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年の瀬

大変遅くなりましたm(*_ _)m

気がつけば、13月の半ばが過ぎていた。

そういえば、ジャムの事をすっかり忘れていたけど、売れたのかな?

前世の世界のように電話があるわけでもないし、住所を知らせて無いから手紙が届くわけでもない。

そもそも、この空間に外の人間が入ることはできないだろう。

商業ギルドでも特に連絡先を聞かれなかったけど、それが普通なのかな?

色々な場所で行商するような人だと定住していないから連絡先が分からないことがあるものね。

逆に店舗や屋台で商売をしている人は、すぐに連絡が取れる。

商業形態で扱いが違うのか、身分証を作る為だけに登録する人もいるから、基本的には連絡先を聞かないのかも。

だいたいの町や街には商業ギルドがあるから、商売を始めた人はマメにギルドに顔を出すのが一般的なのかもしれない。


ジャムのレシピの件もあるので、久しぶりに街へ出かけることにした。


完成した帽子、マフラーに手袋にセーターを着て、古着屋で買った緑色の上着を着た。

もちろん、新しく買った下着もね。

ふふふ。

今回作ったのはシンプルな物だけど、次はレースを編んで付けたり、リボンを付けたりした可愛いものを作りたいな。

生まれ変わってからも、お洒落は気にしなくて良いかと思っていたけど、色々と自分で作れると分かった今は、自分好みの物を作って身につけたいと思うようになってきた。

そのうち、アクセサリーとかも作ってみたい。

高い宝石を使うとかは無理でも小さな屑石でも工夫すれば可愛い物ができるだろう。


街に着くと、年の瀬ということもあるのだろうけど、門の前には、いつも以上に人の列ができていた。

どこの世界も年の瀬は賑わうもののようだ。

顔見知りの門番さんから、商業ギルドから伝言を預かっていると封筒を渡してくれた。

内容は用事が終わった後で良いので商業ギルドに寄って欲しいというものだった。


「今日は年末の買い物客で、どこも人が多いから気をつけなよ」

「そんなに多いの?」

「年明けは宿屋以外、5日まで休みだ。だから、食料や日用品を買い求める者が多い。それに中央広場では屋台が立ち並んでいるから、それを目当てに来ている者も多いからな」


屋台は食べ物屋の他に、近くの村や町、他の領地の人の出稼ぎの屋台もあるそうだ。

別の国から来た商人の屋台もあり、珍しい物が売っていることがあるそうだ。

何か面白い店があるかもしれないので、後で行ってみよう。


最初に向かったのは肉屋【黄昏】。

牛骨と豚骨を手に入れる為だ。

店に行ったら女性がいた。

店主さんの奥さんだって。

旦那さんは広場の方で息子さんと屋台を出しているそう。

肉屋らしく、焼肉を売っているそうだ。


私の事を聞いていたのか、この間あげたホットドックのお礼を言われた。

パンの柔らかさと美味しさに驚いたそうだ。

やはり、この世界で柔らかいパンは一般的では無いようだ。


牛骨と豚骨を分けて欲しいと言ったら、何にするのか聞かれた。

スープの出汁に使うと言ったら興味津々な顔になった。

簡単に作り方を説明して、美味しいと思うか思わないかは好みだと伝えた。

鶏ガラで作るスープなら飲み易いと、お昼用に持ってきた体で鞄から鶏ガラスープから作ったオニオンスープを出して味見してもらった。

折角、魔法鞄(マジックバック)を作ったので、最近は鞄の方にも色々と入れている。


「あら!美味しい!」

と、褒めてもらえた。

鶏ガラスープをベースにして色んなスープができると言ったら、是非作り方を商業ギルドで販売してほしいと言われた。

料理方法って気軽に教え合うものだと思っていたけど、違うのね。

流石に家族間で、そういうことは無いと思うけど、意外と物事がキッチリしている世界なのね。

後でステラさんに相談してみよう。


どうせ捨てる物だからと大腿骨と肋骨を無料で分けてもらった。

骨がスープに使えて作り方が販売されれば、今後は少し骨が売れるようになるかもねと奥さんが笑った。

作り方は難しく無いけど、手間がかかるから誰も彼も作るというものではないから、爆発的に売れるものでは無いだろうけど、飲食店や貴族に仕える料理人等が作るようになれば、多少の需要がが見込めるはず。


骨だけ貰って帰るのも申し訳ないので肉も買うことにした。

無限収納(インベントリ)があるから問題ない。

牛脂も欲しいと言ったら、これも捨てる物だからと無料でくれた。

どうするか聞かれたので、フライパンで熱して油が出てきたら肉を焼いたり、野菜を炒めたりするのだと言ったら目を円くされた。

私からしたら、今まで油=料理に使うにならなかった方が驚きだ。


何の肉を買おうかな?

