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神聖なる森で【シガネ】
「……ぜ、全然帰ってこない……どうしよう?ライ」
「お、落ち着いてシガネ、らしくない……」
「ご、ごめん……カル……カルゥ……」
もうずっとソワソワし続けている。私らしくない……
「カルカトスが帰ってこなくて心配なのは私も同じだ……大丈夫だ、私の弟子なんだからな、そう易々とくたばりはせんよ」
シルフィールさんがそう言って私を落ち着けようとする……が、なんなのだろうか?この違和感は?
以前、指輪を外さないかとアルトリートさんにきかれたときに『良くないことが起きる気がする』と答えていた。
その良くないこととはなんだ?どうして?
「……あぁ!わからない!もう寝る!」
「ははっ、おやすみ」
「……もう……カル……どこいったのよ……」
何も無い空に問いかける。
「……ま、誰も答えてくれないよね」
知っていたように毒づく。
「……ほんと……どうしよう」
森には帰ってこれたが、彼がどうなったのか、それだけが気になっていた。




