養鶏場と牧場でお買い物
街を入る際に言われていたように作ったばかりのギルド証を見せるとお金が返ってきた。
街を出ると、まずは養鶏場に転移した。
いよいよ卵が手に入る。
出汁入の卵液で作る卵焼もスクランブルエッグも嫌いじゃないけど、シンプルに茹で卵や目玉焼きが食べたい。
オムレツにオムライスにプリンにフレンチトースト。
それにマヨネーズ。
お菓子作りにも卵が欠かせない。
前世で食べたい物が自由に食べられなかった反動で、今世では食べ物への執着が強い気がする。
味わうことが出来なかった色々な物を作って食べたい!
養鶏場では50代くらいの男性が出迎えてくれた。
まずは卵を20個を買いつつ、生きた雌鳥が買えるのかを確認した。
「大丈夫ですよ。こちらで選びますか?自分で選びますか?」
と聞かれたので自分で選んでみることにした。
前世のように沢山の鶏が密集して飼われている様を想像していたので、ちょっと驚いた。
雌鳥達は天井が高い大きな広い建物の中で順位はあるようだが、思い思いの場所で寛いでいた。
天井には明り取りの大きな天窓が幾つかあり、空が見えた。
掃除も行き届いていて清潔だ。
ここにいるのは卵用の雌鳥だけで、毎朝卵を回収するそうだ。
広いので回収するのが大変そう。
他にも繁殖用の鶏がいる建物、食肉用の鶏がいる建物と分けてあるそうだ。
どの雌鳥が良いかと眺めていると、まだ小さめの5羽が私の傍に近づいてきた。
まるで自分達を選んでと訴えるように私の足元をウロウロとしては見上げてくる。
くぅ、可愛いじゃないか君達。
値段が気になるところではあるが自らアピールしてきたこの雌鳥達を買って帰ることにした。
5羽もいるし、ひよこは買わなくてもいいかな。
「今日からよろしくね」
5羽に話しかけると私の足に嬉しそうにスリスリし、歩くと私の後ろを着いてきた。
養鶏場の男性は雌鳥達の行動に吃驚していた。
長く飼っていれば、そういうこともあるらしいけど、初対面でここまで懐くことは珍しいそうだ。
肉はここでも買えるのかと聞いたら絞めただけの鶏を買うことはできるとのこと。
何故かと聞いたら街が近いので卸値で売る養鶏場で買う人が増えてしまうと肉屋で売れなくなるので、領主様の命令でそう決められているそうだ。
例外として生きたままの鶏と絞めただけの物は販売しても良いらしい。
血抜きをして解体するとなると手間と時間がかかるので買う人間が少ないからという理由らしい。
血抜きと解体はやったことが無いから、どうしようかな?
自分でやるのは、ちょっと怖いな。
前世では普通に切り身で売っていて、絞めたばかりの鶏なんて見たことが無いし、解体することも無い。
それに命を奪ったことへの罪悪感が湧いてくる。
切り身でも同じことなのに不思議だよね。
今度肉屋で買おうかと考えたが、結局1羽買う事にした。
雌鳥達の視界に入れるとストレスになるかもしれないので後ろを向くように言うと素直に従った。
素直ないい子達だ。
なるべくそれを見ないようにして無限収納に入れると選択肢が出た。
【解体しますか? そのまま入れておきますか?】
ほわ!
無限収納って解体機能があるの!
迷うことなく解体を選択。
解体してくれるなら、もっと買えば良かったと思ったが……あの鳴き声は、もう聞きたくないかな……。
防音結界を張ってあげれば良かった。
大丈夫かな?
しばらく5羽を観察していたが怯えている様子は無かった。
念の為、体を順番に撫でてやると、うっとりと目を細めた。
やはり次からは肉屋で買おう。
無限収納の中を確認すると部位ごとに別れて収納されていた。
照り焼きに唐揚げに焼き鳥にチキンカツ。
鶏の骨で確かコンソメスープを作れたよね。
飼う時の注意事項と、しばらくの間の餌を買って養鶏場を後にした。
そういえば、この雌鳥達を連れたまま転移って大丈夫かな?
私は5羽を傍に寄せると、理解できるのかは分からないが一応転移することを伝えた。
万が一、私しか転移出来なかった時は、戻ってきて人目につかない場所に結界を張るので、そこで待っていて欲しいとお願いした。
転移中の事故で離れ離れになった場合は必ず迎えに行くと約束した。
逸れた時を考えると個体を特定させておけば探しやすいだろうと名前を付けることにした。
「アイ、ルミ、ローラ、エリ、マーシィ」
と左から順番に思いついた名前を付けた。
マップを確認すると5羽の名前が現在地に表示されている。
「じゃ、行くよ」
「「「「「コケー」」」」」
と、元気に返事をしてくれた。
うちの雌鳥が可愛い。
結果的には問題無く転移できた。
牧場に着くと空を見上げた。
だいぶ日が傾いてきていた。
私は5羽が着いてくるのを確認しつつ急いで中に入った。
40代くらいの夫婦が、私の後を大人しく着いてくる5羽の雌鳥達に吃驚しつつお出迎えしてくれた。
肉は鶏と同じ条件での販売になっていた。
ハムやソーセージ等の加工品は量り売りで買えるとのこと。
流石に牛や豚の一頭買いは姿と値段が怖いので加工品を買うことにした。
加工品は牧場で販売しても大丈夫なのかと聞いたら除外品になるそうだ。
ハムとベーコンを一塊とソーセージは多めに買った。
ハムサンド、ハムエッグ、ベーコンエッグ、ホットドック。
チーズも売っていたので聞いたことがあるような名前の物を幾つか買った。
チーズフォンデュとかピザを作ってみたいな。
牛乳は2ℓだけ買った。
一度飲めば魔法で出せるからね。
ちょっと良心が痛むけど。
あとは毛糸を作りたいので生きた羊を一頭欲しいと伝えた。
まだ、子供なら安いというので最初に目が合った雄の子羊にした。
ふわもこで可愛い。
名前はロディにした。
家に戻る頃には夕方になっていた。
戻ってすぐに雌鳥達と子羊を庭に連れて行き、寝床と餌場を作った。
世話はゴーレムとツリーマンに頼むことにした。
雌鳥達と子羊を魔法で綺麗にした。
「また、明日ね」
「「「「「コケー」」」」」
「メー」
うん、やはり家の子達は可愛い。
夕食はピザを作って食べた。
女神様へのお供えも忘れずにしたあと、今日はもう休むことにした。
明日の朝は卵を使って朝食を作ろう!
今日も一日楽しかったな。
女神様、お休みなさい。