そういえば、鶏ガラスープができたら、ラーメンを作りたかったのよね。

チャーシューとか作ってみようかな?

ハムやベーコンはあっても、流石にチャーシューは無いわよね?

チャーシューに使う豚肉の肩ロースをブロックで幾つか買った。

あとは、かんすいが無いのよね。

かんすいの成分はアルカリ塩水溶液らしいけど、化学物質で作り方が分からない。

【神々の図書館】で検索したら、昔は草や木の根の灰を溶かした水やミネラルの多く含まれる井戸水が使われていたと書いてあったのよね。

灰を溶かした水か……。

これって、スライムの灰を溶かした水で代用出来ないかな?

なんせ、スライムの灰の鑑定結果は「???」だったもの。

使うことで、どういう作用が起こるのかは未知数ということであり、色んな可能性を秘めているといことに違いない。

今度試してみよう!

また、楽しみが増えた。


次に行ったのは手芸屋【アリアの店】

端切れで作った物を見せに行った。

すごく興味津々で見てくれて、是非作り方を販売して欲しいと言われた。

アリアさん自身も作り方を買ってくれると言っていた。

完成品を売りたいそうだ。

商業ギルドで販売する作り方を買って作った物は、商業ギルドに登録している人であれば、販売することができるそうだ。

ただし、その場合はギルドで買った作り方を使っているとか参考にしているとかを提示して販売しないと罰金を取られるのだそう。

毛糸で編んだ物を見せつつ、毛糸のことを聞いたら知らないらしい。

別の国にはあるかもしれないけど、この国では糸状にして冬の生地を作ったり、絨毯を作ったりするのに使うのだとか。

この世界では、前世で当たり前にあった物が色々と商売になりそうね。


次は乾物屋の【乾物屋】でスライムの粉を大量購入。

何だかんだスライムの粉って万能アイテムよね。

もしかして、女神様のお陰なのかな?

他にも足りない物を買い足した。


次に行ったのは中央広場。

初めて広場に来た。

普通に移動していれば何度か通っているはずだけど、転移をしているからね。


食べ物の屋台が多くあって、色んな匂いがしている。

肉屋【黄昏】のおじさんはどこかな?

マップ機能が更新されていて、人を指定してマッピングできるようになっていた。

それを見ながら、おじさんの屋台の場所を探した。


「あ、いた!」

広場の真ん中辺りの屋台にいた。

息子さんは15、6才くらいかな?

スパイシーな肉の焼ける匂いがする。

私が想像していた焼肉は、前世のように薄切りにした肉を鉄板か金網の上で焼いたものだったけど、大きな肉の塊の表面を焼いて削いだ物を売っているようだ。

ケバブみたいなものかな?

