街でお買い物①
マップを見ながら人のいない場所に移動してから、まずは靴屋を探した。
そうそう、このスキルには便利な機能がある。
それは転移したい場所に人がいるのかいないのかが分かる。
その上、自分の周りにいる人間が色で表示される。
検問にあった魔道具のように犯罪の有無を表示するのではなく、悪意というか負の感情を表示してくれる。
基本的に人は緑で表示される。
悪意がある人ほど暗い色をしていて、機嫌が悪いという程度なら色が濁るらしい。
確かに所々、色の悪い人が表示されている。
別の色が混じっているのもあるけど、何を意味するかは追追知っていけばいいよね。
靴屋は五軒あった。
スキルで店を確認する。
客層によって分かれているようで貴族向け一軒、富裕層向け二軒、庶民向けが二軒。
私は庶民向けで家族だけで小規模で営んでいる店にした。
店の主と娘が靴職人で、妻が販売をしている。
主が革靴を作り娘が布靴を作っている。
便利な機能ね。
店構えは可愛らしい雑貨屋のようだ。
きっと、奥さんか娘さんの趣味なんだろうな。
【林檎の木】という看板が出ていた。
革靴と布靴を扱っている店なのに何故名前が【林檎の木】なのか謎だ。
店構えからもそうだけど、知らない人が見たら靴屋だと分からない気がする。
「いらっしゃいませ」
店に入ると40代くらいの女性が声をかけてくれた。
この店の奥さんなのだろう。
「一人?親御さんは?」
私は首をふり、今日は一人で買い物に来たと告げた。
「どんな靴を探しているの?革靴?それとも布靴?」
「子供の成長は早いので革靴より安価な布靴が良いと言われたので布靴を見せてください」
「そうなのね。……確かにそういう考えもあるわね」
私が不思議そうに首を傾げると説明をしてくれた。
子供の成長は早いので裕福ではない家は通常、大きめの靴を買い、詰め物などで調整して長く履くようにするのだとか。
ただ、いくら詰め物で調整しても大きいと重さがあるし、歩く時にバランスが悪いので足に合った物を履いた方が良いとのこと。
まあ、その辺は前世でも同じだったな。
布靴は人気が無いのかと聞いたら、基本的に布靴は室内用とされていて外で履く人はいないのだとか。
そのうえ、室内履きを履くのはお金に余裕のある家だけなので履き心地の良い強度の弱い物が多い。
使用人用は強度のある布で作ってあるが主人より目立ってはいけないので装飾の無いシンプルな物を履くのだとか。
それに、舗装された街中を歩くならともかく、街の外の悪路を歩くのには適していない。
それゆえ買う人が限られていて、あまり数が出ないそうだ。
私は白い使用人用のシンプルな布靴を選んでから、しばらく靴を見つめた。
リボンを付けるかボタンを付けるか刺繍をするか。
作る服は刺繍をするつもりだから、それに合わせた刺繍を施すのも良さそうだ。
「どうかしたのかい?」
あまりにも私が動かないせいで心配されたようだ。
「せっかくだから好きに刺繍とか装飾をして履こうかと思って。だって、このまま履くとどこかの使用人がうっかり室内履きのまま外に出ていると思われそうだし」
「少し安くするから出来上がったら見せて欲しいわ」
女性は、しばらく考えた後に言った。
あまり人と関わりたくはないけど、街に来たついでに寄るだけだし、まあ、良いかと了承した。
今の足に丁度いい物と少し大きい物の二足を買うことにした。
一足銀貨一枚で二割引してくれた。




