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収穫と塩と初料理

「よく寝た」

起きて直ぐに魔法で全身を綺麗にする。

この魔法を使うと寝ている間に乱れた髪まで整うから便利。

この家の中には大人用の大きなブラシしか無くて私の手で使うには難しかったので大助かりだ。


「今日も良い天気」

窓の方を見ると今日も明るい日差しが降り注いでいる。

そう言えば、今は何月なんだろう?

庭に出ても暑くも無く寒くも無い。

それどころか日差しの下も家の中も同じような気温だと思う。

何気なく窓の外を見ると驚愕の光景があった。


「嘘!」

そこに見えたのは緑に覆われた庭。

普通なら昨日の今日で植物が育つはずがない。

おまけに花が咲くのを通り越して実が生っている。

木も立派に成長して実が生っている。

スキルと魔力で通常よりは成長が早いだろうとは予測していたが、まさか一晩で収穫できるまでになるんて。

嬉しいけど何でもアリすぎない!


急いで庭に出た。

「味見してみよう」

成長は早いけど美味しくないなんてオチじゃないわよね。

近くに生っていたトマトを採って食べてみた。

「甘くて美味しい!」

今まで食べた中で一番美味しい。

質が違いすぎて、今まで食べた物と比べるべくもないだろうけど。

夢中で食べきった。

味が落ちない内に収穫しなくちゃ!

どういうイメージで魔法を発動させたら楽に収穫できるかな?

そう言えば魔法でゴーレムとツリーマンが作れるのよね。

地面に手を充て魔力を流す。

イメージは私の半分ほどの身長の小人さん。

土がボコボコと盛り上がり5人のゴーレムが誕生した。

目が円で綺麗に磨いた黒曜石のような目だ。

ツリーマンは木の種を利用したらできるかな?

林檎と桃とオレンジの種に魔力を注ぎ込む。

イメージは可愛い妖精さん。

ゴーレムと同じくらいの大きさで木目の3人のツリーマンが誕生した。

ゴーレムと違って緑色の髪が生えている。

そこに、それぞれの象徴の小さな果実が1個、髪留めのように生っていた。

目は果実の色をしていて背中には葉っぱの形をした緑の羽が生えていた。

葉っぱでできた可愛いワンピースを着ている。

「畑に生っている物の収穫をお願い」

私の言葉を聞いて、それぞれが動き始める。

収穫した物は私が庭を回って無限収納(インベントリ)に入れていった。

楽ちん楽ちん。

一晩で実までできるのは有難いけど、どうせなら花が咲いている所を見たかったな。

梅や桜の木の下でお花見するのも楽しそうだし、アーモンドの花も桜に似ていて可愛いって聞いたことがあるし。

魔力量で調整できるのか?

今度試してみよう。


新鮮な野菜がたくさんあるし、漬物(ピクルス)が欲しいな。

洋風の漬物(ピクルス)は前世で作ったことあるから漬物(ピクルス)液が出せるはず。

籾殻付きのお米があるから精米して出た糠で糠漬けにするのも良いよね。

シンプルに塩漬けでも美味しそう。

梅を収穫したから梅干しも作りたいな。


でも、その前に塩が欲しい。

塩水か海水があれば作れるよね。

液体魔法で、たぶん沖縄の海水を出すことができるはず。

生まれて初めて行った思い出の海。

まあ、それが最初であり最後だったのだけど。

普通は家族で行ったり、友達と行ったりするものだけど、私は無い。

最も海に限らず、旅行を含めて誰かと遠出というものをしたことが無かった。

家族で旅行は行くが、その中に私が含まれたことは一度も無い。

一緒に遠出するほどの友人もいなかったし、修学旅行は妹の「お姉ちゃんだけ狡い」という言葉で行けなかった。

両親は「妹が可愛そうだと思わないのか?」と責めた。

小学校の時は同じ学校に行っていたのだから、3年後には行くのだし、学校行事だ。

その言い分はオカシイ。

結局、無理やり病欠にさせられて行けなかった。

妹の時は両親があれこれ心配しながらも送り出していた。

見送った後に妹が居なくて私が居るのは不愉快だと叩かれた。

その頃は私は中学生で、一ヶ月違いで修学旅行だったのだけど、ここでも妹の「お姉ちゃんだけ狡い」という謎理論で行かせて貰えなかった。

どうして妹は狡くなくて私だけが狡いのだろう。

どうして妹は親の愛情が貰えるのに私は貰えないのだろう?

