息子は2匹のスライムを言葉が理解できるようにした。
これで倒さなくても、お願いすれば好きな時に好きな色を出せるようになるそうだ。
それを聞いた旦那様は、あるスキルをリィーンに贈ることにした。
『念写』というスキルだ。
『念写』は強く頭に思い描いたものを紙に写し取るというもので、本来は白黒だ。
カラースライムが生きている時だけに出す透明の粉とシャインスライムの粉を合わせて水に溶かしたものを塗った紙に念写すると地球で言うところの写真のようなものができるそうだ。
そんなこと全く知らなかったわ。
今度、私とリィーンが一緒の光景を念写してもらおう。
三姉妹は黒猫を贈っていた。
普通の猫ではなく、三姉妹の神力で生み出したもので、人間界で言うところの神獣だ。
私達とシンクロすることもできるので、黒猫視点から見たり、触ったり、匂いを嗅いだり、食べ物を味わったり、音を聞いたりすることができる。
うふふ。
直接お喋りとかは出来ないけど、声を聞いたり触れたりできるなんて嬉しいわ。
でも、リィーンには内緒にしておいた方が良いかもね。
ぷにぷにとした感触のあと、濡れたザリザリとした感触がしたことに不思議に思いつつ目を覚ました。
ぼんやりとした視界に入ったのは黒い塊。
よく見れば金色の瞳があった。
「うにゅ?黒猫?」
目を擦りつつ起き上がると、体を擦り付けてきた。
頭を撫でてみると、柔らかくて暖かくて触り心地が良い。
黒猫はゴロゴロと喉を鳴らした。
「おお!本物!」
どうしてここにいるのかは分からないけど、夢ではないようだ。
視界の端で2匹のスライムがゴム毬のように飛び跳ねて遊んでいた。
1匹は虹色で、もう1匹は金色だ。
こんな色のスライムがいるんだ。
しばらく眺めてから黒猫に視線を戻すと、いつの間にか封筒を咥えていた。
それを受け取って確認する。
「女神様からの手紙だ!」
テンション高く、封を開けて中を読む。
親愛なるリィーンへ
チョコ菓子をたくさんありがとう。
夫と息子、それに3姉妹の時の女神とで美味しく頂きました。
一部は友人の地球の神である月読にお裾分けしました。
3月14日はホワイトデーとのことで私達からの贈り物を受け取ってね。
夫からは『念写』というスキルを息子からは2匹のスライムよ。
他のスライムより頭が良い子達なので、リィーンの言葉は理解できると息子が言っていたわ。
カラースライムとシャインスライムという種類で、カラースライムは染料として使える粉を出してくれるわ。
色を言えば、どんな色でも出してくれるわよ。
シャインスライムは光る粉を出してくれるわ。
カラースライムの透明の粉とシャインスライムの光る粉を水と混ぜて紙に塗った物に念写すると、カラー写真のような物になるそうよ。
私とリィーンを念写したものが欲しいな。
3姉妹からは黒猫です。
この子は私達に近い存在なので食べ物を与えても与えなくても大丈夫。
普通の猫のように食べては駄目なものは無いので安心してね。
名前は無いので好きにつけて良いわよ。
そして私からは、私の世界にある鉱物や鉱石を無限収納に入れてあります。
鉱物からは小ぶりだけど宝石が採れます。
鉱石は錬金術で金属の製錬や他の錬金術の材料にもなるので色々試してみて。
月読からはパスタマシーンと工具です。
身につける物が作れるようになったら、何か作って欲しいそうよ。
その時は私の分もあると良いな。
月読は普段、日本の若者のような格好をした、涼やかな美男子よ。
更に楽しい異世界ライフを送れますように。
フリッグより
念写!
これはあれよね。
サブカルチャー的な本で見た、未開封のポラロイドフィルムを使った念写みたいなことよね。
本に載っていた念写結果は不鮮明だったけど。
面白そう!
念写だから後からでも作れるし、想像した光景も念写して残すことができる。
その内、色々と試そう。
黒猫の名前か。
何にしよう?
時の女神様に貰ったから、時間に関係する名前が良いかな。
確か、日本語で時や永遠の事を久遠って言ったわよね。
ならばクオンにしようかな。
「今日から貴方の名前はクオンよ」
黒猫をじっと見てクオンと呼んでみた。
小さく鳴いて私にスリスリしてくれたので気に入ってもらえたようだ。
スライム達にも名前をつけよう。
カラースライムはラクレアでシャインスライムはリュミエールかな。
確か海外の言葉で色と光だったはず。
あとで皆に紹介しないとね。
鉱物や鉱石も嬉しいな。
金とか銀とかも採れるよね?
それで台座を作って小ぶりの宝石をはめ込めば、可愛いアクセサリーができそう。
パスタマシーンも嬉しい。
無限収納から出して説明書を読む。
手動式でアタッチメントを変えると色んな麺が作れるみたい。
パスタにうどんに蕎麦にラーメン。
ストレート麺に太麺、細麺に縮れ麺。
パスタって長い麺だけではなく色々あるのね。
マカロニも作れるみたいだから今度グラタンを作ろう。
楽しみが益々増えたな。
鉱石も大きな意味で鉱物で用途によって呼び名が違うようなので分けています。