声をかけて近くで見せてもらうと、肉の表面にスパイスの効いたタレを塗って焼き、それをナイフで削ぎ、それを、この世界のパンに挟んである。

歯の丈夫な人は良いけれど、女性や年寄り、私みたいな子供には食べられないと思う。

現に買いに来るのは男性だけしか見かけない。

食べるかと聞かれたけど、私には無理だ。


ふと、思いついた事があったので、焼き場の端を借りることにした。

無限収納(インベントリ)からフライパンとお玉とボウルを出す。

更に小麦粉、卵、牛乳、砂糖と塩とレタスを出した。

ボウルに小麦粉、卵、牛乳、砂糖と塩を一つまみ入れて混ぜる。

熱したフライパンに油をひいて、そこにお玉で生地を掬い入れて薄くのばしクレープを焼く。

スイーツでは無いので甘くない生地にした。

焼きあがった生地にレタスと削いだ肉をのせて、くるくると巻く。

その様子を、おじさんと息子さん、近くにいる人が興味津々に見ていた。


「これなら女性でも食べやすいよ」

にっこりと笑って、おじさんに渡す。

味見をしてもらわないとね。

一口食べて吃驚した顔で目を見開くと、息子さんに味見を促した。

息子さんも同じような顔になっている。


「あとで商業ギルドに話を通すから、使わせてもらって良いか?」

いつもおまけをしてくれるので快諾した。

商業ギルドには、このあとに行くので私から伝えておく事と料金云々も後日で良いと伝えた。


「おい!材料を買って来い。砂糖と塩はある。あと、道具を家から持ってこい!」

そう息子に声をかけると

「分かった!」

と走って行った。

「すまないが、嬢ちゃんの材料を借りれるか?」

「良いよ」


近くで見ていて興味を持ってくれた人が並んでくれた。

私はどんどん生地を焼いて、おじさんが普通のパンかクレープ生地かを確認して仕上げて渡していく。

因みに手間とレタス代がかかるので、クレープの方は少し高くなった。

パンの方も追加料金を払えばレタスを挟み、クレープの方はレタス抜きだと少し安くした。

肉のクレープを見た他のお客さんも興味を持ってくれて並び始めた。

女性も何人か並んでいる。


息子さんが戻って来て生地の材料を混ぜる。

レタスは水の魔石で出した水で洗って風魔法で水分を飛ばしていた。

息子さんは風魔法の適性があるそうだ。

私の焼き方を何度か見せてから息子さんと交代した。

持ち前の器用さなのか、料理スキルがあるのか、問題なく焼いている。

安心して他の店も見に行くことにした。

自分の分と商業ギルドの土産用にと注文すると5個作ってくれた。

1つはおまけだそうだ。

料金を払おうとしたら、材料費とバイト料の代わりだと無料にしてくれた。


【黄昏】の屋台を離れて色々と店を回る。

人が多くて歩きにくいし、背が低いので商品が見にくい。


あれって味噌樽かな?

たくさんの人が行き交う中で、暇そうにしている店があった。

大きな樽が幾つか置いているだけで、何が売っているとも書いていない。

そんな状態の店に来る人は少ないよね。

店番は若い男女だった。

顔が似ているので兄妹かな?

服装は作務衣のような服を着ている。


「ここは何を売っているの?」

「味噌よ」

女性の方が無愛想に答えた。

やはり味噌だ。

「いくらするの?」

「100g小銀貨2枚だ」

こちらも無愛想。

売る気があるのかな?


小銀貨2枚なら200円くらいか。

日本で買うより高い。

移動費や出店費がかかるから仕方がないのかな?

味噌汁の他にできるのは味噌漬け、焼き味噌、土手鍋……あとは思いつかないけど、1樽くらい買っておこうかな?

「味噌って、こっちで知られている食材なの?」

「あまり知られていないわね」

女性が言うと男性が頷く。

「使い方が分からないだろうし」

「…使い方が知られていない食材を、よく売りに来ようと思ったね」

「親に言われて仕方が無く?」

男性が答えて女性が頷く。

「使い方を教えてあげないと、よけいに売れないよ?」

「どうやって?」

「……」

販売に向いていないな。

営業スマイルもできていないし、商品説明もできないし、販売戦略も無い。

親もよく行かせようと思ったな。

「試食させれば良いじゃない。作り方はギルドで販売すれば良いし」

「……?何を試食させるんだ?」

この人達は馬鹿なの?

「味噌汁とか焼き味噌とか。使い方もだけど、味が分からない物を買ってくれる人なんて、ほぼいないよ?」

「料理できないし、作り方も知らないし」

女性が言って男性が頷く。

料理もできないの?

売る気あるのか?

この人達もだけど、親も売る気があるのか?

味見させてもらったら不味くはない。

彼らが作っているわけじゃないものね。

1樽欲しいと購入したら、「これだけ買うなら使い方も作り方も知っているだろうから試食品を作ってくれ」

と言われたけど、断った。

だって、教えて欲しいならまだ分かる。

作って欲しいってどれだけ厚かましいの?

それに、この街の人達と違って商業ギルドを通すという意識も無い。

無料(ただ)で、こき使って手柄だけ横取りするようなタイプな気がする。

こんな人の世話をするなんて馬鹿馬鹿しい。

味噌の代金を払って、さっさと店を離れた。


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