高校の時は妹が引きこもりで学校に行っていなかったのでやはり、「お姉ちゃんだけ狡い」と行かせて貰えなかった。

そして、私だけを残して3人で旅行に行った。

対外的には病気である私を置いて……。


そして、就職してから貯めた分とボーナスを使い、思い切って沖縄へ一人旅に行った。

奮発してダイビングもした。

海中の美しい景色は今でも思い出せる。

まあ、その時に故意では無いが海の水が口に入ったから、味は知っている。

塩の作り方は前世で写真付きの本を読んだことがあるので作業工程は分かっている。

塩が出来上がる時に、にがりもできることも知っているので、恐らくこれも一緒に手に入るはずだ。

にがりがあれば豆腐が作れるし、その他にも用途があると本に書いてあった。

ご飯を炊く時に少量入れると美味しいとか、適量を飲むと体に良いとか、化粧水代わりにできるとか。


作物を全て収納した後に、塩を作るために台所へ向かった。

さっそく無限収納(インベントリ)の中にあった寸胴鍋を取出し、液体魔法で海水を入れる。

目を閉じて、しっかりと工程をイメージしながら魔力を注いだ。

「錬成!」

光り輝き、それが治まると、塩と、にがりが出来上がっていた。

成功しているか念の為、鑑定で確かめてから塩は麻袋に入れて、にがりは瓶に入れた。

それを何度か繰り返して大量に作った。

味見してみると今まで使っていた安い塩とは比べ物にならないほど、味わいがあった。

「塩って塩辛いだけじゃないのね」

何だかうれしい。これで、おにぎりを作れば具が入って無くても十分に美味しいと思う。


さっそく無限収納(インベントリ)から種籾を出した。

精米の工程は小学校の授業で習ったから知っている。

錬成で精米する。

白米と糠と籾殻に別れていた。

糠は漬物に使えるけど、籾殻って何かに使えるかな?

とりあえず、白米以外をしまい、代わりに土鍋を出した。

お米を洗って土鍋に入れ、分量分の水と、にがりを少し入れた。

一人暮らしの時は炊飯器が無かったので、リサイクルショップで安く手に入れた土鍋でご飯を炊いていた。

蓋を閉めて錬成すれば、あっという間に炊きあがる。

このスキルは本当に便利。

「さて、おにぎりを作ろうかな」

熱々で握る方がいいのかもしれないが火傷するのは嫌なので少し冷めてか小さな手で握っていく。

大人の口だと一口か二口。

それを黙々と握っていく。

全部握り終わると一度、無限収納(インベントリ)に入れた。

卵焼きとか欲しいな。

溶き卵とか出ないかな?

試してみるも出ない。

そこで、そう言えばと思い出す。

だし巻き玉子を作ってみたとき、溶き卵に出汁を加えると粘度が薄くなったのを思い出した。

もしかしたら、その状態の卵液なら出せるかも!

だし巻き玉子用の卵液を思い浮かべてやってみたら出せた。

やった!

卵焼き用のフライパンを無限収納(インベントリ)から出して卵液と並べて置いた。

たぶん、フライパン無しでも錬成できると思うけど、フライパンがある方が、よりイメージしやすくて美味しくできる気がした。

「錬成!」

あっという間に、だし巻きたまごが完成。

切ってみると断面も申し分ない。

あれ?

これって、錬成でおにぎりもできちゃうんんじゃ……。

おにぎりって手で握るって固定観念があったよ。

ま、まあ、次からは錬成すれば良いし、小さい方が食べやすいよね。

冷めない内に、おにぎりとだし巻き卵を器にのせて祈った。


女神様。この世界での初料理です。良かったらご賞味ください。


おにぎりとだし巻き玉子がきえたあと、梅干しができたら梅干し入りのおにぎりも食べたいなと、ぼんやりと思っていた。

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